虚空藏八角堂の天の河
岡井省二
槐
199808
天の川に玄き袋の浮きにけり
平橋昌子
槐
199810
天の川蛇皮線洩るる島の路地
河合朋子
春耕
199810
天の川ひとつの謎の解けにけり
野口光枝
高籬
199812
病みたれば眉根に天の川長し
市場基巳
槐
199902
天の河に引かるる心八束の忌
皆川盤水
春耕
199907
ガンジスの流れに沿ひて天の川
鷹羽狩行
狩
199908
天の川流れ流れて北の果
稲畑廣太郎
ホトトギス
199908
夢をすて願ひもすてて天の川
福田みさを
いろり
199908
母亡くて故郷遠し天の川
山本潤子
いろり
199908
天の川古き村にて仰ぎけり
広場伝
俳句通信
199909
更けてより淵のあきらか天の川
鷹羽狩行
狩
199910
天の川はなれ住む子の便り欲り
犬飼陽子
狩
199910
もう誰も遊んでをらぬ天の川
今木偉郎
槐
199910
我が丈を丸洗ひする天の川
田畑幸子
火星
199910
その先のガンガに続く天の河
平橋昌子
槐
199910
天の川鷲の羽より生れにけり
中島陽華
槐
199911
遺されて永き余生や天の川
塩谷はつ枝
馬醉木
199911
天の川ジャンプ台立てかけておく
神蔵器
風土
199911
大福はオストアンデル天の川
松山律子
六花
199911
昨日すでにあとかたもなし天の川
森洋子
朝
199912
寝袋に顔ひとつづつ天の川
稲田眸子
絆
200005
「さよなら」の接吻肩越しの天の川
塩見恵介
虹の種
200005
樋として大蛇鎖ぞ天の河
岡井省二
槐
200008
蟠桃のおもての空の天の川
岡井省二
槐
200009
天の川若狭の海の闇深し
木村てる代
俳句通信
200010
生首に肩凝りはなし天の川
松本康司
銀化
200010
手から手へ子は眠りゐて天の川
鬼頭桐葉
春蘭
200010
天の川走つて退つてゆけるかも
早乙女健
槐
200011
森閑と鳥獣眠る天の川
山田弘子
円虹
200011
神の座の穂高の垂らす天の川
鷹羽狩行
狩
200012
水音の身をくぐりゆく天の川
林裕子
風土
200012
天の川もつとも近し恐山
河口仁志
沖
200012
天の川歴史は人の死を待てり
亀田愚風
銀化
200012
かまぼこのちりめん皺も天の川
岡井省二
槐
200101
黙々と流れて来たる天の川
董振華
海程
200101
わが家は遅起き遅寝天の川
嶋田摩耶子
ホトトギス
200102
天の川探しに寺の下駄借りて
金國久子
遠嶺
200102
深閑と鳥獣眠る天の川
山田弘子
ホトトギス
200105
天の川熱帯林に鰐を焼く
柴田由乃
風土
200106
寒河江桑弓句集『広瀬川』序句
広くして深き瀬もあり天の川
鷹羽狩行
狩
200107
天の川渡れば竹の村だった
吉田さかえ
海程
200107
山暮れて稜線浮きぬ天の川
稲畑汀子
ホトトギス
200108
旅の日の続きの如く天の川
稲畑汀子
ホトトギス
200108
高原の夜空果てなし天の川
稲畑汀子
ホトトギス
200108
天の川釦を一つ縫へば寝る
木曽岳風子
六花
200109
わたつみの夜は鵜もとばず天の川
岡井省二
槐
200109
天地に天の川あり米をとぐ
加藤みき
槐
200109
天の川かけてこの世に妻の留守
神蔵器
風土
200110
天の川産み月の子と縁に座す
阿波谷和子
春耕
200110
猩々面つやめくころの天の川
谷村幸子
槐
200110
幽玄な音の世界へ天の川
桑垣信子
いろり
200110
天の川いま人生のどのあたり
桑垣信子
いろり
200110
大富士に引き寄せられて天の川
粟津松彩子
ホトトギス
200112
逝く友に佳き橋架けよ天の川
渕脇登女
苑
200112
逢瀬とは美し言葉よ天の川
富田道子
円虹
200112
みちのくの谷を跨ぎて天の川
鈴木とおる
風土
200112
帆船の鼈甲細工天の川
中谷葉留
風土
200112
草田男の句楸邨の句天の川
中村立身
百鳥
200112
榧の木の真上といえり天の川
水野恒彦
槐
200201
天の川一人は道を違へたる
櫛原希伊子
百鳥
200201
虚空蔵八角堂の天の河
岡井省二
槐
200201
父と似る從弟と居りぬ天の川
田中藤穂
あを
200208
鹿島灘照らす灯台天の川
宮原みさを
花月亭
200208
漁火の端に掛かるや天の河
宮原みさを
花月亭
200208
求む光り合ふ関係天の川
渡辺知美
銀化
200209
飲み喰ひのはての献体天の川
石山正子
銀化
200209
天の川母子同室の二タ夜かな
山路紀子
風土
200210
天の川パジヤマ姿で見上げをり
長石彰
築港
200210
天の川にて漁る人と屑ダイヤ
瀬川公馨
槐
200210
ひとは昔魚にありけり天の川
雨村敏子
槐
200210
天の川見て寝袋に籠りけり
泉田秋硯
苑
200211
熊野へと音立て落つる天の川
山陰石楠
苑
200211
舞果つる橋の舞台や天の川
小林成子
苑
200211
寝転んで縮まらぬ距離天の川
井尻妙子
京鹿子
200211
世を経るも季語は無限や天の川
上田繁
遠嶺
200211
亡き人になほも問ひかけ天の川
山本あかね
百鳥
200211
天の川大きな返事もらひけり
中谷葉留
風土
200211
天の川神のみの知る寿命なる
小池槙女
火星
200211
天の川渡る光のありにけり
堀義志郎
火星
200211
天仰ぐこと多くなり天の川
稲岡長
ホトトギス
200212
ネオン街ここで途切れて天の川
三沢蘭
遠嶺
200212
天の川最終バスを待ちにけり
景山まり子
百鳥
200212
一舟を浮かべ仮寝の天の川
川崎洋吉
遠嶺
200212
天の川渡る地球に途中下車
木村みかん
鴫
200301
天の川地上泉州地下西安
松崎鉄之介
濱
200301
天の川わたるノートと天眼鏡
坂本敏子
京鹿子
200302
葛の蔓漂ふ昼の天の川
西村葉子
京鹿子
200302
松島の松籟荒し天の川
小川原嘘帥
沖
200307
袖噛んで傀儡は泣けり天の川
中村房枝
六花
200307
天の川男三瓶女三瓶孫三瓶
稲畑廣太郎
ホトトギス
200308
忘れゐし夜空仰ぎぬ天の川
稲畑汀子
ホトトギス
200308
六甲は都会の外れ天の川
稲畑汀子
ホトトギス
200308
藁筆の墨の省浄天の川
楠翁
槐
200309
天の川茫茫夜空溢れけり
本荘初枝
築港
200309
きつぱりと願ごとなし天の川
小黒加支
酸漿
200309
生命線手首に流れ天の川
竹内悦子
槐
200310
天の川流の果てに黒き岳
島崎勇作
酸漿
200310
万の句に一句を投ず天の川
渕上千津
沖
200310
舞殿や眉の上なる天の川
雨村敏子
槐
200311
2021年9月3日
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