羊
羊(ひつじ、ヒツジ)とは、人間が生活に利用する、いわゆる家畜の一種であったが、次第に人間を生活に利用している例が見られるようになった生物。
主な種類[編集 ]
羊の原型は8000年から1万年前にはすでにいたとされ、現在その品種は細かく分けると大変多く紹介しきれない。そのため、主な飼育種のみ挙げておく。
- メリノ種 - 最も一般的で、羊毛もほとんどこの種から取る。
- リンカーン種 - 下顎に黒い毛を多数有する。
- サウスダウン種 - 暑さに弱い。
- ロムニー種 - 2008年マケイン種に負けてから元気がない。
- マケイン種 - あまりぱっとしない。手足が短い。
希少種[編集 ]
- アミルスタン種 - 御存じありませんか、実に美味いんですがね。そちらの恰幅のいい旦那にだけこっそりお教えしましょう。ささ、どうぞ厨房へ。
毛の利用[編集 ]
羊の毛は白く、大変美しい。一回飲み込んだ草をまた吐き出してクチャクチャ噛む動物のものとは思えない。水に濡れると縮み、虫がつきやすく、すぐ擦り切れ、引っ張るとちぎれ、日光の当たるところにほうっておくとあっという間に黄ばみ、石鹸で洗うと溶けるという実に面倒な繊維であるにもかかわらず、その神秘的なまでの美しさゆえに昔から世界中で愛され、国家間での取引も行われた。
皮の利用[編集 ]
紙の普及以前、西洋などで紙として使用された。皮をはいで、毛を一本一本抜いて、枠にしっかり張って薄くして、表面をそぐという大変な手間をかけて、分厚く固く紙とは呼べない代物を一生懸命作っていた中世ヨーロッパの職人のことを思うと、笑い、もとい涙を禁じえない。
肉の利用[編集 ]
羊肉はさっぱりとしていて臭みも少なく、ユダヤ教徒がさまざまな理由をつけて食べられるようにしたほど美味である。
部位のわけ方[編集 ]
さまざまだが、正式な方法では10の部位に分かれる。
- Scrag end - 首肉。柔らかさに欠ける。
- Middle neck - 脂肪が適度にのり、美味。
- Best end - ロースト向きの部位。
- ロイン(Loin) - ステーキもしくはローストに向いている。
- Chump - 脂肪多め。カバブなど。
- 脚(Leg) - 羊の肛門括約筋は人間のものに比べ締まりが良くなく、あまり用いられない。
- 肩(Shoulder) - カレー・シチューなど。
- 胸(Breast) - ローストもしくは煮て食す。
- 脳(Brain) - 後述。
- 砂糖とチョコレートでコーティングし、「M&M's」として販売。
脳[編集 ]
中世以降、一部の羊の脳の容積が急激な速さで増加するという現象が起こり、知能は格段に発達した。これは、16世紀、イギリスにおいて「囲い込み」といわれる大規模な羊の飼育が始まり、能率を上げるべく飼料の大幅な変更が行われたことが原因と考えられている。 羊の知能の高さにいち早く気づいたオーストラリア人は羊の脳を取り出し、口からじかに摂取することにより知能の向上を試みた。現在もこの実験はオーストラリアの各家庭において不定期に行われているが、はっきりとした効果があったとの報告は今のところない。 ちなみに、人類史上初めてヒトの脳の副作用を伴わない摂取および知能への効果の発現に成功したアメリカのH・レクター博士は、羊の場合も知能への何らかの影響は期待できるとした上で、実験の失敗は脳を加熱したことが原因と指摘し、生での服用を奨励している。
等級[編集 ]
羊は、基本的に若い方が等級は高い。若い順にラム、ホゲット、マトンなどと言い、個人の嗜好によるが、やはりラムのほうが喜ばれる。誰もが若く可憐で柔らかい肉を欲するのだ。2008年の洞爺湖サミットでも、各国の首脳に幼い子羊の肉が出され、好評であった。このとき某民報では、小さなかわいらしい子羊が跳ねている映像を見せた直後に料理の紹介を行ったが誰も気にせず、それどころかレポーターをはじめカメラに映る多くの人の顔は輝いていた。何処までも華奢でか弱いイメージを持つ子羊は、嗜虐心をそそるのであろう。
その他[編集 ]
比喩としての羊[編集 ]
羊はしばしば狼に襲われる弱い立場のものとして描かれる。「迷える子羊」は、羊を、頼りない不安定なものと捉えた表現で、人々を宗教に導くための決まり文句として頻繁に用いられる。しかし中世以降、このような認識を根底から覆すような事態が各国で発生し、ごく一部の人々は、自らの固定観念の誤りを心から後悔することになる。
ドリー[編集 ]
1996年7月5日、スコットランドのロスリン研究所にて、世界初の哺乳類の体細胞クローンが誕生した。6歳の母親の遺伝子から作られたこの雌羊は、趣味の悪い職員により巨乳女ドリー・バートンにあやかったドリー(Dolly)という名を与えられた。赤ん坊のくせにどうも老け顔なのでおかしいと調査したところ、遺伝子の状態がすでに6歳であったことが判明した。大失敗である。それからというものドリーの世話は雑になり、毎日の餌は減り、柵で囲まれた狭い敷地で、ドリーはどんどん弱り、2003年2月14日に6歳で死んだ。いいことがひとつもなかった。現在エディンバラの王立博物館で、やせこけた、老け顔の、見るも哀れな姿の剥製を見ることが出来る。見たい?
恐るべき羊たち(羊人大系・序章)[編集 ]
先に述べた急激な脳の発達により、思考能力だけでなく運動能力もひじょうに高い、恐るべき羊たちが誕生し、世界各国で見られるようになった。以下は驚くべき進化を遂げ、将来人間を完全に支配する可能性を秘めた羊たちの例である。なおこれらはUMAとは異なる。
アメリカ[編集 ]
[フレーム]
1950年ごろ、アメリカに人語を操る羊が誕生した。ラムチョップと名づけられたこの羊は生後間もなく二本足で立って歩き、驚くべきスピードで完璧な英語を習得し、歌とダンスを覚えた。50年代中頃にはアメリカの子供番組の司会として華麗にデビューし大ヒット、5年連続エミー賞を受賞するという偉業を成し遂げた。副司会のシャーリー・ルイス女史が1998年に他界したため、現在はその娘のマロリー・ルイス女史を常に脇に従え、独特の歌と巧妙な話術により子供を洗脳し続けている。副司会交代の際に、「ラムチョップのアフターダークショー」で大人に対する洗脳も始め、今やアメリカ国民のほとんどがラムチョップ信者であると思われるが、その大規模な洗脳活動の目的はいまだ明らかになっていない。
イギリス[編集 ]
「脳」の項目でも述べたが、女王エリザベス一世の頃のイギリスでは、フランドルとの羊毛の取引のために大規模な囲い込み政策が実施され、多くの農民の土地が潰された跡に大量の羊が飼育された。そのようにして何処もかしこも羊だらけになっていた当時、正確には1516年に、トマス・モアにより次のような報告がなされている。 「以前は大変おとなしい、小食の動物だったそうですが、この頃では、なんでも途方もない大喰いで、その上荒々しくなったそうで、そのため人間さえもさかんに喰殺しているとのことです。おかげで、国内いたるところの田地も家屋も都会も、みな喰い潰されて、見るも無残な荒廃ぶりです。」 この「羊が人間を食う」という恐ろしい報告に政府は耳を貸すことなく、それどころかおろかにもこの賢明なる報告者を、国王至上法への反発という名目で処刑し、事実を闇に葬った。民の命よりも国益を優先したのである。よって恐怖の人食い羊はイギリスに残され、種が根絶したという報告は現在までない。なお、目撃情報もモアの処刑以降全くないが、これはつまり、人食い羊の目撃者はみな例外なく食い殺されているか、政府により秘密裏に抹殺されている可能性があることを示している。
実際、羊による異様な行動はしばしば確認されており、最近では、2004年に、脱走防止用の鉄格子やフェンスを特殊部隊さながらに集団で回転して突破するのが目撃されている。
トルコ[編集 ]
2005年、崖から羊1500頭が投身自殺を図り、うち450頭が死亡したという報告がある。動物行動学の権威コンラート・ローレンツは、「ソロモンの指輪を用いて動物たちと言葉を交わし、多くの実験を行ってきたが、動物が意志を持って自ら命を絶つ可能性はまずない。」と、動物の自殺を否定(レミングの集団死は現在、集団移動の最中の事故であるとされている)し、自殺は人間にのみなしえる行動だと断定していた。しかしこのトルコにおける集団自殺には、狼に襲われるなど、羊が崖に追い込まれる理由がなく、羊による人間並みに高度な思考の結果と見られている。
日本[編集 ]
日本にも、特異な能力を持つ2頭の羊が過去に存在したといわれている。
1978年、北海道で、ある旅行者により目撃された羊は、二足歩行でかつ流暢な日本語を話したという。身長は150センチ、猫背で足が曲がり、登山靴を履き、セブンスターを愛用していたらしく、特徴も嗜好も極めて人間に近く、この点でラムチョップより進化しているといえるかもしれない。ちなみに、背中にジッパーがついていたという情報もある。
他の一頭は、1936年、満蒙国境付近で放牧の調査をしていた農林省の役人の手で日本につれてこられたもので、毛は純白で背中に茶色い星型の模様があったという。この羊は、人間の体内に入り込み内側から支配し操るという、ほかには見られない能力を有しており、モンゴルにいた際は、チンギスハンの体内に入っていたという記録がある。農林省の役人を散々操った挙句、羊は獄中の右翼青年に目をつけ、やがて戦後の闇社会を掌握する大物に仕立て上げた。この男の体を借りて強大な権力機構を作り上げ、この国を完璧に乗っ取ろうとしていた羊の計画は、一人の勇敢な青年による捨て身の行動により、あと一歩のところで食い止められた。北海道の山奥の別荘で友人が羊を殺したという自称広告代理店経営者(29)の証言により調査が行われたものの、建物はすでに破壊されており、持ち主も死亡していたため、羊の存在も、その生死も定かではない。もしこの羊が実際に存在していたならば、もっとも恐るべき能力を持った種であったことはいうまでもない。
まじない[編集 ]
羊たちの奇怪な行動は、長年にわたり自分たちを私欲のために散々な目にあわせてきている人間たちへの抵抗ともとれる。羊達の沈黙が破られるとき、我々はきっと地獄を目の当たりにすることとなるだろう。
ここまで辛抱強く読んだ、賢明なるアンサイクロペディアンの一人であるあなたへ、人類の未来への底なしの不安から逃れる術を教えよう。 「羊が1匹羊が2匹羊が3匹羊が4匹羊が5匹羊が6匹羊が7匹羊が8匹羊が9匹羊が10匹羊が11匹羊が12匹......」
これを死ぬまで続けることだ。