問題のある病院での勤務を経験して

匿名精神保健福祉士

問題のある病院(仮にA病院とします)での私の経験についてお話をさせていただきますが、このA病院に関して憶測に基づいた確証のない情報を周知拡散する行為は絶対にやめていただきますようお願い申し上げます。

まず初日から驚きがありました。A病院では学歴によって給与が異なります。私自身の学歴については履歴書への記載はもちろん、面接の際も話題になりましたので、当然それに基づいた高い方の給与が採用されると考えておりました。しかし差し出された雇用契約書に記載されていたのは低い方の金額です。募集要項に記された条件を示しながら事務長に「間違ってますよ」と伝えたところ、「え?そう?それなら試用期間が終わったらその金額にするから、それまではこのままでいいね」ということで押し切られてしまいました。私の力不足であるのは承知の上です。ただ、こんなものは序の口に過ぎませんでした。

翌日から本格的な勤務が始まり、最初に任されたのは診療報酬の不正請求に関連する業務でした。それまでも長い間通常業務として行われていたらしく、入職2日目の立場でそれを丸々拒否することは当時の私にはできませんでした。上司に対して「これはやっていいことなのでしょうか」と何度か確認はしたものの、「どうなんだろうね」とはぐらかされるのみでした。退職の際、事務長へ「この〇〇〇〇のやり方は問題です」とお伝えしましたが、返ってきたのは「でも患者から苦情が出ているわけじゃないよね」という開き直りとしか考えられない発言でした。

最も衝撃的だった事件が起こります。私はまだ試用期間真っ只中で、外部からの連絡を受ける権限すらありません。

A病院は常に満床に近い状態をキープしている「経営的には」非常に優秀な病院ですが、その時期は若干の空床がありました。それが直接関係しているかどうかはわかりませんが、元入院患者であるXさんについて、次の外来に来たところで入院を告げ、そのまま病棟に入れるという方針を院長が決定したとのことでした。その入院が必要となる理由についても上司から聞きましたが、それは自傷他害等とは程遠いもので、なぜそれで入院になるのか私には理解ができませんでした。

迎えた当日、院長から入院を告げられたXさんは当然それを拒否します。「予定があるので無理ですよ。困ります」と極めて理性的に、全く暴力的な素振りは見せずに訴えていました。

この直前、私は受付近くのベンチに座っていたXさんと少しだけお話をしています。スマホでYouTubeの動画を観ていらっしゃったので、「〇〇が好きなんですか?」と聞いたところ、「好きです」と応えてくださいました。「お住まいはどちらでしたっけ?」という質問にも「〇〇です」と応えてくださいました。そもそも一人で問題なく通院できる方です。疎通も問題ありません。そして本当に穏やかな方なのです。

そうこうしているうちに、ある看護師が合流し、Xさんに優しい口ぶりでこう言いました。「じゃあ今日は検査だけしよっか」と。私の無知が心底恥ずかしいのですが、これを聞いた私は入院しなくて済むのだと素直に受け取ってしまいました。それが精神科病院で使われてきた常套手段だとは何も知らずに。

それから数時間が経過し、別件で病棟を訪れた際に見た光景は今でも脳裏に焼き付いて離れません。そこには数時間前に一人で来院し、YouTubeを楽しんでいた人物とは到底思えない、Xさんの変わり果てた姿がありました。車椅子に乗せられ、オムツを履かされ、表情からは完全に生気が失われていました。

別の職員に何があったのか聞きました。「Xさんは連れて行かれてすぐ注射。そのまま電気ショックだよ」ということでした。ちなみにA病院には麻酔科医がおりませんので、電気けいれん療法は修正前のものになります。周囲の看護師は「Xさんは待合で倒れちゃったことにしようね」と口裏を合わせていました。さらに驚くべきはその入院形態です。皆さんはどれに当てはまると思われますか。A病院では、これを「任意入院」として扱っております。

この事件以前から診療報酬の不正請求に加担することはできないという理由で、試用期間満了前に退職する意思はある程度固まっていましたが、ここで決心しました。そして問題はこの情報をどうするかです・・・

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2025年02月20日 病院, 時事・ニュース | 固定リンク

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