マネタリズムを検証する ー 失われた20年の正体(その8)
- 2014年1月23日
- 経済
- ケインズ, ハイマン・ミンスキー, マネタリズム, ミルトン・フリードマン
- 2 comments
- 島倉原
こんにちは、島倉原です。
今回は、「(失われた20年の原因についての)金融緩和不足説」の源流であるマネタリズムの創始者、ミルトン・フリードマン(アメリカの経済学者、1976年ノーベル経済学賞受賞)の著書「Post
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> 「マネタリーベースに対するマネーストックの倍率(いわゆる『信用乗数』)が不変、または(銀行危機が緩和された結果として)上昇する」という前提で、「もしマネタリーベースを現実よりもXX億ドル増やしていたら、民間銀行の資金供給能力が増大し、マネーストックもYY億ドル増えていたはずだ」という議論を展開しています。
はい、この時点でちゃんと読んでないことが発覚。フリードマンは信用乗数が不変だなんて言ってないどころか、金融収縮期に低下することを述べている。問題は信用乗数が低下することではなく、マネタリーベースを「完全にキャンセルアウト」するように低下するか否か。そして、そこまで厳密な対応性は存在しないと観察結果から読み取ったわけだ。
言葉足らずだったかもしれませんが、
ここで言う「不変」とは「低下した現実の信用乗数に対して不変」という意味です。
つまり、表1の1933年1月の数字に即して言えば、「この時点でマネタリーベースを現実の2倍の164億ドルにしていれば、マネーストックは少なくとも現実の2倍の688億ドルにはなったし、実際には信用収縮が改善してそれ以上になっただろう(つまり、信用乗数は現実の4.20倍よりも大きくなっただろう)」というのが、フリードマンの議論だと理解しています(「大収縮」の「第6節 代替策」参照)。
これに対して、「マネタリーベースを拡大するだけでは資金需要サイドの問題は解決しないため、マネーストックはフリードマンが言うほどは(恐らくほとんど)増えず、信用乗数は4.20倍よりよりもさらに低下していたはずである」というのが本稿の議論です。
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