私は映画「DEVILMAN」に助け舟を出します
- 2013年12月31日
- 文化
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- 牧之瀬 雄亮
2004年に、永井豪原作の漫画「DEVILMAN」の公開された前後二三年というのは、漫画・アニメ原作の実写化映画の乱れ打ちのような時期でした。宇多田ヒカルの元ご主人紀里谷氏による「キューティーハニー」、羽生生純氏のコミックを松尾スズキ氏が撮った「鉄人28号」や森田よしのり原作の「DEVILMAN」にあっても、あの永井豪の暑苦しい絵柄とは似ても似つかない若いアイドル兄弟がキャスティングされたことというのはかえって、原作で暑苦しさのために見えづらくなっていたストーリーをスッキリ見せる効果があったんじゃないか、実は慧眼だったんじゃないかとさえ思ってしまいます。漫画原作の映画作品はだいたい制作が始まる頃から「おいおい大丈夫かよ」などと熱心なファンの声が上がります。熱心なファンというのはこれまた厄介で、漫画が自分の思うとおりに映像化されてほしいものですから、きっとどう映像化されても不平不満があるのです。全員ではないでしょうが過半数の大きな声としてはこれが占め、またその委ね易さから多くの人がこの意見に加わっていくのだと思います。漫画なんて絵ですから、ある人格を漫画化するときどうしても人間性の一部を特化させて登場人物をこしらえなければなりません。その漫画の登場人物を生身の人間である役者が演じようとするとき、漫画の登場人物の様子に加えて何らかの余計な情報が付随するのは当たり前のことです。叩いてもそれを読むほうが知らない作品だといまいちセンセーショナルの度合いに欠ける、したがって記事になりにくい。自分の知り合いの作ったものや、商品として取り扱っているものの中にだってひどい映画はいろいろあったに違いないのにも関わらず、東映の大御所である那須博之監督ならケチョンケチョンに言っていいんじゃないかなとかいう心理がどこか働いていたとみて不自然ではないでしょう。私はこのような自称批評家気取りの寄り合いが大嫌いです。「みんながこういっているからこう言っちゃおうかな」という人間の言説振る舞いを見ていると、歌手友川かずきの「そうだ、たこ八郎がいた」の歌詞の一節を思い出さずに居れません
『何が死だ 生でもないくせに 気違いになる時から 生きるのぞ』
映画を批評するときに映画を作ったことがない人間が批評してはならないとまでは言いませんが、少しぐらい気取って「みんなと違う意見を言ってやろう」とか、「俺はこの映画を、絶対にどこか褒めてやる」という気構えぐらい持ったってバチは当たらないし、死にゃあしません。奇っ怪な服を着て個性個性と浮かれるなら大多数に甘えるなんてみっともないことしないでそれぐらいのことをしてみろよと言いたくなるのです。自分のコミュニティの中でいい顔するのが個性なのか。そこですらアウトサイダーを気取れもしない人間の主張ひいてはその人生なんて、時代の荒波の前にあってはケシカスのようなものです。その実そういう人間の性質は非常に質の低い快楽主義者のお面にすぎないでしょう。私は言いたい。皆さん!アウトサイダーを気取ってください!そして本質的にそうなれば、それを見つけて価値を感じる人と遅かれ早かれ知り合ってしまうことになると思います。自分の中から出てくるかすかな声を周囲の声でかき消すことで迎合して小さくまとまっている人間なんかどうでもいいんですよ。自分の中にあるこの声は何なんだと丁寧に付き合っていけば、あなたの五感、六感はこれまで以上に躍動することでしょう。そうやって生きて欲しい。
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