国民にはさっぱり理解できないマイナンバー
国民全体に12ケタの番号を割り振るマイナンバー、実際の運用は来年の1月以降ですが、すでに企業はその対応に追われています。企業は、番号の通知以降、すべての従業員と、その従業員の扶養家族のマイナンバーの提出を求め、確認もするという作業を行わなくてはなりません。
IT企業では、システムの改修でマイナンバーバブルのようなものが発生しており、人手不足でウハウハの状態だそうですが、一方で、国民の方ではほとんど周知がされていません。今年の1月に行った調査でもその内容を理解しているという方は3割にも満たず、7割の方が分からないと答えているという状況です。
どこまで範囲が拡大するのか分からないマイナンバー
今回のマイナンバー制度に関する議論で、最も問題視されているのは、その個人情報の問題と、マイナンバーの適用範囲の問題です。この二つは基本的にトレードオフの関係であり、適用範囲を拡大するほど、一般にその利便性(最も、この利便性という言葉が厄介で、必ずしも国民にとっての利便性とは限らないのですが)が高くなる一方で、個人情報の取り扱いや漏えいのリスクやデメリットは拡大します。一方で、個人情報の取り扱いや漏えい時のリスクを最小化するためには、出来る限りその適用範囲を限定的に狭める必要がありますが、その適用範囲を狭くすればするほどに、活用範囲の狭いあまり意味のない制度となってしまう可能性があります(のちに説明する住基ネットなどは、このように個人情報の取り扱いに関して慎重に配慮した結果、それほど画期的なシステムとはなりませんでした)。
よく分からない政府の説明
今年に入ってから、政府も国民の理解が足りていないというということに気付いたのか、テレビCMや新聞のチラシ等でマイナンバーの周知に努めていますが、残念なことに政府の行っている通知では、「マイナンバーは大切な番号です」「大切な番号であるマイナンバーが配布されます」というようなこと以外はさっぱり内容が分かりません。
そもそもマイナンバーって何なの?
内閣官房の資料によると、マイナンバーとは、社会保障・税番号制度であると説明されています。このマイナンバー制度の仕組みとしては、政府の説明によると大きく3つの仕組みがあります。一つは番号を付けること(1付番)次に情報を連携させること(2連携)最後に、それが間違いなく本人であることを確認するということです(3本人確認)。この3つが3本柱となります。
このマイナンバーの特徴としては、民民間の間で流通する視認性の番号であるということです。たとえば、これまでにも11ケタの住民票番号というものがありますが、私たちが日常でこの11ケタの住民票番号というものを使用する機会はほとんどありません。ですので、普通の人は自分の住民番号が何番であるかなど覚えてはいませんし、まして他人の番号を確認することなどはほとんどないでしょう。しかし、こんどのマイナンバーでは、民民間の間で流通するため皆が日常的に自分のマイナンバーを利用したり、他人のナンバーを見ることになります(視認性)。
また、複数の行政機関の間で、それぞれの機関ごとに個人番号を使っている同一人の情報を紐づけし活用します。つまり、色々な機関がそれぞれ持っている情報を共通の番号を使用することで効率的に取り扱うことが出来るようにします。また、その番号の持ち主が間違いなく自分であることを確認する仕組みとしてカードが配布されます。
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