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アリと暮らす生物(好蟻性昆虫など)

2024年09月21日

先日紹介したヒメサスライアリの引っ越し行列を見返していたら気が付いた好蟻性生物たち。
どこに何が写っていたのかご紹介します。

ヒメサスライアリの引っ越し行列
まずはこちらの写真。
大型なハネカクシ以外にも、もう一種のハネカクシ(矢印)が写っていたのです。

ヒメサスライアリの引っ越し行列
このハネカクシは、引っ越しでアリが運ぶ幼虫に乗って新居まで運んでもらうのです。
自ら歩くハネカクシもいれば、このような方法で移動するハネカクシもいるのです。
このハネカクシはとても小さいのと、このようにアリの体の下にいることが多いので、肉眼で見つけるのがとても難しいです。

ヒメサスライアリの引っ越し行列
続いてはこちら。
矢印のアリをよく見ると、アリの下に何かが見えますね。
実はこれもハネカクシになります。

ヒメサスライアリの引っ越し行列
真横から見るとこのようになっています。
アリがハネカクシの触角の付け根をアゴで咥えて、新居まで運ぶのです。

好蟻性昆虫を探せ
この写真には、小さな好蟻性昆虫(矢印)が写っていました。

好蟻性昆虫を探せ
これはノミバエの一種でした。

続いては最も見つけるのが難しい好蟻性生物です。
好蟻性昆虫
好蟻性昆虫
好蟻性昆虫
矢印が好蟻性生物になります。

キリタンポノミバエ
どう見てもアリの幼虫に見えるのですが、実はこれはハエで、しかも成虫なのです!
キリタンポノミバエと言う好蟻性のハエで、アリの幼虫に擬態しているのです。

キリタンポノミバエ
これがハエで、しかも成虫とは信じられませんね。
言われてみれば頭部を見るとハエっぽさはありますが・・・。
好蟻性生物たちの進化には、いつも驚かされます。






2024年09月20日

ヤマクロヤマアリの巣で見つけたアリスアブ
ヤマクロヤマアリの巣で見つけたアリスアブの一種。
ヤマクロヤマアリの巣で暮らすアリスアブは、ミヤマアリスアブとウスユキアリスアブが知られています。

ヤマクロヤマアリとアリスアブ
こちらも過去に同じくヤマクロヤマアリの巣で見つけたアリスアブの一種。






2024年09月15日

ダーウィンが来た!「まるで宇宙人!?アリと居候」放送のお知らせです。
来週のダーウィンが来たは好蟻性生物です!
9月15日(日) 午後7:30〜午後8:00

ダーウィンが来た!

次回15日は『まるで宇宙人!?アリと居候』

「人食いアリ」と恐れられるアリの群れの中に、こっそり紛れ込んで暮らす命知らずの昆虫がいる🐜🐜🐜❓

他人の家にお世話になる、いわば「居候」

アリと共に地下世界で暮らす謎生物の正体に、世界初の映像で迫ります!#ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 pic.twitter.com/dfOluF0QMW

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 8, 2024
ダーウィンが来た!
長い時間をかけて撮影した貴重な映像がたくさんあります。

新しい女王アリが巣から旅立つとき「#アリノタカラ」という昆虫を1匹くわえて飛び立ちます

互いに相手なしでは生きていけないのです
互いに1匹同士

運命を共にする姿に、じーん

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』https://t.co/UWE2pVK1sV #ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 #島田拓 pic.twitter.com/8XKqmK48Nb

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 10, 2024
アリノタカラとミツバアリの関係。
一体どれほど長い年月をかけたらこのような関係ができるのか?

アリ探究家の #島田拓 さんが目撃した衝撃シーン!#アリ の巣の壁の一部になりきっている謎の居候

あろうことかアリの幼虫をこっそり食べちゃっています😱

いったい何者

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』https://t.co/UWE2pVK1sV #ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 #アリスアブ pic.twitter.com/pmiE8uBaF9

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 9, 2024


超ハイスピードカメラがとらえたサスライアリの群れに紛れ込む居候

1つの群れに100種もの居候が住むこともあるそう

なぜアリと暮らしてる?

なぜ凶暴なアリに襲われない?

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』https://t.co/UWE2pVK1sV #ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 #ハネカクシ pic.twitter.com/qcg7oSMvtf

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 13, 2024

\アリの居候クイズ 正解編/

前脚で叩いて食べ物をおねだり!

アリ同士は触角で相手を叩きますが、コオロギの触角は曲げられないため、代わりに脚で叩くんです

巣の中は真っ暗なので感触を似せているのかな

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』#ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 pic.twitter.com/UB2xsN1vcr

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 12, 2024

#アリ の巣の壁になりきり、アリの目を盗んでこっそり幼虫を食べちゃう謎の生物

ある日、網目模様の体がぱかっと割れて・・・その正体が明らかに!😱

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』https://t.co/UWE2pVK1sV #ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 #アリスアブ #島田拓 pic.twitter.com/OdBUDDoKJF

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 9, 2024

#アリ の巣だけにすむシロオビアリヅカコオロギ

アリのにおいを盗んで体に塗り塗り

においで仲間を判別するアリの性質を利用して、なりすます巧妙な技です🐜🐜🐜❓

⏰15日夜7時30分〜『まるで宇宙人!?アリと居候』https://t.co/UWE2pVK1sV #ダーウィンが来た #ダーウィン虫部 #島田拓 pic.twitter.com/lN1C3vI6CG

— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) September 9, 2024
今回番組では、身近な場所、沖縄、そして丸山さんのカメルーン調査で撮影した盛りだくさんな内容です。
ぜひご覧ください!






2024年09月06日

タマゴタケ
最近、朝は涼しくなり秋の匂いがしてきましたね。
これからは秋に結婚飛行をする、キイロシリアゲアリ、トフシアリ、サクラアリ、トゲアリ、ツヤクシケアリなどのアリたちの季節。
昨日は山の様子を見に行ってきたのですが、なんと予想もしていなかった、長年探し続けてきた好蟻性昆虫を見つけることができたのです。
もう嬉しすぎて幸せです。
写真はついでに見つけた美しいタマゴタケ。
お土産に持ち帰りました。

タマゴタケ
なんて美しいのでしょうか。
見るからに毒々しいですが、美味しいと有名なキノコです。

タマゴタケ
バター炒めにして美味しく頂きました。
食べることが大好きな中学生の息子は、大喜びで人生初タマゴタケを食べていました。






2024年09月01日

好蟻性昆虫を探せ!
タイで観察したビンガムヒメサスライアリの引っ越し行列。
引っ越し行列を最初から最後まで観察をして、様々な好蟻性生物を見つけることができましたが、帰国後も観察の楽しみがあるのです。
それは、大量に撮影した写真を見返すこと。
すると、現地で肉眼では気が付かなかった好蟻性生物が紛れていることがあるのです。
いろいろ紛れて写っていましたので、皆さんもぜひ探してみてください。

好蟻性昆虫を探せ!
初級編
これは大きめのアリ型ハネカクシを撮影したのですが、写真を見返したら、他にも好蟻性生物が写っていたのです!
どこに何がいるでしょうか?

好蟻性昆虫を探せ!
中級編
これはどこに何がいるでしょうか?

好蟻性昆虫を探せ
ここにも写っていますね。

好蟻性昆虫を探せ
上級編
あの虫が見えますか?

好蟻性昆虫を探せ!
超上級編!
ここに写っているのは、ハネカクシと腹部に付くダニだけではありません。

好蟻性昆虫を探せ!
これは知っている人しか見つけられないと思います。

好蟻性昆虫を探せ
世界にはすごい生物がいますね。
これは行列から肉眼で見つけるのは難易度高すぎです。

好蟻性昆虫を探せ!の答え






2024年08月28日

ヒロズコガ 好蟻性
以前、小松さんがブログで紹介していたヒロズコガの一種を、アリの巣から見つけることができました。
とても面白い好蟻性のガです。






2024年08月17日

日経サイエンス2024年10月号
日経サイエンス 2024年 10 月号 [雑誌]
8月23日発売!
日経サイエンス2024年10月号
【特集:昆虫 脅威の共生術】

丸山さんの好蟻性生物の研究が紹介されています。
様々な好蟻性生物について生態から進化まで詳しく紹介されていて、とても濃い内容です。
表紙はアシナガキアリとシロオビアリヅカコオロギの写真。
この写真は時間をかけて撮影したもので、僕自身好きな写真なので使って頂けて嬉しいです。
ちなみにこの表紙写真は、シロオビアリヅカコオロギがアシナガキアリの体を舐めて、アリの体の匂いを奪い取っているところで、アリは仲間にグルーミングをされていると勘違いして気持ちが良さそうにしています。






2024年08月08日

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
タイではヒメサスライアリなどアリ以外にも、シロアリの巣もたくさん調べました。
好蟻性生物や好白蟻性生物を探すためです。
これらのアリやシロアリを観察していると、どこからともなく集まってくる昆虫がいます。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
それがこのハエ。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
ベンガルバエの仲間です。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
シロアリを少し離れた場所から見つめています。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
そして地面に降りてシロアリに襲い掛かります。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
口を突き刺して?シロアリの体液を吸っているのです。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
シロアリの体は体液を吸われて、あっという間にしぼんでしまいます。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
たくさんのベンガルバエが集まってきて、次から次へとシロアリを襲います。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
色が濃い大きなシロアリよりも、白くて小さな個体を好んで襲っているようです。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
柔らかい獲物が好きなのです。

アリやシロアリを捕食するベンガルバエ
この美しい眼で、どのように見えているのか気になります。

タイで観察したアリとハエ🐜🪰
ビンガムヒメサスライアリの狩りの行列を見つめるベンガルバエです。
このベンガルバエは、アリが運ぶ獲物を横取りしようとしています。
肉食性のハエなのです。 pic.twitter.com/NkI8hz1WZ1

— AntRoom 島田拓 (@AntRoom_taku) July 25, 2024
ヒメサスライアリの行列にも良く現れて、アリが運ぶ幼虫などを奪い取って捕食します。
日本にも南西諸島に生息していて、同じくシロアリやアリの幼虫などを捕食します。

ベンガルバエ
ベンガルバエの狩りの方法については、過去に紹介したベンガルバエ捕食の秘密もご覧ください。






2024年08月03日

アリの引っ越し行列から好蟻性生物を探すときは、どこに何が紛れているか分かりません。
行列をアリと一緒に歩くもの、アリに乗るもの、アリが運ぶ幼虫にくっ付くもの、さらにはアリに運ばれるものもいるため、見逃さないように、行列の隅々まで集中して観察します。
しかし、見逃してしまうことも多くて、撮影後の写真を確認して「こんな生き物がいたのか!」と気が付くことも多いです。
前回紹介した、オオズアリが運ぶ幼虫に乗るノミバエにも驚きでしたが、今回も写真を見返して初めて気が付いた驚きの好蟻性生物をご紹介します。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
日本のヒメサスライアリに似た、小型なヒメサスライアリの一種が引っ越しをしていました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
大型種に比べると好蟻性生物は少ない印象がありますが、過去もこれに似た種の引っ越し行列からシミやハネカクシやダニを見つけているので、見逃さないようじっくり観察をします。
小さなノミバエが歩いていたので、吸虫管で吸って採集しました。
好蟻性生物を採集する場合、寄主のアリも一緒に採集することが大切ですので、ノミバエと一緒に働きアリも20匹ほど採集しました。
残念ながら引っ越しも終わりかけだったようで、観察開始から45分ほどで行列が終わってしまったのです。
ここでの成果は、ノミバエが1匹と25枚ほど撮影しただけでした。
そして、別の場所でアリ探しを楽しんでから、深夜遅くに宿に戻りました。
シャワーを浴びてさっぱりしてから、ベットに横になりながらこの日撮影した写真をパソコンに取り込んだり、確認をしていたところ、驚きの写真に気が付いたのです・・・。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
その写真がこちら。
数時間前に観察していた、小型ヒメサスライアリの引っ越し行列なのですが、左の個体の頭部に何かが乗っていることに気が付いたのです!?
さらに一番右の個体にも乗っているではありませんか!!
これは見たことのない生物で、しかも観察時全く気が付きませんでした。
あまりに驚いてしまい思わず「何これ?気が付かなかったー!!」と大声で叫んだたため、同じ部屋にいたゴキブリ博士の柳澤さんを驚かせてしまいました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
拡大すると間違いなくアリの頭部に乗っています。
最初この写真に気が付いたとき、長い前脚が途中までしか見えず触角にみえたり、甲虫のように胸部と腹部に分かれているように見えたため、一瞬エンマムシ?と思ったのですが、よく見たらダニだったのです。
右の個体の頭部にも、丸いダニが張り付いていて、このダニも個体数が多かったり、白い長い毛が生えていたり気になる存在ではありますが、やはり左のダニが今まで見たことのないタイプのダニなので興奮しました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
25枚ほどしか撮影していませんでしたが、驚いたことに別の写真を確認すると何匹も写り込んでいたのです。
この引っ越し行列は、柳澤さんも数枚撮影していて、何とその中にも写っていたので、かなり多くの個体が同居していることが分かります。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
しかも、全てが同じ位置に同じ体制で頭部に乗っています。

アリに乗るダニ
今までヒメサスライアリに乗る好蟻性のダニはたくさん見てきましたが、全てが胸部に前向きで乗っていました。
今回のダニは、全てが頭部に、しかも逆向きに乗っているのです。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
あの個体にも乗っていますね。
このヒメサスライアリはかなり小さいのと、動きがものすごく速いとはいえ、こんなに多くの個体がいたにもかかわらず、しかも45分も観察していてまったく気が付かなかったなんて、とても悲しい気持ちになりました。

肉眼では気が付かなかった理由。
このヒメサスライアリは小さいのと動きがとても速いのです。
動画も確認したらダニが写っていました!
どこにいるか探してみてください。 pic.twitter.com/RmPMDyqxXE

— AntRoom 島田拓 (@AntRoom_taku) August 2, 2024
動画でも少し撮影していたので、よく確認をしてみると、こちらにも写っていたのです!

前回同じく写真を見返して気が付いた、オオズアリのノミバエは再び探しに行って採集できましたが、今回のヒメサスライアリは引っ越しが終わってしまっていて、ビバークの場所も分からないので、再び行っても採集は不可能です。
こんなかっこいいダニを見逃してしまうなんて・・・。
ここでふと、好蟻性ノミバエを採集したとき、ヒメサスライアリの働きアリも20匹ほど一緒に採集していたことを思い出したのです。
いやいやいや、僕がいくら運が良いからと言って、その中にダニが乗った個体が入っているなんてことは絶対にありえないと思いつつ、念のため確認してみることに。
肉眼で見てみますが、アリ自体がかなり小さいのでよく分かりません。
カメラで撮影して拡大して見ることにしました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
中心にいる黒っぽいのはノミバエ。
カメラのモニターで写真を拡大して、柳澤さんと一匹一匹頭を確認していくと・・・。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
「いたーーーーーー!!!!」。
柳澤さんと二人で叫んでしまいました。
何とダニを採集できていたのです。
もうこれは奇跡ですね。
改めて自分の運の良さに驚きました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
無事採集できていたので再び撮影ができました。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
やはり面白い形をしたダニですね。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
前脚がものすごく長いです。

好蟻性 ヒメサスライアリ ダニ
真上から見ると、アリの触角が増えたようにも見えます。
なぜこの位置なのか?巣の中にはどれくらい多くの個体がいるのか?何を食べているのか?などいろいろ気になります。
アリの同じ位置に乗っていたり、とても個体数が多いこと、体の質感や毛が寄主に似ているなど、この種のヒメサスライアリとかなり深い関係を持つ好蟻性のダニであることは間違いないはずです。
詳しく調べたら絶対に面白いはず。

アリダニ
クサアリの頭部裏にくっ付いて、アリから口移しで餌をもらうアリダニのような面白さを感じます。

撮影すると、小さくて肉眼では見えないものに気が付いたり、早くて見えなかったことに気が付いたりと、記録以外にもいろいろ役立ちますね。






2024年08月02日

大型ハリアリから生える冬虫夏草
アフリカのカメルーンの森で多く見かけた、体長15mmの大型なフトハリアリの一種。

大型ハリアリから生える冬虫夏草
太くて立派な大アゴを持ちます。

大型ハリアリから生える冬虫夏草
細い枝にしがみ付いた状態で死んでいる個体を発見。
近くで見たらキノコが生えていて、冬虫夏草に寄生されていました。

大型ハリアリから生える冬虫夏草
キノコの先端。

大型ハリアリから生える冬虫夏草
脚でしがみ付くだけではなく、アゴで枝に噛み付いています。

大型ハリアリから生える冬虫夏草
これは、他のアリに寄生する冬虫夏草共通の死に方です。






2024年07月23日

オオズアリの一種
タイの夜の森でアリ探しをしていたら、オオズアリの一種の行列を発見しました。
日本のオオズアリによく似た種です。

オオズアリの引っ越し行列
幼虫やサナギを運んでいることから、引っ越し行列であることが分かりました。

オオズアリの引っ越し行列
新女王の大きなサナギも運ばれてきます。

オオズアリの引っ越し行列
翅の生えた新女王も新居に向かって歩いています。
過去にマレーシアで、オオズアリの一種の引っ越し行列を観察したとき、とても気になる甲虫が歩いてきたことがあったため、この日もしばらく観察を続けました。
しかし、何もくる様子がなかったため、適当に20枚ほど撮影してから移動をしました。
それから数時間後、アリ探しを終えて、深夜に宿に戻る途中に、この夜撮影した写真を見返したところ、驚きの生物が写っていることに気が付いたのです。

↓その写真がこちら。
オオズアリの引っ越し行列
働きアリが運ぶ幼虫の上に、謎の黒い物体が乗っています。

オオズアリの引っ越し行列
拡大して驚きました!
これは間違いなく、何かの生物が幼虫に乗っているではありませんか!!!!
黒くて丸くて全身から毛が生えています。
昆虫なのか?それともダニなのか?
この写真ではすぐに正体が分かりませんでしたが、引っ越しで運ばれる幼虫に乗るなんて、間違いなく好蟻性生物です。
質感や毛の感じなど、アリの頭部や腹部にそっくりです。
これはかなりショックでした。
見落としていたことも、正体が分からないことも・・・。
この日はかなり長距離を歩いたので、これをどこで見つけたかが思い出せません。
そこで、まずは撮影時間を確認しました。
この時間と言うことは、ちょうど折り返し地点あたりの、森のかなり奥深くのはず。
次にこのオオズアリを撮影した前後の生き物の写真を見たところ、大体の位置が分かってきました。
さらに、このオオズアリの行列は、林道を横切っていて、大きな岩の上だったことを覚えています。
これは行けば場所が分かりそうです!
と言うことで、宿に戻ってきていたのですが、再びオオズアリの引っ越し行列の場所へ向かうことにしたのです。

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そして、無事に引っ越し行列を見つけることができたのです!!
しかし、引っ越し行列は数時間前に見たような賑やかさはなく、歩く働きアリの数も少なく、そろそろ終わりかけのようでした。
それでも幼虫は運ばれてくるので、幼虫に乗っている黒い物体を意識して待ち続けたところ・・・。
何と幼虫に乗った黒い物体が現れたのです!
心の中で「来たーーーーーーーーーー!!!!!」と叫びました。
慎重に吸虫管で吸って採集成功です。
まさか本当に見つけられるとは思っていなかったので、これは本当に嬉しかったです。
その後はいくら待っても追加は来なくて、それどころか引っ越しが終わってしまいました。
本当にギリギリで、最後に通りかかった個体を見つけることができたようです。
僕は昔から採集に関しては誰にも負けない運の良さがありますが、今回もその運の良さを再確認できました。

好蟻性ノミバエ
そして、無事採集した好蟻性生物をよく見たところ、その正体が分かりました。

オオズアリの好蟻性ノミバエ
まるでナナフシの卵のようにも見えますが、この生物の正体は・・・。

オオズアリの好蟻性ノミバエ
翅のないノミバエだったのです!!

オオズアリの好蟻性ノミバエ
まるで甲虫のようにも見えますね。
今まで様々な好蟻性ノミバエを見てきましたが、このタイプは初めてです。

オオズアリの好蟻性ノミバエ
アリとの関係はかなり深いように見えました。
そして、アリが幼虫を運び始めると、すぐに幼虫に飛び乗る行動も観察でき、アリの巣の中での暮らしが気になります。
無事見つけることができて良かったです。






2024年04月14日

何年かぶりにヤマトシロアリを発見です!
ヤマトシロアリはどこにでもいるシロアリで、森で適当に朽木を割ればかなりの確率で見つかりますが、今回見つけたのはそこそこ成熟したコロニーの巣の中心部になります。
シロアリの巣は朽木内にあると思われがちですが、朽木は食事場所で、巣の中心部は土の中にあるのです。
それを見つけるのはとても難しくて、アリの巣探しで土を掘ることが多い僕でも、ヤマトシロアリの巣は過去に数回しか見たことがないのです。

ヤマトシロアリ発見
巣の中心部から見つけた女王とオスアリです。

ヤマトシロアリ発見
まだ最大サイズではありませんが、女王の腹部は大きく肥大しています。

ヤマトシロアリ発見
こちらはオスです。

ヤマトシロアリ発見
シロアリはこのように夫婦で暮らしています。
そして、よく見るとシロアリではない同居人もいますね。

ヤマトシロアリ発見
好白蟻性のシロアリハネカクシです。

ヤマトシロアリ発見
交尾中のシロアリハネカクシ。

交尾中のシロアリハネカクシ。 pic.twitter.com/LSH82xcuP4

— AntRoom 島田拓 (@AntRoom_taku) April 13, 2024
色や形など、いつ見ても可愛いハネカクシです。






2024年04月13日

キイロケアリと好蟻性ハネカクシ
長い冬も終わり暖かい春になりました。
春から秋は、季節によって見つけたいアリ、行きたい場所が山ほどあるので、時間があればできる限り山に通いたいです。
今年からは一歳の息子もアリ探しデビューです

キイロケアリと好蟻性ハネカクシ
今年で中学生になった息子は、今でもアリが一番好きで、相変わらず見つけるのが上手いです。

キイロケアリとハネカクシ
アリ好きの息子がキイロケアリの巣を発見。
しばらくすると「ハネカクシがいる!」と言うので見に行きました。

キイロケアリとハネカクシ
可愛い好蟻性ハネカクシの一種がいました。

キイロケアリとハネカクシ
キイロケアリとハネカクシ
これはいいハネカクシですね〜。

キイロケアリとハネカクシ
アリが近くに来ると腹部先端を持ち上げてアリに向けます。

キイロケアリとハネカクシ
この仲間はトビイロケアリやハヤシケアリからも見つかりますが、キイロケアリからは初めて見つけました。

好蟻性ハネカクシ
こちらはトビイロケアリの巣から見つけた種。
どれもよく似ていて僕には違いが分かりません。

好蟻性ハネカクシ
好蟻性ハネカクシ
飼育をすると、アリが巣に運んできた小昆虫を食べる様子を観察できます。

キイロケアリとハネカクシ
ハネカクシを吸虫管で吸っているところを妻が撮影していました。
この写真を見て、どこかで同じような写真を見た気がしたので探して見ると。

Joeさん
ありました!
13年前に同じく妻が撮影した、アリヅカムシを研究するJoeさんとアリヅカムシを吸っているところ。
同じ吸虫管、同じ態勢で、同じことをしていますね。
今思えば物心ついたころから、ずっと自分の好きなことだけを続けていて、幸せな人生だなと思いました(笑)





2024年04月07日

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
沖縄に生息するリュウキュウアメイロアリ。
生息地では最もよく見るアリですが、いくつか面白い好蟻性生物の寄主になっているので、見つける度に巣の隅々まで調べます。

リュウキュウアメイロアリの巣で根の汁を吸っているキノカワハゴロモの幼虫たち。
アリは甘露をもらうために世話をしている共生関係。
危険が迫ると、働きアリがアゴで咥えて巣の奥へ運びます。
好蟻性のハガヤスデも歩いています。 pic.twitter.com/JY0baSXtyL

— AntRoom 島田拓 (@AntRoom_taku) March 8, 2024
巣内で根の汁を吸っているキノカワハゴロモの幼虫たち。
アリは甘露をもらうために世話をしている共生関係。
危険が迫ると、働きアリがアゴで咥えて巣の奥へ運びます。
他にも好蟻性のハガヤスデも歩いています。
さらにこの巣を調べたところ赤く輝く小さな昆虫が!?

嬉しすぎる発見‼︎
とても珍しいオキナワコバネヒゲブトアリヅカムシを12年ぶりに発見‼︎‼︎‼︎
広大な森で1.5mmの虫を見つけて、一人で大興奮していました(笑)... pic.twitter.com/jC0Au41DrG

— AntRoom 島田拓 (@AntRoom_taku) March 7, 2024
オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシーーーーーー!!!!

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
2012年に初めて発見してから、12年ぶりに見つけることができました。
広大な森で1.5mmの虫を見つけて、一人で大興奮(笑)
寄主のリュウキュウアメイロアリの巣を見つけるたびに、ずっと探していたにも関わらず、12年前に一度見つけて以来全く見つからず、ついに再び出会うことができました。
しかも見つけた場所は前回とほぼ同じで、ここにしかいないのかと思ってしまいます。
12年前に見つけた個体は「アリの巣の生きもの図鑑」P.40で紹介されています。

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
1mmちょっとしかない小さなアリヅカムシ。

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
巣の中心部で暮らしています。

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
アリに襲われることはありません。

オキナワコバネヒゲブトアリヅカムシ
とても嬉しい再会でした。

リュウキュウアメイロアリは、普通種とは言えコロニー規模もそれほど大きくならないのに、多くの好蟻性生物がいるのがいつも不思議。
コロニー規模が大きくなるアリの方が、様々な生物が入り込んでいることが多いからです。
リュウキュウアメイロアリの場合はコロニー規模ではなく、生息数が多いことが好蟻性生物にとっては寄主になりやすかったのかもしれませんね。
リュウキュウアメイロアリの巣には、実は他にもさらに珍しい好蟻性生物を過去に一度見つけていて、それも長年探し続けています。






2024年04月06日

カメルーンのヒラタハナムグリ
カメルーンで丸山さんが見つけたヒラタハナムグリの一種。
全身所々から長い毛が生えていて、ものすごくかっこいい種。

ヒラタハナムグリ
こちらは日本のヒラタハナムグリ。
シロアリの巣で暮らす好白蟻性昆虫です。

カメルーンのヒラタハナムグリ
日本のヒラタハナムグリと比べて倍くらい巨大なことにも驚きました。

カメルーンのヒラタハナムグリ
カメルーンのヒラタハナムグリ
髪の毛みたいですね。
どんな暮らしをしているのか気になります。






2024年01月20日

ハヤシクロヤマアリとトゲアリスアブ
飼育中のハヤシクロヤマアリ。
このコロニーには同居人も暮らしています。

ハヤシクロヤマアリとトゲアリスアブ
トゲアリスアブの幼虫です。
トゲアリスアブの幼虫の食事場面はまだ見たことがありませんが、アリスアブの仲間は、幼虫時代アリの巣で暮らしアリの幼虫を捕食してしまうのです。

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上の動画は、トビイロケアリの巣でアリの幼虫を食べているアリスアブです。
こんな大きくて恐ろしい敵が同居していても、アリたちはまったく存在には気が付いていない様子です。

ハヤシクロヤマアリとトゲアリスアブ
野外では5月ごろに成虫になります。






2023年10月02日

アリの巣の生きもの図鑑
2013年に発売された「アリの巣の生きもの図鑑」。
世界初となる、アリと関係を持つ好蟻性生物の専門書。
ついに電子書籍版で発売開始です!!


アリの巣の生きもの図鑑

僕自身、野外で見つけた好蟻性生物を調べるのに電子書籍化を長年望んでいましたので、とても嬉しいです。
2750円とお気軽に購入できる価格となっています。






2023年09月10日

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
オーストラリアの熱帯雨林で見つけたアギトアリの一種。

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
こちらが女王アリ。

オーストラリア アギトアリ
以前紹介した、巣内にユウレイヒレアシナナフシの卵が集められていたアギトアリです。
このアギトアリの巣からは、ナナフシの卵だけではなく、ダンゴムシの一種も見つけることができました。

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
それがこのダンゴムシです。

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
全身にイボイボの突起があります。
イシイコブコシビロダンゴムシやフィリピンで見つけたダンゴムシのような突起ですが、大きさは8mm以上とはるかに大型。

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
巣の中に多くのダンゴムシが一緒に暮らしていました。

オーストラリア アギトアリの巣のダンゴムシ
アリから攻撃をされることもなく、巣の中心部でも見つかったため、アギトアリの巣で暮らす好蟻性ダンゴムシの可能性もあると思いますが、この一度だけの観察では何とも言えません。
複数の巣からも同じように見つかったり、アリの巣以外では見つからなかったり、もっと詳しく調べないと好蟻性だと断定はできないのです。
このタイプの生物は、アリに攻撃を受けにくいので、たまたまアリの巣で暮らせていただけの可能性もあるのです。
沖縄のオキナワアギトアリの巣からも、ダンゴムシ、ゴキブリ、ウンカなどが見つかるのですが、これらも同じ空間に暮らしていても好蟻性とは言えないものもいるのです。






2023年09月03日

先日オーストラリアのミツバアリの一種をご紹介しましたが、今回は南米ペルーのミツバアリの一種をご紹介します。

南米ペルーのミツバアリ
巣の中にはたくさんのカイガラムシたちがいます。
オーストラリアのカイガラムシよりも触角が短めで、形は日本のヒラセヨツバアリの巣で暮らすキノムラアリノタカラに似ています。
そして、アリが咥えている個体をよく見ると、明らかに他のカイガラムシとは体型が異なります。
もしかしてオスでしょうか?

ヒラセヨツバアリ
↑キノムラアリノタカラ

南米ペルーのミツバアリ
このカイガラムシにも、サナギのように動かない期間があります。

南米ペルーのミツバアリ
左に山積みにされているのがサナギのような期間の個体たち。
右に成虫たちがいますが、上の真ん中あたりにいる個体がオスではないかと思います。






2023年08月20日

オーストラリアのミツバアリの一種
オーストラリアの熱帯雨林で見つけた黄色いアリ。

オーストラリアのミツバアリの一種
アリがアゴで咥えているものや、部屋を見るとカイガラムシの一種がたくさん見つかりました。
このアリはミツバアリ属の一種。
日本ではミツバアリ属は4種が生息していて、それぞれが違った種類のカイガラムシと共生関係がありますが、海外のミツバアリの仲間も、同じようにカイガラムシと共生関係があるのです。

オーストラリアのミツバアリの一種
共生していたカイガラムシ。
触角が長くて体は毛深くて、日本のアリノタカラとは外見が全く異なります。
以前、香港、マレーシア、ボルネオなどで見つけたミツバアリも、同じようなカイガラムシと暮らしていました。

オーストラリアのミツバアリの一種
そしてこちらには、卵などが置かれていて、その周りには小さなカイガラムシがいました。
そして右上には大きなカイガラムシがいますが、これがおそらく成虫です。

オーストラリアのミツバアリの一種
この山積みにされた卵や幼虫など。
一見アリの卵や幼虫に見えるのですが、置かれているのはそれだけではありません。
大きなのは何とカイガラムシなのです!
カイガラムシの仲間は不完全変態ですので、サナギの段階はないのですが、ミツバアリと暮らすアリノタカラの仲間は、サナギのような期間が存在するのです。
この間は、全身包まれたように脚も毛もなくて、まったく身動きはできません。
そして、アリたちにまとめて置かれていて、なぜか必ずと言ってよいほど、卵も一緒に置かれます。
このように動けない無防備な期間があっても大丈夫なのは、アリたちの世話があるおかげですね。






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traq