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昨年の一人当たりの名目GDPは、OECDの中で日本はイスラエルに抜かれ20位になったと内閣府が発表した。内閣府が発表した資料で「国民経済計算 昭和30年〜平成10年」を見ると、一人当たりの名目GDPは1993年と1994年は日本が世界一だった。日本は世界一豊かな国だったわけだ。その後、ルクセンブルグが統計を見直して、GDPを上げてきたのでこの期間日本を抜いてトップになったと発表した。あの小さな国だから統計もいい加減で、信用できないし、差もごく僅かだったから、事実上日本は世界一豊かな国であったのは間違いない。
日本経済が転落し始めたのは、小泉政権の時代だ。2007年には一気に19位まで転落してしまった。その原因は小泉氏の「痛みに耐えよ」という政策だ。すなわち貧乏に耐えよとの主張である。日本は繁栄を誇っていたのに、国民からお金を取り上げ、貧乏を国民に強要した。貧乏に耐えれば、国の借金は返せると勘違いした小泉氏、経済学を知らない悲しさだ。国民を貧乏にすれば、景気は悪化、税収は減り財政赤字は拡大、国の借金は逆に増え続けた。世界最強の一つだった日本の製造業も、国民がカネを使ってくれなければ、最新の設備を導入するなどできないから、弱体化し近隣諸国に追いつかれ追い抜かれつつある。
アベノミクスも日本窮乏化政策を続ける。2回の消費増税も強行され実質所得も下がり続けている。いわば日本人にはお金を持たさず、増税で更に貧乏にし、円安でドルベースで見た日本人の所得を下げ、逆に外国人には日本製品を安く売る。外国人優遇、日本人冷遇の政策を続ける。
このままだとどこまで日本は貧乏になるのか。政策を根本的に変えない限り、果てしなく貧乏になる。かつて世界一豊かだった日本が、将来は、台湾、韓国等に抜かれ貧乏な国として軽蔑されるようになる運命にある。
今からでも遅くない。経済政策を180°転換せよ。消費増税でなく、消費減税をすべきだ。法人税、所得税も同時に減税を行えば良い。それに財政支出の拡大だ。人工知能、IT、IoT、ロボットへの大規模投資は特に重要だ。農業、小売業、運輸、建設業等の分野で大規模なIT化を進めるべきだ。さらに医療・介護・福祉・教育・国土強靱化等、国がやらなければならない施策は多い。同時並行で実施すればよい。人手不足には徹底したIT化で、省力化し、余った人材を足りない分野に振り向ければ良い。
財源はといえば、刷ったお金でよいではないか。日銀が刷って、日銀当座預金でタンス預金化しているお金が255兆円あり、金庫に眠っているお札が約100兆円あり全部で355兆円もある。国は遠慮無く、国債を発行し、これらの資金を調達し財政支出として使えば良い。我々の年金は大丈夫なのかということだが、これだけ刷ったお金があれば、全く困ることはない。このお金を使えばインフレになるのではないかと心配する人がいる。2〜3%のインフレになれば、念願のデフレ脱却が実現し日本経済の大躍進が始まるのだ。ただし、2〜3%のインフレ率を実現するには、誰もが驚くほどの大規模な財政支出を行わない限り不可能だということだけは認識しておくべきだ。
次世代が引き継ぐ日本、貧乏にして渡すのか、繁栄させて渡すのか、今が決断の時だ。
小野盛司
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