維新サイドは、藤井聡氏の番組への働きかけがどのように放送法四条の政治的公平を侵害するのか説明する義務があります
最後に、実際に藤井聡氏が行った番組への働きかけについて検討してみましょう。維新の会が入手したとされる「私信」(そもそも、如何なる手段を用いて維新の会はこのような指針を入手したのか?仮に権力者が不当に入手した私信を公表したとなれば、それだけでも非常に大きな問題であるといえるでしょう)によると、藤井聡氏は番組に働きかけて、今度の大阪W選挙特集で使用したパネルの内容を変更してもらったそうです。
変更前のパネル
維新:副首都とIRで「国際エンターテイメント都市」&都構想
自民:リニア交通網で「近畿メガリージョン」&大阪会議
変更後のパネル
維新:副首都とIRで「国際エンターテイメント都市」←これを都構想+大阪維新の会で実現
自民:リニア・交通網で「近畿メガリージョン」←これを与党の力+地域連携で実現
この内容変更に関して、藤井聡氏は、最初のパネルではそれぞれの政策の内容が正確には伝わらないのではないか?ということを懸念して、パネルの内容の変更を要請したそうです。つまり、最初のパネルの内容では、放送法四条の三「報道は事実をまげないですること。」というルールに反すると考えたからこそ、内容の変更要請をしたのです。
では、変更前と変更後のパネルで一体、どちらがより現実、もしくは真実に近いか検討してみましょう。維新の政策は大阪維新の会が主体となって推進するため、「大阪維新の会で実現」という内容を加えることは全く問題ないでしょう。また、副首都構想を実現するための実務上の根拠は都構想以外にはあり得ません。そもそも大阪が「都」にならなければ、副首「都」になることも論理的に不可能でしょう。となると、やはり維新の政策に関して「これを都構想+大阪維新の会で実現」と説明を加えることは、事実を正確に伝える上で必要な措置といってよいと思います。
また、自民のリニア交通網や大大阪構想を軸にした「近畿メガリージョン」に関しては、そもそも自民党の力つまり、中央との協力や、近隣都市との地域連携を前提にした政策案であるため、やはり自民の側の政策に関して「これを与党の力+地域連携で実現」と説明を加えることも、何ら問題はないどころか、むしろ正確性を期すためにも必要ですらあると考えられます。
仮に、維新サイドがこのようなパネル内容の変更が政治的公平の原則や、報道の正確性を損なうと主張するならば、具体的に変更後のパネルにどのような問題があるのかを説明する必要があるでしょう。
卑劣な印象操作にご注意を・・・
おそらく、維新サイドはこのような具体的な内容や問題点に関する指摘は行わず、「藤井はコメンテーターの立場を利用して番組に圧力を掛けた!!」「藤井を出演させることは番組の政治的公平性を犯す行為だ!!」といったレッテル貼りや印象論による攻撃を行うでしょう。
願わくば、一人でも多くの方が、このような悪質なレッテル貼りに騙されることなく、しっかりと議論の内容に関して吟味した上で、これらの問題についてどのように考えるべきか判断してほしいと思います。
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