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高次エピスタシスおよび感染過程間の機能的カップリングが、宿主経路から独立するウイルス進化を促進する

高次エピスタシスおよび感染過程間の機能的カップリングが、宿主経路から独立するウイルス進化を促進する

2021年9月09日

High-order epistasis and functional coupling of infection steps drive virus evolution toward independence from a host pathway

Minetaro Arita

Microbiology Spectrum, In Press: DOI: https://doi.org/10.1128/Spectrum.00800-21

ウイルスが宿主の細胞に感染するためには、宿主の様々な遺伝子を必要とします。RNAウイルス研究のモデルウイルスであるエンテロウイルスでは、宿主のPI4KB遺伝子およびOSBP遺伝子が複製に必要であることが知られています。また、これらを標的とする抗エンテロウイルス化合物の研究から、これらの遺伝子に依存しないウイルス変異株が4つの変異で生じることが明らかにされています。このうち2つの変異はウイルスRNAの複製に必要ですが、残り2つの変異の役割は不明でした。今回の研究で、役割が不明だった1つの変異がウイルスの細胞間の広がりを促進することを見出しました。この現象には、3つの変異がウイルスゲノムに導入される順番・組み合わせが必須であり(遺伝学用語でエピスタシスと呼ばれます)、これによりウイルス感染過程が促進され、最終的にウイルスの細胞間の広がりが促進されることが明らかにされました。今後さらに研究を進めることにより、ウイルスの進化における宿主因子の役割が解明されることが期待されます。

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