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神奈川県厚木市
統計・財政情報連携プラットフォームの構築とデータ視覚化による予算編成業務の改善
EBPMブートキャンプ 神奈川県厚木市
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研究会の体制
※(注記)肩書は実施当時のもの
研究会統括管理者
日本総合研究所 研究員
専門家
坂元 英毅(大手前大学 現代社会学部 准教授)
データサイエンティスト
日本総合研究所 研究員
進行管理
日本総合研究所 研究員
研究会スケジュール
第1回: 9月17日 第2回: 10月15日 第3回: 11月12日
第4回: 12月3日 第5回: 12月19日 第6回: 1月21日
参加者からのメッセージ
本市の取組成果を後年度に引継ぎ、継続的な取組としていく上で足跡を残したいという思いから成果報告会の資料を掲載します。これからデータ利活用に挑む自治体の皆様のヒントになれば幸いです。
成果報告会資料(PDF:7,601KB)
1から14ページの分割版:成果報告会資料(PDF:4,040KB)
15から32ページの分割版:成果報告会資料(PDF:4,813KB)
検討概要
背景
財政課では予算編成業務を担当している。これは、原課から要求される予算の内容を精査して、市の財政状況や政策の方向性を踏まえて適切な額の財源を割り振る業務である。
近年、厚木市の財政状況は年々厳しいものとなってきている。主に、社会保障費の増大、公共施設の老朽化、人件費・物価高騰等により、経常的に必要となる予算が年々増大している。
一方で、このような全庁的な財政状況を踏まえて原課が予算要求を行うケースは多くなく、「継続すること」自体が目的になっている事業、廃止・縮小に係る利害関係者との調整に困難を伴う事業など、予算要求の本来の趣旨と乖離した要求がなされることもある。
財政課としても政策的な事業にしっかりと時間をかけ査定に取り組むために、こうした事業の査定に時間をかけられるわけではなく、明確な査定根拠を示しながら効率的に査定を行う必要性に迫られている。
こうした状況を踏まえ、2024年に「厚木市財政見える化ダッシュボード」を内製開発した。これは財政課職員が中心にMicrosoft Power BIを活用して作成したダッシュボードであり、事業毎の予算要求状況を年度別に細かく可視化できるものである。
この「厚木市財政見える化ダッシュボード」を試行的に活用して実施した2024年度の予算査定では、原課との折衝を明確な根拠に基づいて実施することで、より建設的に合意形成をはかることができるようになった。
当該ダッシュボードでは、厚木市の財政状況に関する内部データのみを可視化していた。しかしながら、今後は人口動態や他市町村の財政状況など、公的統計等のオープンデータを基にしたより幅広いデータの可視化ができることが望ましい。
また、ダッシュボードの導入によって一定の効果が上がった一方で、当該ダッシュボードは専門知識のない財政課職員が半ば執念で作り上げたものであったため、データ構造が複雑で属人化し、継続運用に向けてはメンテナンス面に課題を抱えていた。
こうしたダッシュボードのデータソースの拡充やより良い可視化、メンテナンス性の改善を含めた継続運用の方策検討のため、EBPMブートキャンプに取り組むこととした。
EBPMブートキャンプで検討すること、取り組むこと
- ダッシュボードのデータソース拡充に向けた検討
- マニュアル作成、ユースケース整理等のダッシュボードの継続性担保のための各種取組の検討、実施
利用データ
既存データ
- 住民基本台帳人口移動報告、国勢調査、地方財政状況調査等*1 の各種公的統計
*1 一部データはJapan Dashboard、統計ダッシュボードなどから連携
EBPMブートキャンプで新たに取得したデータ
- 神奈川県内市町村の普通交付税算定用基礎数値*2
*2 市区町村の人口、面積、道路延長、児童生徒数など、普通交付税を算定する際に用いる客観的なデータの集合体であり、神奈川県との個別の調整によって入手したもの
データの利用方法・分析方法
- 今般のEBPMブートキャンプにおいて新たに開発したダッシュボード「FinStat」のバックデータとして活用
取組成果、まとめ
従来の「厚木市財政見える化ダッシュボード」に加え、公的統計や神奈川県内の他市町村分の数値を搭載した「FinStat」の開発を完了
本取組の継続性担保、属人化の防止のため下記の取組を実施
- 運用・メンテナンス用のマニュアル作成
- ダッシュボードの利活用ユースケースを類型化して整理
検討過程
第1回研究会.EBPMブートキャンプでのスコープの設定
背景・現状の整理
2024年度から財政課が運用している「厚木市財政見える化ダッシュボード」を用いた予算査定業務の実施イメージと、当該ダッシュボードの機能・動作について研究メンバーで確認した。
また、厚木市における財政状況等や状況を踏まえてダッシュボードが導入されるに至った背景やその課題を確認した。
検討内容
EBPMブートキャンプの取組において、どのようにデータソースを拡充するべきか、またどのように可視化するべきかについて議論した。主に「どのように使われるべきか/使われることが望ましいか」という視点から、逆算的にダッシュボードに必要な機能・データ、公開範囲を絞り込む検討手順を踏んだ。
得られた示唆、今後の検討事項
ダッシュボードが財政課と原課の合意形成に重要であるという観点から、将来的には原課に対しても内容を公開することを念頭に検討を進めることとした。
一方で、まずは「財政課としてのロジック」を整理するための活用を目指すという観点から、すぐに原課への展開を目指すのではなく、まずは財政課に閉じた運用の中で試行を重ねることについても合意した。
なお、今年度の検討は一旦財政課に閉じたものとする方針とする一方で、本取組に熱意をもって関わりたいと考える職員や、特別な技能を有する職員については、財政課以外の所属であっても積極的に検討メンバーに加えることとした。
加えて、「予算査定の標準化を含めた業務そのものの改善をより大きな目的と据え、その中でのダッシュボード活用を議論すべき」とする専門家アドバイスも念頭に取組を進めることとした。
アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」
ビジネスプロセス・リエンジニアリングでは取組のゴールをどこに設定するかの意思決定と共有が肝要である。またそれは、長期的視点に立った戦略目的と、戦略目的を達成するための実行計画、達成目標の設定に分けて可視化されることが望ましい。
本取組では、「予算編成業務の改善」が戦略目的であったため、まずは「業務が改善された状態」とはどのようなことを意味するのか、を明確にする必要があった。「適切な資源配分が行われている」「各課とのコミュニケーションが円滑である」「業務負荷が軽減されている」「財政課職員個人の知見に依存しない」といったワードが提示された。これらは相互関連性を持つが、短期的にはトレードオフ関係も生じるため、重み付けを行う必要があった。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
本市の取組は、データを利活用して特定の政策課題を解決するというよりも、予算編成の業務においてデータを利活用するためのツールの開発・改良に主眼を置いたことや、前年度の時点で既にダッシュボードの運用まで試行していたことから、課題設定に苦労した。
第2回研究会.現状分析(1)
第2回研究会までに取り組んだことや気づき
ダッシュボードの機能拡充が有効となるケースの洗い出し、現状のダッシュボード運用フローにおいて特に困難を伴うポイント等の洗い出しを実施した。
検討内容
第2回研究会では、以下の2点を実施した。
| 項目名 | 検討の目的 | |
|---|---|---|
| 1点目 | ダッシュボードの機能拡充が有効となるケースの洗い出し | 今後のデータソースの拡充や可視化の工夫等に向けた方針の設計に向けて、具体的にどのようなデータや機能が必要となるのかという点について整理すること |
| 2点目 | 現状のダッシュボード運用フローにおいて特に困難を伴うポイント等の洗い出し | ダッシュボードを今後も継続的に運用するにあたって、どこにボトルネックがあるのかを理解すること |
得られた示唆、今後の検討事項
- 1点目に関しては、光熱費等の物価に大きく影響を受ける予算、児童数に基づく学校人件費等のサービス提供の対象となる人口が明確である予算、道路延長・総面積に対する道路整備費などの他市町村とサービス品質を比較しやすい予算、などが挙げられた。これらの情報を取得するため、一般に公開されていないがあらゆる市町村のデータを網羅している「普通交付税算定用基礎数値」の入手を目指すこととした。
また、このデータが入手できなかった場合に備え、近い情報を入手できる公的統計のデータソースを整理することとした。 - 2点目に関しては、現状の運用そのものに大きな負荷はないものの、引継ぎに際しては一定の労力が生じていることが改めて認識された。特に画面上の操作などは引継書を見るだけでは習得しづらい面もあり、今後の職員の入れ替わりに際して十分に引継が行われないリスクがあることを確認した。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
研究会当時、公開されている公的統計等のデータも最新版が掲載されていないことも多く、マクロデータの入手経路確保に苦労した。
第3回研究会.現状分析(2)
第3回研究会までに取り組んだことや気づき
神奈川県内市町村分の普通交付税算定用基礎数値を、神奈川県との調整により個別に受領し、ダッシュボードに取り込んで可視化を試行的に実施。
併せて、メンテナンスの簡略化に向け、構築フローを全面的に見直した。
検討内容
第3回研究会では、以下の2点を実施した。
| 項目名 | 検討内容 | |
|---|---|---|
| 1点目 | 神奈川県内市町村分の普通交付税算定用基礎数値のダッシュボード取り込み | Excelで120万行(4,000項目×ばつ9年分×ばつ33団体)に近いボリュームであるデータの取り扱いについて主に検討を進めた。また、庁内の財政課以外の職員との連携についても、検討を進めた。 |
| 2点目 | 構築・メンテナンスフローの簡略化に向けた検討 | 構築・メンテナンスに関する業務を改めて見直し、Power Query*3 の活用やデータ構造の変更によるメンテナンスフロー簡略化に取り組んだ。 |
*3 ExcelやPower BIに搭載されているデータ処理ツール。外部データの取得、整理、整形、統合などをノーコードで実施できる機能を有する。
得られた示唆、今後の検討事項
普通交付税算定用基礎数値のデータは、これまでに扱わなかったファイルサイズであったことから、財政課を中心とした従来の体制では十分に使いこなせない可能性があった。
そこで、「応援職員」という制度を活用し、ICT分野に深い知見を持つ他部署の職員も幅広く巻き込むことで、Power Queryによるデータの取り扱いフローを設計することができた。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
神奈川県内市町村分の普通交付税算定用基礎数値に係る資料の提供を受けることはできたが、ダッシュボードに取り込んで利用するためのデータ加工に非常に苦労した。
第4回研究会.今後の方針設計
第4回研究会までに取り組んだことや気づき
第3回研究会実施後、フィールドワーク(神戸市)を実施した。
フィールドワーク(神戸市)において、データ利活用の先進事例を学び、今後の方針設計に活用した。
検討内容
フィールドワーク(神戸市)で得た知見やその後の振り返りを基に、今年度実施する取組を「構築する」「可視化する」「使う・広める」に分けて整理した。また、それぞれの取組において、具体的に何をするのか・どこまでやるのかを検討した。
得られた示唆、今後の検討事項
「構築する」に関しては、構築マニュアルの作成に取り組むこととした。具体的には、ダッシュボードの追加・削除・修正・更新等について、各画面でどのように操作すればよいかを説明するマニュアルとして作成することとした。
「可視化する」に関しては、マクロ指標を取り込んだダッシュボードの作成に取り組むこととした。具体的には、当初の予定通り、神奈川県内市町村分の普通交付税算定用基礎数値及びe-Stat掲載の地方財政状況調査データを取り込むことに加えて、デジタル庁が運営するJapan Dashboardのデータも併せて取り込むこととした。
「使う・広める」に関しては、利活用事例集を作成することとした。財政課担当者の目線で、どのような査定の場面においてどのようにダッシュボードが活用できるのかということについて、ドキュメントとしてまとめることとした。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
フィールドワークで先進市(神戸市様)の取組を学ぶことで、本市において今年度取り組むべき課題がより明確になった。
しかし、目標の一つに据えたマクロ指標を取り込んだダッシュボードの作成については、データ加工の難しさなどから大変な苦労を要した。また、利活用事例集についても、ダッシュボードを効果的に活用できる事例の類型化に苦労した。
第5回研究会.施策の実行(1)
第5回研究会までに取り組んだことや気づき
ダッシュボードの構築、利活用事例集の作成、マニュアルの作成にそれぞれ取り組んだ。
検討内容
厚木市における予算査定業務について、ダッシュボードの活用等の取組の前段として「そもそも予算査定業務がどうあるべきか」という点を明確にするために、専門家との集中的な意見交換を実施した。
また、ダッシュボード構築・利活用事例集の作成・マニュアルの作成それぞれの進捗状況を確認した。
得られた示唆、今後の検討事項
予算査定業務に関する専門家との意見交換では、財政課との対話を通して査定業務のプロセスに関する認識をすり合わせることができた。そのうえで、厚木市の査定業務の特性に基づくダッシュボードの活用方針について議論を深めることができた。
また、ダッシュボードについては、神奈川県内市町村分の普通交付税算定用基礎数値等のマクロ指標の導入が概ね完了し、2024年度から運用していた「厚木市財政見える化ダッシュボード」の名称を「FinStat(Finance ×ばつ Statisticsが語源)」に改めることとなった。
利活用事例集やマニュアルについては、作成過程の素案を確認しながら今後のブラッシュアップの方向性を確認した。また、一覧的に閲覧できるようにするため、利活用事例集とマニュアルを統合することとした。
アドバイス「他自治体で取り組む場合の示唆」
予算編成の詳細なプロセスが共有されるとともに、予算査定における財政課の着眼点が可視化された。予算編成プロセスは政策的経費に査定リソースが重点的に投下されるように工夫されており、他自治体にも展開可能性が高いことがわかった。査定の着眼点については、個々の職員が持つ経験とノウハウが集合知として可視化されたことに意義があった。
他方で、財政状況やそれを踏まえた予算編成方針に対する財政課と事業課間の認識レベルの差異が示唆された。この点も、予算編成業務の改善を阻害する遠因となりうる。しかしながらこれも視点を変えれば、現在の財政状況あるいはその将来的な見通しと、集合知化された財政課の予算編成方針が全庁的に浸透していくことによって、長期的により大きな効果を発揮していく伸び代を期待させるところでもあった。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
ダッシュボードの活用を通じた予算編成業務の見直しについて、検討することができた。
ダッシュボードの活用によって査定基準の統一化や根拠に基づく予算要求の増加等の効果を見込めるが、そのためにダッシュボードを庁内で広く活用していくには、庁内横断的な推進体制の整備やデータ利活用の風土の醸成、ソフトウェアの整備やアクセス権限の整理など多くの課題があることが分かった。
第6回研究会.施策の実行(2)
第6回研究会までに取り組んだことや気づき
レイアウト調整、散布図の組み合わせ選択サポート機能付与等のダッシュボードの主に可視化に関わる部分に取り組んだ。
検討内容
前述の「構築する」「可視化する」「使う・広める」の全フェーズについて、今年度取り組むこととしていた範囲の検討を一通り終えた。
得られた示唆、今後の検討事項
主に残課題となっていた利活用事例集とマニュアルについて、より方向性を明確にすることができた。また、今後のダッシュボード構築・運用方針についても、議論することができた(後述) 。
併せて、活用サイドを念頭に置いたマニュアルとは別に並行して実施していたシステム構成の整理も実施し、ドキュメント化した。
参加者の感想「難しかった点・大変だった点」
これまでの取組により、マクロデータを利用可能な形に加工することに成功したが、効果的な視覚化を検討する過程でインターフェースやレイアウトの設計に苦労した。
また、マクロデータの継続的な活用に向けた更新プロセスの確立に課題が残った。
ドキュメントについては、運用マニュアルとデータ処理に特化したマニュアルの記載内容の棲み分けに調整を要した。
今後に向けて
1. ダッシュボードの更なる高度化
ダッシュボードに格納するデータソースの拡充や、利用者の利便性を考慮した機能の追加等について、引き続き検討を進める。例えば、あらゆる指標を掛け合わせて散布図上に表現できる「多次元相関探索」機能では、現状約4,200の4乗通りの組み合わせが存在し得るため、不慣れな職員には扱いきれない可能性がある。このような点に対し、頻出する組み合わせをあらかじめ設定しておくことなどの工夫を行うことを検討している。
2. 継続性担保に向けた取組の実施
引き続き、利活用事例の蓄積やマニュアルの更新等を含め、運用が属人化しない工夫を継続する。また、庁内で導入される予定のRAG*4 機能付き生成AIの活用も見据え、AIが読み込みやすい形式(マークダウン形式)でのドキュメント整理等も検討する。
*4 大規模言語モデル(LLM)が外部の文書などを参照して回答を生成するための仕組み。
参加者の声
EBPMブートキャンプに参加した感想を教えてください
通常業務に加えてのシステム実装は決して平坦な道のりではありませんでしたが、日本総研の菅さん・濱本さん、坂元准教授、統計データ利活用センターの担当者様に強力な伴走支援をしていただいたことにより、データ利活用の専門性を深め、目標であったダッシュボードの根本改良を達成できました。また、本事業のプログラムの一環で、先進自治体である神戸市様の事例を学ばせていただき、大きな刺激を受けました。
初めは孤独な問題意識から出発した小さな挑戦でしたが、覚悟を決めて「石を投げた」ことで、ICT分野に精通した庁内の仲間との素晴らしい出会いや、所属を越えた職員同士の協業が生まれ、更には専門家からの強力な支援へとつながり、まさに「波紋が広がる」ようにプロジェクトが組織的に進んでいくことを実感しました。
課題解決に向けた未開のアプローチに対して、「どうせ実現しない」と諦めるのではなく、一歩を踏み出して泥臭く完遂させたことで、「内部からでも変革は起こせる」という確かな自信を得ることができました。
特に学びが得られたと感じた点を教えてください
庁内外の知見を結集させることで、データ構造に関する知識・専門性を飛躍的に高めることができました。
EBPMの推進においては、単にグラフを描くことではなく、複雑な行政実務のロジックを読み解き、それを属人化しない「仕組み」としてどう実装するかという「工学的なアプローチ」が不可欠であることを深く学びました。
これからデータ利活用に取り組む自治体へ向けてメッセージをお願いします
多種多様な課題に対し、限られた人材と財源で業務に当たる自治体にとって、データに基づく意思決定プロセスの構築は避けては通れないテーマと考えています。
データ連携基盤のゼロからの立ち上げには、技術的にも組織的にも労力的にも多くの困難が伴います。
しかし、できない理由を探すのではなく「まずはやり始める」こと、そして「始めたら覚悟を決めて何があっても形にする(完遂する)」ことの先にしか、新しい景色は広がっていないと考えます。辿り着く先の「データに基づく対話」という新しい景色には、これまでの苦労を遥かに上回る価値があると信じています。
是非、本市の荒削りな「FinStat」開発の取組を一つのヒントとしていただき、データ利活用への挑戦を始めていただければと願っています。
専門家からアドバイス
専門家アドバイス
坂元 英毅
大手前大学 現代社会学部 准教授
今回のEBPMブートキャンプにて厚木市が取り組んだ「統計・財政情報連携プラットフォームの構築とデータ視覚化による予算編成業務の改善」について、今後各地方自治体が似たような課題に取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。
財政課のミッションは言うまでもなく、持続可能な行財政運営を支える財政基盤の堅持と、それを実現するための質の高い予算編成である。今回の厚木市における取組は、予算編成業務を情報技術を用いて改善するというチャレンジであった。そこで、予算査定業務を標準化するとともに、査定作業に必要な情報に容易にアクセスできるようなダッシュボードの構築を行い、さらにそのダッシュボードを誰もが使いこなせるように道筋を作った。この取組において特徴的な点は、眼前の業務負荷軽減という近視眼的なアプローチではなく、長期的な予算編成プロセス改善に向けた第一歩として戦略的に位置付けた点である。
他の自治体で展開するにあたっては、再現性がある部分と本取組固有の部分がある。本取組において厚木市が行ってきたことを分解してみよう。まず、課題は予算編成業務の改善であるから、予算編成業務の事務プロセスを可能な限り細かいタスクに分解する。次に、その中から情報を収集するタスクと、情報を分析し仮説構築もしくは判断を行うタスクを特定した。次にこれらのタスクにおいて、参照される情報は何か、を洗い出すことができれば第1段階はクリアとなる。第2段階は、これらの情報を簡便かつ迅速に入手できるようにダッシュボードを構築することと、ここまでのプロセスを容易に再現できるようにするためのガイドを整備することであった。第2段階の作業は情報化の専門知識・技能を要するため、そのリソースを内外で調達する必要がある。他方で第1段階は組織のナレッジマネジメントとして進めることができ、これだけでも十分に効果は期待できる。他自治体ではまず第1段階を進めつつ、第2段階にどれだけ時間とコストを投入するかを検討しながら進めることが可能であろう。
専門家アドバイス
坂元 英毅
大手前大学 現代社会学部 准教授
今回のEBPMブートキャンプにて厚木市が取り組んだ「統計・財政情報連携プラットフォームの構築とデータ視覚化による予算編成業務の改善」について、今後各地方自治体が似たような課題に取り組んで行く際のアドバイスをぜひお聞かせください。
財政課のミッションは言うまでもなく、持続可能な行財政運営を支える財政基盤の堅持と、それを実現するための質の高い予算編成である。今回の厚木市における取組は、予算編成業務を情報技術を用いて改善するというチャレンジであった。そこで、予算査定業務を標準化するとともに、査定作業に必要な情報に容易にアクセスできるようなダッシュボードの構築を行い、さらにそのダッシュボードを誰もが使いこなせるように道筋を作った。この取組において特徴的な点は、眼前の業務負荷軽減という近視眼的なアプローチではなく、長期的な予算編成プロセス改善に向けた第一歩として戦略的に位置付けた点である。
他の自治体で展開するにあたっては、再現性がある部分と本取組固有の部分がある。本取組において厚木市が行ってきたことを分解してみよう。まず、課題は予算編成業務の改善であるから、予算編成業務の事務プロセスを可能な限り細かいタスクに分解する。次に、その中から情報を収集するタスクと、情報を分析し仮説構築もしくは判断を行うタスクを特定した。次にこれらのタスクにおいて、参照される情報は何か、を洗い出すことができれば第1段階はクリアとなる。第2段階は、これらの情報を簡便かつ迅速に入手できるようにダッシュボードを構築することと、ここまでのプロセスを容易に再現できるようにするためのガイドを整備することであった。第2段階の作業は情報化の専門知識・技能を要するため、そのリソースを内外で調達する必要がある。他方で第1段階は組織のナレッジマネジメントとして進めることができ、これだけでも十分に効果は期待できる。他自治体ではまず第1段階を進めつつ、第2段階にどれだけ時間とコストを投入するかを検討しながら進めることが可能であろう。