閻魔
閻魔(えんま)は、特に人魂を専門に扱う卸売業者の俗称。一般には死した人間の魂を選別し、その魂質によってそれぞれ天国や地獄といった冥土に分別出荷する職業を指す。こんにゃくが好物らしい。 インド神話に登場する冥府の神「ヤマ」が起源となっている。 別称として、十二天において南方を守護する「焔摩天」で呼ばれる事もある。
概要[編集 ]
あらゆる生物の魂は身体が死を迎えるとそれを離れ土に還る[1] が、人間は脳を発達進化したために魂質も応じて幅が広く、冥土の者達の飯の種にはもってこいの代物である。そのため、資源の少ない冥土の者達は、人間が死んだらその魂が自動的に回収される機構を作り上げ、それが少しずつ体系化されていき、今のシステムとなった。
まず彼らは、現世と冥土との間にフィルターを設け、特定以上の魂質を持つもの、有体に言えば人間の魂だけが死ぬと自動的に冥土に入ってくるようにした。これにより死んだ人間の魂をわざわざ迎えに行く手間が省かれ、入ってきた人魂を順繰りに処理すれば良いだけとなったが、まだ死んでいない者が間違えて冥土に辿り着く事故が多発した[2] ため、最終防衛ラインとして三途の川が設置された(生きている者はここで強制的に沈められて死者にされる仕組み)。逆に冥土側の需要が多くなりすぎた場合は、死神に依頼して現世で適当に魂を盗んでくることもある[3] 。こうして此岸に辿り着いた人魂は冥土の運送業者によって彼岸まで運ばれる。そのための定期列車も整備されており、かつて手作業で運んでいた時代とは隔世の感があるというのは現世も冥土も変わらないようだ[4] 。人魂が燃えているように見えるのはこの列車の燃料として使うためであり、とてもエコロジーかつ安全。ただし車体を投げられたり脱線で川に落ちてしまうこともあるリスクもあるため、業者は脱出のための訓練を欠かさないのである。
魂は彼岸に送られたところから閻魔の管轄となる。主な仕事は魂質のチェックと出荷先の指定であるが、人間の数が余りにも多いため非常に激務である(そのため最近はウォルマートのベルトコンベア式レジを参考にしようとしている)。出荷先は大別すると、特に善質の魂を好む人々が集まる天国と、悪質の魂を好む人々が集まる地獄の二つに分けられるが、転生待ちや蘇生待ちなどの例も稀ながら存在する。また善質悪質が曖昧なものは天国でも地獄でも需要がないため、人間が増え始めてからはそういった中途半端な商品は出荷されず、そのまま処分(現世消滅)されるようになっているのが本来の決まりだが、これでは処分の費用がかさむだけなので、死体に戻してゾンビとして蘇らせ、ホラー映画などの題材として有効活用している。
出荷された人魂はそれぞれの世界で販売され、主に食料として利用される。特に天国の人々の数が多いため、昔から冥土のセールスマン達が現世にやってきては「善行を積むべし」という宣伝活動を行っているが、目立った効果が出る事はほとんどなく、卸売業者たる閻魔はいつも頭を悩ませている。そもそも冥土の基準で善悪を判断しており、現世に生きる人間達のそれとは果てしなく異なるため完全な一致は不可能と言えるが、彼らはその差を少しでも縮めようと日々活動を行っている。奨励する善行の主な内容は喜捨・魔女狩り・異教徒皆殺しなどであり、活動の成果は主にイスラエルやアメリカ合衆国および中東各地で現れ始めている。そしてこれらの国で成果が上がっていることは、閻魔にしてみれば思わぬ誤算だった。なぜなら殉教が盛んなため、殉教者が無条件に天国行きになることで閻魔はその分仕事をしなくて済むからである[5] 。
その裏で、実は現世で社長に扮して大金を稼ぐことで豪遊生活を狙っており、経営に関する勉強に余念がない。このため閻魔が金の亡者になることは時間の問題であり、またこれから天国へ行くためには金の亡者になることが必要になるのではないかと言われ、善悪の判断基準は稼いだ金の多寡により決定されると思われる(閻魔自らが「地獄の沙汰も金次第」であると主張しているのだから)。しかも、上記の面倒かつ忙しい仕事は秘書に任せきりとなり、99年間社長を勤めている間におびただしい数の秘書が過労死しているが、死亡した秘書への措置は放置されたままである(死人は一銭も稼いでくれないため)。その傍らで本人は国家予算単位で遊園地を建てるなどやりたい放題であり、その資産はどんなに少なく見積もっても数十兆と言われる。そして豪遊生活どころかますます金銭欲が強まる結果となり、もはや本来の仕分け作業は副業以下との噂も[6] 。
死後の世界の是非[編集 ]
現世においては、天国は安楽、地獄は苦痛の地であると紹介されているが、これは天国行きの魂を増やすための情報活動であり、実際にはどちらもさほど変わらない。ただ、天国の人々はどちらかといえば生食を、地獄の人々は調理を好む傾向があるため、現世における釜茹地獄や針山地獄などの地獄表現もあながち間違いではなかったりする。要は安楽状態で食べられるか、苦痛を味わいながら食べられるかの違いでしかなく、北斗有情拳を浴びた状態で生きたままバリバリ食べられる方が良いなら善行を、煮たり焼いたり蒸したりの食事前段階でサックリと殺された方がマシだと思うなら悪行を積んだ方が良い。
脚注[編集 ]
- ^ おっと、砂漠だと風化して塵になるだけだった。
- ^ 幽体離脱がその一例。運が悪いとそのまま戻ってこない。
- ^ 無差別殺人事件や戦争で「殺す相手は誰でも良かった」と語る動機はまさにこれである。
- ^ 昔は船で運んでいたらしく、時代と共に手漕ぎ⇒モーターボート⇒ホバークラフト⇒ターボスキーと進化していったが、沈没映画を見た業者によって取りやめとなった。なお、この列車は生きている者でも乗っていると最終的に冥土送りになるため、生者が間違えて冥土に到着してしまう事故は現在も発生している。
- ^ 殺された異教徒も浄化されて天国行きになるという説もある。なんだ、宣伝などしなくても天国にはいくらでも魂が集まるではないか。
- ^ これについては黙示録を参照のこと。全知全能の神に業務を委託して、終末の日に一元管理してもらうことで全作業を1回の手間で終わらせるという手法を採用したため、今のところ問題は起こっていない。ただしこれにより閻魔自身が地獄に落とされる可能性も出てきた。