財団について
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ごあいさつ
松江は江戸時代後期の大名茶人として、また茶禅一味を自ら体得し、美術工芸品の保護に尽くし、「雲州蔵帳」として名高い名器のコレクションをなしとげた松平不昧公(名は治郷)ゆかりの地であり、今も茶の湯の盛んなところです。
創設者である田部家第23代田部長右衛門朋之〔明治39年(1906)〜昭和54年(1979)〕は、かねてから地域文化の振興と文化財保護に深く心を注ぎ、自らも松露亭と号し、こよなく美術を愛好してまいりました。その集大成として田部家に長く伝わる美術品を展示公開する田部美術館の創設を長年の念願としており、その想いは昭和54年(1979)11月に実現いたしました。残念ながらこの年の9月、開館を目前に急逝いたしましたが、父、24代長右衛門智久〔昭和13年(1938)〜平成11年(1999)〕はその遺志を受け継ぎ、開館以来、2代目館長として茶道美術館を志向して力を尽くしてまいりました。「雲州蔵帳」の名品の数々を展観した「茶聖不昧公-雲州蔵帳里帰り展」をはじめ多くの茶道美術品の展覧会を開催。また地域の新進陶芸作家の技術と茶道の将来を展望し、新たな茶の湯の器を目指した陶芸公募展「田部美術館大賞-茶の湯の造形展」を開館5周年事業としてスタートさせました。爾来、松平不昧公以来の伝統の茶の湯にゆかりある地域の特性を考え、また多くの方々に支えられ歩んでまいりました。3代目館長田部陽子の後を受け、創設の精神を忘れることなく、皆様方のご支援・ご協力により、ますます愛される美術館に育てあげたいと念願しております。
代表理事 田部 長右衛門