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『福祉避難所計画策定のための調査』

NPO法人ゆめ風基金 20100331 p117

last update:20120207


しかくNPO法人ゆめ風基金 20100331 『福祉避難所計画策定のための調査』p117 500円

しかく目次

はじめに 1
要援護者福祉避難所計画モデル 2
福祉避難所調査報告 15
資料
・城東区民や調査対象団体等への協力願いのチラシ 45
・調査で使用したチェックシート 46
・新聞記事 49
アンケート調査報告 51
障害者アンケート結果支援者アンケート結果 52
ネットワーク推進員アンケート結果 61
民生委員アンケート結果資料 67
資料
・城東区内福祉関係団体へのアンケートのお願い(依頼文) 71
・障害者へのアンケート用紙・支援者へのアンケート用紙 72
・福祉推進委員・ネットワーク委員へのアンケート用紙 75
・民生児童委員へのアンケート用紙 77
大規模災害時における要援護者支援を考える講演会(2010年1月30日)記録 79
福祉避難所および被災障害者支援センター開設体験(2010年2月27日) 100
・当日参加者に配布したしおり
・開設体験の意見交換まとめ
福祉避難所に関する調査員研修(2009年9月10日)配布資料) 109

しかく引用

p2 国が居住施設に併設する形で防災拠点型市民交流スペースの補助金を出したことで、施設づくりは進みましたが、それも単に施設の補助金の上乗せという形で、防災スペースとして整備されることはほとんどありませんでした。...公的に福祉避難所が設置されたのは能登半島地震が初めてのこと...福祉避難所を位置づけている自治体は未だ25%程度...具体的には特別養護老人ホームなど居住型施設を中心に、「10名以上の要援護者の避難を受け入れられるところ」と自治体が協定を結ぶという形...「10名以上の避難者の受け入れができる避難場所と24時間態勢で支援がで>3>きる人材がいる施設」と自治体が協定を結ぶようになった結果です。
しかし福祉避難所設置運営ガイドラインが指定避難所を福祉避難所として位置づけることや、福祉避難所の設置目標として小学校区に1カ所が望ましいとしたことから、福祉避難所の設置のあり方を根本的に見直す機会ができたといえます。
大阪市は障害児を普通学校で受け入れていることから、市内のほとんどの小・中学校がバリアフリー化されている...
ほとんどの施設で災害時の協力については賛同の意向は得られましたが、福祉避難所となって災害時の要援護者受け入れることについて、協力が可能としたのは一カ所のみでした。
受け入れ困難の理由としては
・施設の職員が被災していることを考えると、利用者への対応も困難となり、利用者以 外の住民の対応は困難。
・施設に空きスペースがない。
・医療施設が運営しているため、医療施設のバックアップ機能が優先される。
などの理由が主なもので、特別養護老人ホームでは、ショートステイやデイサービス、>4>ヘルパー派遣など多様な業務を行っており、入居者と合わせ多数の利用者を抱えているため、★災害時は逆に応援をしてもらえる体制が必要★だとのことでした。
p4 2008年の「福祉避難所設置・運営ガイドライン」では、これまでは福祉避難所のイメージとして福祉施設や宿泊施設に限定されていたものが、指定避難所(学校など)を含めた多様な施設...
「福祉避難所設置・運営に関するガイドライン(抜粋)」
しろいしかく福祉避難所の対象となる要援護者の状態に応じて適切に対応することができるよう、例えば、以下のように、福祉避難所の機能を.段階的・重層的に設定することも考えられる。
しろまる地域における身近な福祉避難所(としての機能)
・災害時にすぐに避難できる身近な福祉避難所として、指定避難所(小・中学校、公民館等)等の中に、介護や医療相談等を受けることができる空間を確保することを想定。専門性の高いサービスは必要としないものの、通常の指定避難所等では、避>5>難生活に困難が生じる要援護者が避難。
しろまる地域における拠点的な福祉避難所(としての機能)
障害の程度の重い者など、より専門性の高いサービスを必要とする要援護者で、地域における身近な福祉避難所では避難生活が困難な要援護者を、施設・設備、体制の整った施設に避難させることを想定。
・老人福祉施設、障害者支援施設等の施設、保健センター等を想定。
しろいしかく福祉避難所の指定目標については、要援護者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮し、設定することとするが、少なくとも、地域における身近な福祉避難所については、小学校区に1箇所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましい。
上記の身近な福祉避難所には指定避難所、また拠点的な福祉避難所として区民センターを位置づけることを想定

p6 大阪市では公立小学校、中学校共に市内のほぼすべての学校においてバリアフリー化が終了...小学校区を単位に福祉避難所を設置することは、指定避難所を利用することでほぼ解決はするものの、個々の学校を見ると
・周辺道路が危険で、避難時・避難後の生活にかなり注意を要する
・多目的室が2階にあり、電気が止まったときにはエレベーターが使えず、上下移動が困難。
・川付近の学校で地理的に低い位置に建っている場合、豪雨災害で学校自体が浸水する危険性がある。(豪雨時は避難経路も危険)
・避難所として使える施設が小学校だけしかなく、大規模な災害が起ると避難住民が殺到することが考えられ、要援護者の優先避難場所の確保が困難などの課題を抱えているところがあります。
また公園などの一時避難場所では
・バリアフリーになっていない
・トイレの設備がない
・危険な建物が隣接している>7>などの所が多く、多くの公園が障害者が避難することに向いていません。
とりわけ小学校区ごとに見てみると社会資源の偏りが大きく、特に森之宮地域は古い団地群であり、高齢者も多く住んでいる地域でありながら、小学校と病院程度しか建物がないので、避難生活のあり方については事前に十分な対策が必要だと考えられます。
また各地域にある老人憩いの家はほとんどがバリアフリーになっておらず、要援護者が避難する場所としては地域の支援が受けやすく絶好の場所でありながら、車イスの人は利用できないのは残念で、今後計画的にバリアフリーにしていくことを望みます。
高等学校など私立学校は指定避難所になっていても段差解消がされていないこと、備蓄備品の管理が行政で適切にされていないことなどがあり、災害時の取り決めについて改めて確認が必要と思われます。
その他の施設に於いて官民を問わず避難所として利用しやすいと思われる施設もいくつかありました。
区民プールは畳の部屋や会議室もあり、ホールも広いので、100人程度の人数であれば十分避難が可能と思われます。警察学校も詳細は調査できなかったものの、入り口の図面を見る限りは障害者用トイレ、体育館、武道館などの大きな空間を持っており、事前の協定次第では活用が見込まれると思います。

p8
6.福祉避難所と民間福祉事業者との関係
?@自治体と民間福祉事業者との協定のあり方について
これまで国の福祉避難所に対する支援は指定避難所と同じく食事の提供に対する費用などが中心で、人的支援については、10人に1名の相談員の費用を支出するのみでした。
また先にも述べたとおり、防災拠点型地域交流スペースの建設補助などが居住型施設を中心に行われたことから、多くの自治体は居住型施設で、10人以上の要援護者の受け入れができるところと、福祉避難所の協定を結ぶということが多くありました。
本調査でお招きした新潟県柏崎市の渡部氏(元福祉課長)によると、災害時に地元の福祉事業者が担う役割は大きく、こうした福祉避難所設置のための協定だけでなく、安否確認や災害時のサービス提供などを含め、自治体として多様な面から地元の民間福祉事業者に協力を求めることが必要だということでした。
新潟県中越地震では職員が被災しているにも関わらず、避難所で過ごせない障害者メンバーのために、早急に障害者作業所を再開させたところもありましたが、指定避難所でないため、メンバーの昼食は自治体からの食料調達を受けられなかった事例もあります。
阪神淡路大震災では指定避難所の絶対数が不足したこともあり、多くの自主避難所ができましたが、そうした自主避難所の機能なども民間福祉事業者が担うことが考えられ、行政としての支援策を確立する必要があります。>9>
そういった場合を含め、民間福祉事業者が災害時に地域の有効な社会資源として協力をしなければならない事態を考え、自治体として多様な福祉協定案を作成することが重要です。
渡部氏も福祉避難所にこだわらず、多様な福祉協定を締結しておくことが重要であると指摘されていました。
城東区としてもこのような実践に学び、福祉避難所にこだわらない福祉協定を早急に作成し、区内の民間福祉事業者との協定を成立させることが望まれます。

p51 アンケート調査報告 ★重要!
障害者アンケート結果支援者アンケート結果 52
[...]
しかく利用している福祉サービス
通所サービスのみ 16
訪問サービスのみ 30
両方利用 27
無回答・利用なし 28
しかくあなたは日頃ご近所との付き合いがありますか?
よく話す人がいる 22
たまに話をする人がいる 18
あいさつをする程度の人がいる 43
ほとんどいない 23
無回答 0
しかくあなたが避難所に行く場合に、支援者などに不安はありますか?
家族または自力で避難できるので、不安はない 24
支援者がいるので、不安はない 16
支援者のいない時間など、時間帯によって不安がある 47
支援者がほとんどいないので、不安 16
支援者がいても不安 1
しかくあなたは指定避難所で2日間程度すごせますか?
大丈夫だ 39
特別な支援がないと難しい 46
特別な支援があっても過ごせない 18
無回答 1
[...]
ネットワーク推進員アンケート結果 61
民生委員アンケート結果資料 67
[...]
p87 これだけの規模になってくるといくら自治体が要援護者名簿を持っていても、それを活用することは自治体の職員では絶対に無理
p88 その年の9月に新潟県の中越地区の民生委員の合同会議があったんですね。そのときに中越大震災の大きな被害を体験された民生委員の方々と話をする機会がありました。そのとき、「自分が中越大震災のときにあれだけの被害を受けて、民生委員だと気がっいたのは3日後ぐらいで、その間民生委員の活動は何もしていなかった」という話をされていたんですね。それが非常にインパクトがあったようで、かなりの数の民生委員の方が地震の当日から各地域の高齢者や要援護者の把握に回った、というのをあとで聞きました。...要援護者のリストを持っていることは簡単なんですけど、もっといろんな問題がある
p92 制度が良いとか悪いとかは別ですけど、以前は措置制度というのがあって、市が実際に障害を持っている人の所に訪問して、「では通所施設ですね」ということを話したりして、みんな見ていた。市が措置権者で、その家庭の状況をしっかりみてやっていけたんですね。ところが、>93>平成15年度の支援費制度から自立支援法になって、障害者と施設や事業所が直接契約して、市より事業所の方がはるかにしっかりもっていた...制度の改革によって行政が持っていた情報の質が低下した。
p94 「福祉避難所の開設3」の表...長期になる場合は福祉施設は使わないほうがいいという結論が出されました。最初は一般の避難所に誘導する中で、福祉施設などで開設するほうがより多くケアできる。早く一緒のところに戻してあげたい。...長期にわたるとき、早く日常に戻すことを考えたとき、福祉施設を避難所として活用しないほうがいいというのが大方の結論でした。

福祉施設との災害時の対応に関する協定
福祉施設との災害時の対応に関する協定ということで、平成21年4月16日に協定を結びました。これは地震だけじゃなくて水害も含めていますから福祉避難所として活用するという協定を結んでいます。実は平成20年にも協定を結ぼうということで話をしていたんですね。事業所の担当者と話をしだすと、品物・何を備蓄しなければならないとか、スペースをどれだけ確保しておかなきゃいけないとか、そういう話になっていたみたいなんですね。
本当にそういうときに何人受け入れるとか、そういう細かい話に入ってしまうと全部だめですね、こういう話は。ですから、災害の時はお互いに連絡をとって、当然、その施設も被災>95>しているかもしれないですから、福祉避難所としてどうだ、いや、被災していてとっても無理だ、となるわけです。だから、災害時にはお互いに協力するくらいの協定でいいんだから、何もそんなに難しいこと考えるな、というようなことでやりました。僕も21年の3月頭に移動になったものですから、俺がいる間に何とかしないとまずいそという話もしたんですけれども、結局、1ヵ月後になりました。自立支援協議会もそうなんですけど、事業所と行政が密に連絡取りながらお互いに協力して体制を作るということが重要だと思っています。事業所の職員の方はあまり変わらないですけど、市の職員になると3年に1度変わるというようなこともあって、体制をとっておかないと、いざというときおろそかになるので、やっと昨年4月に協定を結ぶことができました。

p112 避難所で生活ができないのでは、災害時要援護者登録は意味がない[...]
避難所に逃げていくのではなく、避難のためにみんなで協力し、運営するのが避難所
くろまる福祉避難所の指定と一般の指定避難所の改善は同時に必要
福祉避難所の開設は一般の避難所開設よりも遅れる
まずは指定避難所へ避難し、福祉避難所の開設を待って移動する
→指定避難所でいかに過ごすか


しかく書評・紹介

しかく言及



*作成:青木 千帆子
UP: 20120127 REV:
災害と障害者・病者:東日本大震災 「福祉避難所」成立の経緯・関連資料×ばつ世界:関連書籍BOOK
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