交わす言葉は挨拶だけでも
私がいるだけで、安心できる駅でありたい。
地元で育った私にとって、この駅はまさにホームだ。
観光でのご利用も多い柳川駅。
「ようこそ。」「またお越しください。」
一瞬だけどお客さまにとっては、旅の思い出となる大切な時間です。
「あれ?今日はやけに急いでいるな。寝坊かな?」
「あっ、もう高校生になったんだ。」
何年も駅でお見かけしていると、近所のお兄ちゃんのような、
成長を見守る親戚のような気持ちになる。
何か困ったら、遠慮なく聞いてくださいね。私はここにいます。
柳川管理駅勤務歴 10年目。地元みやま市出身。筑後で生まれ育ち、地元を愛する頼れる駅務員。
柳川はもちろん、筑後地区のことにも詳しいので周辺観光地のことなどお尋ねがあってもすぐに受け答えできるという永江さん。日常でも観光でも、安心して利用できるアットホームステーションとして、細やかな目線と気配りで、今日を支える駅務員さんです。
ほんの少しの時間
だけど、駅は
お客さまの
人生の中にある。
駅は、いってらしゃいと
おかえりをつなぐホーム。
柳川管理駅で駅の統括指導駅務員として巡回、管理、指導、案内をしています。例えば、切符の購入方法が分からないお客さまをサポートしたり、改札機にトラブルが起こった時の対応やイベントなどで駅内が混み合っている際のお客さま誘導や案内などです。また従業員に対しては、新しい乗車券ができた際にきちんと理解して案内できているかなどの指導や業務の補助をしています。毎日利用されるお客さまも、観光で来られたお客さまも、今日という1日を気持ちよく過ごせるようにお客さまへの気配りと対応力が大切です。
アナウンスは、お客さまを安全に導く道しるべだと思う。
入社して3〜4年目。ある程度の仕事ができるようになった頃です。多くの酒蔵が点在する酒の町としても有名な久留米市の城島町で、毎年酒蔵びらきが開催されます。城島の酒蔵びらきの時は、県外からも多くのお客さまがお越しになり、三潴駅が大変賑わいます。ご利用のお客さまが多い中、駅内でのアナウンスを任されました。駅内は押しくら饅頭のような状態なので、お客さまをきちんと誘導して流れをスムーズにする必要があります。あまりにも人が多すぎて将棋倒しになったり、線路を渡ろうとする時に遮断機が降りてくるなどの危険が考えられます。トラブルを未然に防ぐためにも、アナウンスをしながら、安全を保つことを優先にお客さまを誘導致しました。アナウンスひとつで、人の流れは変わります。駅の務めとしては、安心して利用していただくこと。駅務員のアナウンスがどれほど大切なものかをその時に学びました。
先輩たちからの褒め言葉は、私の勇気。
城島の酒蔵祭りでは、とにかくお客さまが多いので本社の社員をはじめ、他の部署からの多くの応援者が駅に集まります。初めてアナウンスを任された時、駅長をはじめ、応援者の方達が私のアナウンスを聞いて褒めてくださいました。それがすごく嬉しくて、今でも励みになっています。なので、私も後輩に教える際には、注意するところはしっかり伝え、いいところは褒めるように心がけています。先輩方から褒めてもらうことによって、自分自身の意識も高まり「もっとお客さまに伝わるようにしたい。もっと分かりやすい言葉や声の強弱を意識する。」など考えるようになりました。もともと案内をすることが好きということもありますが、アナウンス対しての探究心は、ひとつの自信から生まれた気がします。褒められたことが自信になり、それが勇気となって今でも支えになっています。
お客さまの流れを掴む状況判断と工夫。
駅内で混雑した際には、状況を考えて様々な工夫が必要です。例えば、柳川駅改札口での混雑した場合、改札口で立ち往生すると改札機のエラーや故障に繋がります。改札機がエラーになるとその改札機が使えなくなるので、後から来るお客さまがどんどん詰まってしまいます。工夫としては、乗車券のお客さまとICカード乗車券のお客さまが通る改札機を分けて誘導することで、スムーズに歩けるようにしています。それは、乗車券とIC乗車券では、それぞれ改札機を通るスピードが異なるからです。状況によっては、その通りにいかない場合もありますが、状況を見てアレンジしながら、案内をするようにしています。
Writer’s voice
優しさの中にある伝えることへの強い意志。
普段、テレビを見ていて当たり前のように分かりやすく耳に入ってくるニュース。アナウンサーは自然に聞き取りやすいように言い回しや声の強弱、言葉の使い方を考えながら、私たちに情報を届けてくれます。それと同じように、駅務員もどうすれば、お客さまに分かりやすく伝えることができるのかを考えています。駅務員の業務は心配りの仕事。日々、伝えることの大切さを頭に入れてお客さまとの会話、アナウンスをすることを心がけているという永江駅務員。駅務員として10年。どんな時でもお客さま目線を忘れずに、いつ訪れても安心できる駅として、優しく迎え入れてくれます。
他の駅務員や乗務員とのコミュニケーションは業務を潤滑にします。
大牟田駅は始発終点の駅なので、乗務員(電車を運転する人)の方と話す機会が多い駅です。その時に、様々な話をして意見交換やコミュニケーションをとっています。やはり会話は仕事をスムーズにすすめるためにも大切です。例えば、大牟田駅で見つかった忘れ物をお客さまが久留米駅で受け取りたいと申し出があった場合、運転士さんにお願いします。普段からコミュニケーションが取れていれば、頼みやすくまた相手からも頼まれやすくなり、お互いが働きやすい環境につながります。
駅務員 永江さんのコラム
駅以外で会った時に、西鉄電車の駅務員さんだと
気づいてもらえると嬉しいです。
駅にいると様々なお客さまと出会います。地元の方で、顔なじみのお客さまやよく話しかけてくださるお客さまもいます。西鉄電車が、地域と共に成長してきたように、私も西鉄電車の駅務員として地元の方に親しんでいただけるよう努めております。帽子を取り、制服から私服へと変わるプライベートな時間でも、西鉄の駅務員だと気づいていただけると嬉しいですね。地元に根付く西鉄電車の一員として誇れることだと思います。
ある映画に西鉄大牟田駅が出ています。
2019年11月に公開した大牟田市の延命動物園が舞台になっている映画の中で、西鉄大牟田駅が出てきます。その時の放送案内をさせていただきました。こっそり映画デビューしています。(インタビューの日は2019年11月18日。ちょうどその映画が公開中の時でした)
私たちの職業あるある
駅にいると時の流れを感じます。
長い間駅にいると、様々なお客さまの時の経過を感じることができます。特に子供の頃からご利用いただいているお客さまは、成長過程を垣間見ることができます。よく忘れ物するお子さまやちょっとのんびりしていたお子さまが、大きくなってすごくしっかりした大人になっていたり。お客さまの成長を駅の通学・通勤などを通して拝見するだけでも、この仕事の良さを感じるし、感慨深いものがあります。