高層のビルの狭間や春夕焼
早川八重子
末黒野
201707
春夕焼ベツドの母を横向きに
横田敬子
空
201708
ひとりずつ少女が消える春夕焼
羽田英晴
船団
201806
お肉屋コロッケ店先に食ぶ春夕焼
細川洋子
沖
201806
生涯をこのバス路線春夕焼
岩岡中正
ホトトギス
201810
土管などどこにも無くて春夕焼
森岡正作
沖
201904
春夕焼背後の空が濡れてゐる
森岡正作
沖
201904
錆色の艶増す詩碑や春夕焼
町山公孝
沖
201904
佇みて春夕焼につつまるる
山田暢子
風土
201905
春夕焼男の肌の艶めけり
東正則
末黒野
201905
飛行機の低く飛びけり春夕焼
須賀敏子
あを
201905
あれこれと用はかどれり春夕焼
橘正義
春燈
201906
ひとところ灯を残したる春夕焼
杉原ツタ子
槐
201906
春夕焼不老不死なるどろ湯かな
くどうひろこ
沖
201906
鴉百まだ空にをり春夕焼
土井三乙
風土
201906
刻すでに春の夕焼となりにけり
藤生不二男
六花
201906
稜線を茜に染むる春夕焼
斉藤雅子
末黒野
201906
適塾の暮らし一畳春夕焼
井上和子
空
201909
山羊の列春夕焼の中歩む
窪みち子
空
201909
どこまでを裾野と呼ぼう春夕焼
高田留美
船団
201910
千年の裳階の反りや春夕焼
岡澤田鶴
沖
201910
湯へ通ひ少し話して春夕焼
赤座典子
あを
202004
隧道を抜くる江ノ電春夕焼
高木邦雄
末黒野
202005
段々と街の消えゆく春夕焼け
きくちきみえ
やぶれ傘
202005
ひとつまみほどの富士あり春夕焼
青谷小枝
やぶれ傘
202005
宿下駄で歩く浜辺や春夕焼
山咲和雄
末黒野
202006
一湾の波静かなり春夕焼
宮下桂子
沖
202006
大皿に羽根つき餃子春夕焼
安藤久美子
やぶれ傘
202007
空掴むかに大樹の枝や春夕焼
秋山文子
末黒野
202007
春夕焼ジャングルジムもシーソーも
久保夢女
槐
202008
春夕焼クレーンの先届きさう
小林紫乃
京鹿子
202008
不自由と自由のあはひ春夕焼
大内由紀
末黒野
202008
春夕焼鳥の名知らぬ者同志
杉崎妙子
鴻
202104
春夕焼骨痛むほど叱られて
吉田葎
空
202104
どこまでも漣少し春夕焼
赤座典子
あを
202104
透通る春夕焼や西病棟
大日向幸江
あを
202104
春夕焼おはじき飛びに子等帰る
山中志津子
京鹿子
202105
斎竹の幣守り札に春夕焼
大橋松枝
沖
202105
駅カフェに身を沈めたり春夕焼
武田未有
萱
202105
淀川の下流が好きで春夕焼
六車佳奈
風土
202106
春夕焼千年のちも五重塔
吉田葎
空
202107
春夕焼真砂女の海の黄金色
小林共代
風土
202107
繰返し歌う懐メロ春夕焼
足立枝里
鴻
202110
灯台に夜ゆづらむと春夕焼
大矢恒彦
沖
202204
春夕焼思ひ出す事多多ありし
長崎桂子
あを
202205
「人さらひ来るよ」の声す春夕焼
よしの公一
鴻
202207
春夕焼明日も晴れと思ひけり
出口誠
六花
202207
春夕焼猫のか細き骨拾ふ
岡村尚子
空
202211
背番号付けて走る子春夕焼
廣瀬雅男
やぶれ傘
202307
病窓よりはるかな家並春夕焼
菅野日出子
末黒野
202306
春夕焼天使の羽根のやうな雲
森清信子
末黒野
202307
滞船の影溶けゆけり春夕焼
山口登
末黒野
202308
駿河湾越しに見る富士春夕焼
坂本和穂
やぶれ傘
202306
潮騒の消えて広がる春夕焼
石原孝人
京鹿子
202308
花束のほどけしごとく春夕焼
戸栗末廣
空
202309
春夕焼ビル街柔らかくなりぬ
窪みち子
空
202309