last update:20120207
■しかく災害時要援護者の避難対策に関する検討会 200603
『災害時要援護者の避難支援ガイドライン(改訂版)』, d10
・平成16年に発生した一連の風水害では、犠牲者の半数以上が高齢者であったことから、高齢者等の災害時要援護者の避難支援などについて検討が進められ、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」が取りまとめられました。
■しかく目次
はじめに
課題1 情報伝達体制の整備
1−1 災害時要援護者支援班の設置
(1) 災害時要援護者支援班の設置
(2) 消防団や自主防災組織、福祉関係者等の間の情報伝達体制の整備
1−2 避難準備情報等の発令・伝達
(1) 避難準備情報の発令
(2) 多様な手段の活用による通信の確保
課題2 災害時要援護者情報の共有
2−1 要援護者情報の収集・共有方式
(1) 関係機関共有方式
(2) 手上げ方式
(3) 同意方式
2−2 要援護者情報の収集・共有へ向けた取組の進め方
(1) 対象者の考え方
(2) 関係機関共有方式、 同意方式を活用した取組の方向性
?@ 関係機関共有方式の積極的活用
?A 関係機関共有方式、同意方式を活用した取組の進め方
課題3 災害時要援護者の避難支援計画の具体化
3−1 避難支援プラン策定の進め方
(1) 全体イメージ
(2) 避難支援者の定め方
(3) 個別計画の更新・管理等
(4) 個別計画の活用
3−2 避難支援プランの策定を通じた地域防災力の強化
(1) 防災に強いまちづくり
(2) 避難支援プランについての理解促進
課題4 避難所における支援
4−1 避難所における要援護者用窓口の設置
(1) 避難所における要援護者用窓口の設置
(2) 避難所からの迅速・具体的な支援要請
(3) 避難所における要援護者支援への理解促進
4−2 福祉避難所の設置・活用の促進
(1) 福祉避難所に関する理解の促進
(2) 福祉避難所の設置・活用の促進
課題5 関係機関等の間の連携
5−1 災害時における福祉サービスの継続(BCP)
(1) 福祉サービス提供者等との連携
(2) 福祉サービスの継続
5−2 保健師、看護師等の広域的な応援
(1) 保健師、看護師等の広域的な応援要請
(2) 広域的に応援派遣された保健師、看護師等の効果的な活動
5−3 要援護者避難支援連絡会議(仮称)等を通じた緊密な連携の構築
(1) 要援護者避難支援連絡会議等の運営
(2) 要援護者避難支援連絡会議等とボランティアとの連携
参考資料1 避難支援プラン策定の手順(例)
参考資料2 避難支援プラン実施の流れ(例)
別添資料 災害時要援護者の避難対策に関する先進的・積極的な取組事例
1.要援護者情報の収集・共有、避難支援プラン策定の取組事例
2.避難所での支援を中心とした取組事例
■しかく引用
p1 要援護者の避難支援は自助・地域(近隣)の共助を基本
p2 いわゆる「災害時要援護者」とは、必要な情報を迅速かつ的確に把握し、災害から自らを守るために安全な場所に避難するなどの災害時の一連の行動をとるのに支援を要する人々をいい、一般的に高齢者、障害者、外国人、乳幼児、妊婦等があげられている。
要援護者は新しい環境への適応能力が不十分であるため、災害による住環境の変化への対応や、避難行動、避難所での生活に困難を来すが、必要なときに必要な支援が適切に受けられれば自立した生活を送ることが可能である。
なお、要援護者情報の収集・共有に取り組んでいくに当たっては、現在の市町村の取組状況に関する次の?@〜?Bの例などを参考に、対象者の考え方(範囲)を明らかにし、重点的・優先的に進めていくことが重要である。
課題1〜3に関してはH17年度版から目立った変更なし
課題4
p14
4−1 避難所における要援護者用窓口の設置
(1)避難所における要援護者用窓口の設置
これまで避難所において、要援護者は必要な支援に関する相談等がしにくく、一方、避難所の責任者や市町村も、避難所における要援護者のニーズの把握や支援の実施が不十分となる傾向にあった。
そのため、市町村の災害時要援護者支援班等が中心となり、自主防災組織や福祉関係者、そして避難支援者の協力を得つつ、各避難所に要援護者班(仮称)を設けること。
p15
(2)避難所からの迅速・具体的な支援要請
各避難所の要援護者班は、要援護者からの相談等に対応するとともに、避難所では対応できないニーズ(例:介護職員、手話通訳者等の応援派遣、マット・畳等の物資・備品の提供)については、市町村の災害時要援護者支援班に迅速に要請すること。
(3)避難所における要援護者支援への理解促進
大規模災害時、避難所のスペース、支援物資等が限られた状況においては、避難者全員、または要援護者全員に対する機会の平等性や公平性だけを重視するのではなく、災害医療におけるトリアージのような発想を参考にしつつ、介助者の有無や障害の種類・程度等に応じて優先順位をつけて対応すること。その際、高齢者、障害者等の枠組みにとらわれず、 「一番困っている人」から柔軟に、機敏に、そして臨機応変に対応すること。
4−2 福祉避難所の設置・活用の促進
(1)福祉避難所に関する理解の促進
福祉避難所とは、要援護者のために特別の配慮がなされた避難所のことである。...介護保険関係施設における要援護者の受入には限界があり、緊急入所できない者のために福祉避難所が必要となる。
(2)福祉避難所の設置・活用の促進
なお、福祉避難所としては、施設がバリアフリー化されているなど、要援護者の利用に適しており、生活相談職員等の確保が比較的容易である老人福祉センター、養護学校等の既存施設を活用すること。また、適切な場所にこのような施設がない場合又は不足する場合は、必要に応じて、公的な宿泊施設、民間の旅館、ホテル等の借り上げや、応急的措置として、教室・保健室を含め、一般の避難所に要援護者のために区画された部屋を「福祉避難室」(仮称)として対応することも効果的であることにも留意すること。
併せて、市町村、都道府県は、福祉避難所となり得る施設の情報(場所、収容可能人数、設備内容等)を取りまとめて周知を図り、要援護者が自分に合った避難所を選択できる状況となるように努めること。
課題5 関係機関等の間の連携
5−1 災害時における福祉サービスの継続(BCP)
(1)福祉サービス提供者等との連携
近年の災害においては、ケアマネジャー等の福祉サービス提供者が中心...
★以後、高齢者のことを主に想定しいると思われる記述が続く
新ガイドライン本文には盛り込まれていないが、災害時要援護者の避難対策に関する検討会検討報告の「3 避難支援ガイドラインに沿った取組の更なる発展」3−(2)障害者団体による積極的な支援活動においては、以下の記述がある。
p25 平常時から研修等を実施し、要援護者の避難対策に携わる様々な者に対し、障害者に対する支援についての理解を深めておくことは重要である。しかし、災害時において障害者の多様なニーズに市町村の災害時要援護者支援班や、避難所の要援護者班がきめ細かく対応することは困難であることが予想される。
近年の災害において、障害者団体は、全国レベルの団体が中心となり、積極的に被災地に支援者を派遣し、視聴覚障害者に対する情報提供、透析患者への透析受入機関に関する情報の提供、オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)へのストーマ用装具の提供等、障害者の特性に応じたきめ細かい支援活動を実施しているところである。
そのため、市町村の災害時要援護者支援班や、避難所の要援護者班、都道府県等は、平常時から障害者団体と連携関係を構築しておくとともに、発災時は、障害者の避難状況等に関する情報を障害者団体と共有したり、活動拠点を提供したりしつつ、障害者団体による支援活動の促進を図っていくことが望まれている。
一方、障害者団体は、平常時から、支援を必要とする障害者の把握や、関係機関等の間での連携関係の構築、初動対応マニュアルの整備等に積極的に取り組み、災害時には効率的かつ効果的な支援活動を実施することが求められている。
■しかく書評・紹介
■しかく言及
*作成:
青木 千帆子