ラスボス
ラスボスとは、ゲームの最終決戦を彩るすべての設計者である。
概要[編集 ]
ラスボスとはLast Bossを略した和製英語である。主にテレビゲームにおいて、クリア直前に登場する最後のボスのことを指す。大半のロールプレイングゲーム、アクションゲーム、シミュレーションゲームでラスボスが設定されている。
ラスボスとは世界設計に携わり、すべての敵キャラを統べる存在である。しかしながら、途中でラスボスとしての地位を他者に奪われてしまう自己矛盾したヘタレも多く存在する。なので、多くのプレーヤーは、「最後までラスボスがその地位を守れるのか?」を最初に推測する。その基準はラスボスが凶悪そうかである。凶悪な場合は大体途中でやられてしまい、それほど凶悪でない場合は最後までボスの地位を守る傾向がある。ただし、例外も多いので、一概には決めつけられない。
本項では、最初から最後までラスボスとしての地位を守った猛者たちを「魔王型」、途中でラスボスの地位を簒奪した者を「セカイ型」、最初から主人公と戦い後に何度か交戦し最終的に完全に決着を付ける者を「ライバル型」として三分し、考察する。
魔王型[編集 ]
勇者がやってくるまでどんな悪事を働いていたのか分からないタイプで、最後までその地位を守るラスボスである。この「魔王」は一見悪の帝王のようだが、実は自分を倒してくれる新たな勇者を育成することに日々愛情を注いでいることが大人たちの調査により明らかになった。
魔王は新たな勇者候補を見つけると、その周囲の村に平凡な女でも倒せてしまえそうな最も弱い魔物を選んで配属する。そして、最も弱い管理職の魔物に命令して最初のボスとなるよう命じ、他の冒険者に倒されないよう気を付けながら、対象の勇者がやってくるのを待ち構えて決戦する。別の冒険者がやってきた場合、魔王はより強い魔物をこっそり派遣して抹殺しておく。村人などの人質の喉元に武器をつけながら、勇者がやってくるまで何日間も留め置いて、町のピンチを演出することも忘れない。魔物が街を襲わないのも実は魔王の命令によるものだ。
ただし、魔物たちに手を抜かぬよう命じることも忘れない。勇者が力不足だった時、決戦現場に倒れた勇者を「おお、氏んでしまうとは情けない」と言って村の拠点まで親切に送り返してやるのも重要な業務である。上の言葉は実のところ、教会の司祭の言葉ではなく、慈悲深き魔王様の言葉なのだ。
その後も魔王は、少しずつ勇者が強くなれるよう自分の配下たちを弱い者から順番に配置していきながら、途中で勇者に飽きられないように各種イベントを起こしていき、勇者が成長していく過程を魔王の城から温かい眼差しで見守る。そして、勇者が魔王の城に辿りつけるまで強くなったら、「おお勇者よ、魔物をジェノサイドするとはお主も立派な魔王なるぞ」と言って最終決戦を挑む。勇者は勝った後、魔王から「新ラスボス」の称号を授かり、世界平和の名の下で新たな魔王として勇者という敵のいない新世界に暫く君臨する。[1]
上は主にロールプレイングゲームの例だが、アクションゲームの「魔王」はこれに加えてステージが少しずつ難しくなるよう進路を設計する技量も同時に磨いている。[2] そうした技芸が優れていればいるほど、勇者たちからバランス芸を褒めてもらえ、場合によってはネ申芸と呼んでもらえる。一方、魔物の分量や技量の配分などを間違えると、糞芸呼ばわりされ、途中で勇者になることを放棄されてしまう。最終ステージ以外の方がラスボス級難度だったという勇者の感想ほど魔王に屈辱となる言葉はない。
セカイ型[編集 ]
前節のような様式が男らしき伝統ゲームの様式美だったが、ゲームにストーリーという要素が次第次第に付加されるようになると、勇者と魔王の男の儀式にも転機が訪れた。ゲームの長期化により、最初から最後まで同じ悪役が主役を務めるのはRPG的に時代遅れだし、途中で飽きられるという空気が醸成されたのだ。
そこで、前節の基本様式は維持しつつ、ラスボスが途中で入れ替わることが公然のお約束となっていった。つまり、厳しくも優しく勇者を育てていた魔王たる父が「見た目は穏健そうだがやることはずっと凶悪」な善意の者たち にラスボスの座を譲るようになったのである。多くの場合、この新たなラスボスが世界終焉を呼び掛けるセカイ系的性向を持つことから、このラスボスに「セカイ型」という名称がつけられた。
現代の典型的なラスボスは、物語の序盤で姿を現す。そして、主人公の物語と同時進行でラスボス側の悲愴な物語が展開していき、やがて異界の力を手に入れて当初の魔王的悪役を超展開的に討伐する。しかし、自分たちの理想郷をつくるためにセカイを一度滅ぼさねばならないという妄想に囚われていき、最終的に勇者陣営に食い止められるという構図をとる。これだけなら、「ラスボスはカルト的」ということになりかねないが、その辺りは主人公サイドも本流社会から疎外された階級にすることで、一定のバランスをとっている。つまり、現代のラスボス決戦は、「主流社会から疎外された者同士のセカイ観対決」という主流社会から外れた場所で執り行われていることが多い。
かくして、ラスボスという座は魔王という安定した存在から、戦って勝ち取るバトル・ロワイアル的なものになっていった。これは魔王という絶対家父長が子供たる勇者を育てるという伝統図式からの大きな逸脱である。魔王の悪はある程度魔族界の掟によって統制されたものだったが、真・ラスボスのセカイ型の悪は徹底的な予測不能性をもっている。それ故に魔王的悪を上回る強さを発揮する。
これを現実社会に当てはめると、魔王が体罰万歳の独裁者で、セカイ型が予測不能な無秩序者に該当するのだろうか?真・ラスボスとなるセカイ型勢力には自制というものを覚えていただきたいものである。
ライバル型[編集 ]
主人公最大の宿敵として登場する事はラスボスではよくある事だが、主人公の物語の始まりから最後までラスボスとの戦いは既に始まっている。 ストーリーの最初で顔見せしてそのまま去る事が多いのだが、顔見せついでにそのまま主人公に戦いを挑んでくる。 これが、主人公最初の戦いとなり、主人公が勝つ(負ける)事でお互いライバルとして認め合い、ラスボスが「いずれまた会おう」と言い去り、主人公とラスボスの戦いが始まった事となる。
以後、ラスボスはストーリーの道中で突如、主人公の前に現れ、より強力となった姿で再戦する事となる。 ラスボスによっては「そう焦るな、今回戦うつもりはない」と主人公を静止させ、戦わない展開もあり、会話の最後で主人公に暗示させるような発言を言い残し去る事がある。
ストーリーの道中で何度も戦うという、この展開が繰り返された果てに、ストーリーの最後で長く続いた両者との戦いに決着を付ける為にラスボスの座に就く。 そして、完全な力を得たラスボスは全力で主人公に最後の決戦を挑む。勿論、主人公も完全な力を得ており全力で交戦する。 まさしく永遠のライバルと言えよう。
具体例[編集 ]
- クッパ
- マリオシリーズ不動の「魔王型」ラスボス。実はピーチ姫に頼まれてマリオを強くするよう訓練している。マリオがしっかり穴を飛び越えられるよう穴の長さを調節し、補助用のブロックも配置してマリオがステージという試練を越えられるよう配慮する。キノコなどの隠しアイテムもクッパが自分のコインで栽培しており、迷いそうな位置を選んで配置している。土管の中のパックンフラワーに隠し通路へ入ってきたマリオを食べないよう指令してもいるのだ。コインが何かの目印のように配置されていたら、それは隠し通路を発見してもらいたいクッパの慈悲によるものなのである。
- ギーグ
- 母なる不動の魔王。街中にも魔物を配置するという新性能をみせるが、主人公以外を襲わないよう絶妙の統制機能を持っている。特定の儀式でしか自分を倒せないよう設計し、母なる有り難さを頂戴してもいる。勇者に制覇されたダンジョンのモンスターに勇者から逃げ回るようにも指令し、先制攻撃させて追加経験値を得させようとも取り計らってくれる。ただし本丸には最後の試練と言わんばかりに、主人公が最大限まで強くなっていても勝てない程のエリート3人衆が犇めいている。本当に強い。
- DQ魔王
- 魔王といえばドラゴンクエスト。しかし、意外なことに最後まで同じ魔王が地位を維持するケースは少ないという。
- Dr.ウィリー
- 6万〜億千万のラスボス。
- シグマ
- ロックマンXシリーズのラスボス。撃破すると離脱した頭部が巨大なスペアボディと接続、非常に巨大な第二形態と変貌するのが大半。
- 邪神...
- セカイ型でよく登場する。これに喰われてしまうセカイ型の人間も多い。
- 藤崎詩織
- 某恋愛シミュレーションのラスボス。最も目立つ場所に陣取っているが、これがラスボス的難易度な訳ないと油断させた。
- エル
- 魔王型とセカイ型を超越した青い天使。魔王役だった小悪魔エンデを抹殺したセカイ型一家のそのまた上に君臨する拒否の天使。そっくりの主人公に対してずっと虚無と深遠の毒舌を放ち続け、最後に真の姿を現して女同士の血戦に挑む。
- 舞台装置の魔女
- 某魔法少女アニメの大ボス、というか魔女。逆立ちした↓という説もある。見滝原を突如襲来した自然災害まがいの元凶ともいえる存在。実はテレビ本放映では登場している魔法少女すべてがこの魔女を倒せなかったのだが、劇場版はどのような展開になるのだろう。
- やっぱり倒せない。救うことは出来たが倒せない。新編ではサーカスの象を女神様が借りてました。
- 小林幸子
- 紅白歌合戦・ニコニコ動画・コミックマーケットのラスボス。最近プロレスを始めたらしい。
脚注[編集 ]
関連項目[編集 ]
- 最終鬼畜兵器
- 魔王
- 勇者
- ドラゴンクエスト
- エクストリーム・超展開
- エクストリーム・クソゲー
- ロールプレイングゲーム
- 青野武 - 中の人。
- 逆転裁判4 - ラスボスが色々と凄い。
おお! 破壊神様! この「ラスボス」に加筆してくださるのですね!
それとも、掘り間違えたダンジョンを修正して下さるのですか!? 魔王感激です! (Portal:スタブ)