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7月26日に内閣府より「中長期の経済財政に関する試算」が発表された。例年通り、この試算は国民を欺くものであり、オオカミ少年の名にふさわしい内容のものである。同様な試算は毎年発表されており、その一覧は以下のサイトで見ることが出来る。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome.html
これは日本経済の中長期展望を示すために内閣府計量分析室が行った試算だが、国が様々な分野で将来展望を示すための試算を行う際にはこの試算がベースになっているから非常に大切な試算だ。マスコミもこの試算が絶対的に正しいものと信じており(騙されているのだが)それ以外は一切引用しない。こんな欺瞞的な試算に簡単に騙されてしまう人は余程経済音痴な人だ。
消費税が5%から8%に増税される前に内閣府は消費増税が経済に与える影響は軽微だと主張していた。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h24chuuchouki.pdf
ここには一体改革を行った場合(つまり消費増税を行った場合)と行わない場合(増税なしの場合)の比較がしてある。それによると増税ありの場合2012年から2016年までの4年間の実質GDPの成長率は合計で7.6%、増税なしの場合は7.7%であって、4年間の合計で僅か0.1%の差しかないと予想した。しかし実際は2013年度から2014年度の1年間だけでその30倍の3.0%の落ち込みがあった。その後も消費が落ち込み経済に深刻な打撃を与えたことは皆さんご存じの通りである。
このように国民を欺き、経済に大打撃を与えたことに反省したかと思ったら、そうではなかった。2019年10月に延期された8%から10%への消費増税の再引き上げへの予測が7月26日の試算に入っていた。懲りもせずまたこの消費増税の引き上げの影響も「軽微」と主張している。事実上影響は全く無いと言いたいようだ。実際実質GDP成長率は2018年度が1.8%、19年度が1.9%、20年度が2.0%なのだそうだ。
そんなわけないだろと電話したら、増税時期が年度が始まる4月ではなく、年度の真ん中の10月だから駆け込み需要とその反動が丁度打ち消し合って全く見えなくなるのだそうだ。しかし可処分所得が下がることによる落ち込みがあるはずだと私は食い下がったが、その所得効果は入っているとの返事。
そんな軽微な効果しかないのであれば、前回の消費増税による消費の落ち込みは何だったんだと言いたい。要するに、内閣府は政府が希望する成長率を「鉛筆なめなめ」で書き写しているだけなのだ。とても試算と言えるものではないし、信頼に値するものでもない。現在のような経済運営では、2019年になっても、まだ経済は低迷している可能性がある。そのとき再び政府は消費増税をするのかしないのかの決断を迫られる。この内閣府の試算に騙されるなと言いたい。
小野盛司
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