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2012年12月29日土曜日

電気系CADから筺体設計に移行する手順について整理してみよう ~筺体設計も楽しいよ!~

箱に入れないとゴミなんでしょ?

「回路基板、箱に入れなきゃタダのゴミ」 (筺体について考えよう)」では、箱に入れなきゃゴミですよと言わんばかりの方向が示されてしまいました。
まぁ、示したのは私ですが、実際に家の中を見てみると設計した基板で箱に入っていない物は全てゴミのようになっています。というか、ほぼゴミです。

BlueTankを「エフェクタ・プラットフォーム」として仕立てる方向性が見えてきたので、実際に筺体設計を行なう事にしました。
ここでは電気系CADから筺体設計に移行する手順について整理してみようと思います。

今回の環境

今回の環境を以下に示します。
  • EAGLE 5.11.0
  • RootPro CAD 5
BlueTank基板はEAGLEで設計しています。

機構設計はRootPro CAD 5を使います。
RootPro CAD 5無償版はDXFエクスポート等ができませんが、気に入ったら比較的安価に購入する事のできるCADです。

手順

方針を決める

設計は何事も方針を決めるのが先決です。

今回は基板が先に出来てしまっているので「入るケースなんて限られるだろう」という諦めが半分。
タカチ電機工業のカタログを眺めながら物理的に入る物を消去法で選定する事にしました。


先日の「「回路基板、箱に入れなきゃタダのゴミ」 (筺体について考えよう)」で気になっていたTD型アルミダイキャストボックスの中からの消去法です。

基板外形サイズをノギスで測定し、後はリストに掲載されているサイズに入るかどうか印を付けて確認しました。今回の場合、TD型の中で収まるのは3種類と判明し、その中で一番小さい物を選んだという事です。

今回、アルミダイキャストのケースに入れるのは初めての試み。
細かい事は考えずにとにかく作ってみるという乱暴な考え。

試作という事で大目に見る方針です。

漫画を描いてみる

ここからいきなりパソコン上の作業に移るのは後戻りを生む原因になります。
漫画を描いて方向性やコンセプト、加工可能かなどを確認します。

もう皆さん見飽きているかもしれませんが、今回の設計対象は以下の基板です。
筺体への組み込みも少しは考慮して設計しましたが、どの程度効果的でしょうか。


「この基板を箱に入れたらどうなるの?」と漫画を描いてみます。
「ユーザとのインターフェース」と「外部装置とのインターフェース」を意識すると良いです。


上面加工はかなり大きめの穴を空け、その上からアクリル化粧板を載せる事にしました。
LCD周辺などはかなり大きめの穴を開ける算段です。


この加工範囲なら「EAGLEの図面からアクリ屋ドットコムさんに頼むアクリル外装部品のサイズを簡単に得る方法」で示した比較的安価な加工コースを選択する事ができそうです。ふむふむ、納得。

で、最後に「本当にこれで良い?穴とか忘れてない?」というのを確認します。
漫画と基板を並べて確認すると良いでしょう。


「うーん。多分これで良いだろう。」です。

EAGLE上で基板外形をDXFでエクスポート

さて、漫画で方針を確認したら作業に取り掛かります。
え?まだ漫画を描いていないですって?
描いた方が良いですよ・・・。

以前の記事「EAGLEの図面からアクリ屋ドットコムさんに頼むアクリル外装部品のサイズを簡単に得る方法」を参考に、EAGLEボード・ファイルからDXFファイルを作ります。


筺体のDXFと基板のDXFを組み合わせる

タカチ電機工業さんの場合、DXFをウェブからダウンロードする事ができます。
ダウンロードした筺体のDXFと、EAGLEで出力した基板のDXFを組み合わせて図面を作成します。


2つのDXFをそれぞれ読み込みます。
以下のように各DXFファイルの設計がタブで表示されている事がわかります。


ここで、EAGLEが出力したDXFから基板の配線パターンのデータを取り除きます。
これはデータを軽量化し、ここから先の作業性、操作性を向上させるためです。


必要な外形データ以外を削除すると以下のようにスッキリ。
データも軽量になって操作をスムーズに行なう事ができます。


さて、ここから筺体外形と基板外形を組み合わせます。
RootPro CADは、開いたデザイン間でデータをコピーする事ができます。

今回は基板外形を筺体外形にコピーする形で作業しました。

RootPro CAD 5のコピーは、少し普通のコピーとステップが違います。
選択してCTRL+Cでは期待通りのコピーはできないでしょう。
ここでは簡単に触れておきます。

普通にコピーを選択します。


この状態で「コピー対象を選択する」動作になっています。
コピー対象を矩形で選択します。
コピー対象が水色でハイライトされます。

ここで、画面右側を見て下さい。
基準点という欄が空欄になっていますね?


ここで、選択対象のどこを基準点とするのかを決定します。


これでコピー用バッファにコピーされました。
水色でハイライトされていたコピー対象が通常の描画状態に戻ったと思います。


通常のコピー作業と異なるのは「原点を指定する」という事です。
さて、最後に筺体図面側にコピーして準備完了です。


漫画を参考にCAD上で作画する

漫画を参考にしながら、CAD上で作画します。
ポイントは、インポートした図形に下書き線などを適時加えながら作画するという事です。

私の場合、「下書き線」というレイヤーを新たに作って、そこに下書き線を描く事にしています。
これなら後で「下書き線だけ全部消去」という事が簡単にできます。


「あーでもない」、「こーでもない」みたいな若干の試行錯誤をしながら図面を完成させます。


最終的に印刷して確認しよう

図面ができたら「本当に本当に本当にこれで良い?」という確認をします。
何せ工場にデータを送ったら最後、間違っていても手元に届くまでわかりません。

同じ完成を待つなら「大丈夫かなぁ」というドキドキより、「組み合わせるのが楽しみだなぁ」というドキドキの方が嬉しいですよね?


色んな視点が必要なので、寸法入りや寸法なし等バリエーションを加えて下さい。


箱にしてみると更に良い?

折角印刷したのだから箱にしたくなってきます。
箱に仕立てて確認すると更に効果的かもしれません。
ちょっとやってみました。

厚手の紙に印刷してカッターでくりぬきます。
Craft ROBOを使えと言いたいのですが、セットアップが面倒だったので手作業です。


基板と組み合わせてみます。
うーん。
こんな感じになるのか、なるほど。


コネクタ部分はどうでしょうか。
一応良さそうですね。
もう少しきちんと確認したい場合、もう少し固い紙できちんと組み立てた方が良いかも。


後ろから見た感じ。
エフェクタに見えなくもない?


色を塗ってみるとこんな感じ?


実際の発注でのポイント

実際に発注する場合、私は漫画も添付する事にしています。
図面の解釈で誤解を未然に防ごうという狙いです。


上記の場合、「箱と蓋のどちらに加工するの?」という疑問に対する答えを示しています。
明らかに「蓋は単なる蓋」という事が図面と合わせてみる事でよくわかります。

実は、以前発注した時に箱に加工して欲しいのに蓋に加工されてしまったという事がありました。
図面に自信がなければ色々な策(策が互いに矛盾しない事!)を打っておくのも手です。

まとめ

電気設計に慣れた人でも、筺体設計まで行なっている人は意外に少ないのが現状です。
実際にやってみると細かな確認が多くて大変ですが、箱に入った時の気持ち良さには、電気設計と異なる快感があります。
年明け早々に発注出来るように詰めの作業をしたいなぁと考えています。

ダウンロード

今回作ったいい加減なCADファイルを公開します。
RootPro CAD 5のFree版で開く事ができます。

ここからダウンロード(もちろん何の保証もありません。自己責任でお使い下さい。)

2012年12月28日金曜日

「回路基板、箱に入れなきゃタダのゴミ」 (筺体について考えよう)

「回路基板、箱に入れなきゃタダのゴミ」

「回路基板、箱に入れなきゃタダのゴミ」は少し言い過ぎかもしれませんが、2013年のCuBeatSystemsは、実際に使える物に仕立てるまでの過程も重視しようと計画しています。

ここで実際に幾つか考えている物のアイデアを記しておこうと思います。

タカチ電機工業

タカチ電機工業さんには何度か加工依頼を出しています。
幾つか気になる採用候補についてリストアップしてみました。

TD型アルミダイキャストボックス



BlueTankは、もともとオーディオ・プラットフォームとして設計しましたが、「何のオーディオ装置?」と聞かれると実際に答えに困ります。具体的なアプリケーションをあまり想定していなかったというわけです。

少し思い直して考えているのが「エフェクタ・プラットフォームとしてのBlueTank」です。
で、調べてみると沢山のエフェクタがタカチ電機工業社製のアルミダイキャストボックスで製造されている事がわかりました。おぉ、こうなるのね。

MXA型アルミモバイルケース



次に目を付けたのがお洒落なアルマイト仕上げが印象的なMXA型アルミモバイルケースです。
こちらはヘッドフォン・アンプなどへの採用を多く見かけました。
これまた素敵だ。


WO型サイドウッドケース

http://www.takachi-el.co.jp/data/pdf/05-39.pdf


CuBeatSystemsの名前の由来」で取り上げた装置で採用して気に入っているサイド・ウッド仕上げですが、手作業で製作していては大変です。

少し調べるとサイド・ウッドの付いたモデルがあるではありませんか。
これもなかなか良さそう。

まとまりのないまとめ

メーカ標準品を使ってお洒落な外装を実現する事もできそうです。
BlueTankが外装によってどのようなオーディオ・プラットフォームに見えるのか気になってきました。

2012年1月7日土曜日

筺体設計で自作機器のお洒落度をアップしよう!

先日の記事への突っ込み

先日の記事で「こんなの作っていました」と書きましたが、記事を見て頂いた人にとって有益になる情報は一つもありませんでした。
「こんなの出来るでぇ~。」という感じで「何だそれ?」と言いたくなります。
本来、CuBeatSystemsのブログは皆様の物作りに役立つ何かを発信したいわけです。


そこで、「どこに発注したの?」とか「どんなツールで図面を書いたの?」とかそんなところを「よくある質問に対する回答」という形で明らかにしたいと思います。

よくある質問

▼どこに発注したの?
山形県にある有限会社 長井技研さんにお願いしました。

どんなスペックですか?
長井技研さんの管理されているサイト(板金加工eye)に掲載されています。
アルミボックス電気回路収納用(個人様 趣味用)」を御覧下さい。

このページには、私が最初に出した設計と、それに対する改善提案の内容が記載されています。
長井技研さんからの提案によって、より安価に安定した品質で仕上げる事が可能になりました。

CADは何を使ったの?
RootPro CADFree版を使用しました。(このアプリケーションは、当時別名前でした。)

どのくらいの費用がかかりましたか?
赤アルマイト加工を含めて数万円です。(すみません。詳細は本当に忘れました。ごめんなさい。)

試作やリピートに対応してくれましたか?
はい。
私は先の設計を試作で1台、リピートでもう1台作りました。

筺体設計で自作機器のお洒落度をアップするメリット

所詮自分だけが使うもの・・・と割り切るのも良いのですが、基板むき出しのままですと気分が盛り上がりません。
筺体設計を行なった上で良い対応をしてくれる板金屋さんが見つかれば、自作機器の仕上がりを満足のいくまで高める事も夢ではありません。

数万円は時に非常に高価な投資です。
しかし、他人の作った誰でも持っている電子機器を数万円で購入する事を考えれば、満足のいく仕上がりを自作機器でも得られる良い投資と言える気がします。

2012年1月5日木曜日

CuBeatSystemsの製作事例 (2006年の品)

先日の大掃除で出てきたデータの中からもう一つ。

この装置は2006年の設計。
管楽器の修理屋さんから頼まれた装置です。

板金は加工業者に図面を渡して作ってもらった物。
赤アルマイト仕上げでお金がかなりかかっています。


現場のハードな使用にも耐えられるように設計しました。


こんな感じで外装に気を配ると結構良い感じの仕上がりに見えます。


大掃除で過去のプロジェクトを見てみると「昔の方が気合いが入っていたのでは?」なんて思ってしまいます。ちょっと反省モード。

でも色々と見えてくるものもあります。
この頃は機械図面も書いていました。


しばらくご無沙汰しているのですが「本当のユーザが使う装置」も設計してみたいですね。

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