2019年6月20日
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
理事長 石塚博昭
NEDOは、地中熱利用システムの導入・運用に活用できる「地中熱ポテンシャルマップ・空調熱源設計ツール活用のためのガイダンス」を策定し、本日公開しました。
今後、地中熱利用システムの導入・運用の検討や提案を考えている事業者が、本ガイダンスを活用することにより、熱源設計時に計画地域ごとに見合った適切な掘削深さを事前に予測することができ、システムのコスト比率が最も高い採熱に必要な掘削費用の低減を図ることができることから、導入コストの低減による地中熱利用システムの普及拡大が期待できます。
なお、本公開を受け、7月10日から12日までの3日間、パシフィコ横浜で開催される「第14回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム」会場内の特設会場で、地中熱ポテンシャル特集として「地中熱ポテンシャルマップ・空調熱源設計ツール普及促進セミナー」と「ポテンシャルマップ操作・活用デモンストレーション」を開催します。
再生可能エネルギーの利用拡大には、電力に加え、熱(地中熱※(注記)1・太陽熱・雪氷熱など)の利用も重要ですが、再生可能エネルギー熱利用※(注記)2においては、導入コストや運用コストが高いことが課題として挙げられています。
そこで、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、2014年度から2018年度まで「再生可能エネルギー熱利用技術開発※(注記)3」において、再生可能エネルギー熱利用システムの普及促進・市場拡大を図るために、同システムのコストダウンに関する技術開発を実施し、地中熱のポテンシャル評価技術の開発および地中熱源を含む設計シミュレーションツールの開発に取り組みました。
今般、NEDOは、地中熱利用システムの導入・運用の検討や提案を考えている事業者が活用できる「地中熱ポテンシャルマップ・空調熱源設計ツール活用のためのガイダンス」を策定し、本日公開しました。
地中熱利用システムは、導入に際して立地の制約が少なく、地下に埋設した専用の熱交換器から間接的に取り出された熱を、地表にあるヒートポンプで活用するクローズドループ方式※(注記)4であればどのような場所でも導入できると言われています。しかし、システムの効率は地中熱交換器の熱交換効率に依存し、熱交換効率は地質や地下水の流れによる地下条件によって変化します。したがって、熱交換効率の高い地下条件の場合はシステム効率も高くなり、熱交換効率の低い地下条件の場合はシステム効率も低くなります。一方、くみ上げた地下水の熱を地表にあるヒートポンプで空調熱源として活用するオープンループ方式※(注記)5の場合は、システム効率がクローズドループ方式より高くなるため、地下水を利用する必要があり、導入適地が限られます。このように地中熱利用システムには、いずれの方式にも地下条件に応じた導入適地が存在しています。この地下条件に応じた地中熱利用システムの導入適否や、期待される採熱量の目安を示すのがポテンシャルマップになります。
また、地中熱利用システムの運用を検討している設計者が、地中熱ヒートポンプの導入効果を簡単に検討できるように開発したシステムシミュレーションが、空調熱源設計ツールになります。
今後、地中熱利用システムの導入・運用の検討や提案を考えている事業者が、本ガイダンスを活用することにより、熱源設計時に安全を見て長く設定していた掘削深さを、あらかじめ計画地域ごとに見合った適切な掘削深さに予測して、設定することができるようになります。これにより、システムの導入コスト比率が最も高い採熱※(注記)6に必要な適切な掘削深さを設定することができるようになり、導入コスト全体の低減による地中熱利用システムの普及拡大が期待できます。
なお、本公開を受け、7月10日から12日までパシフィコ横浜で開催される「第14回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラム」会場内の特設会場において、地中熱ポテンシャルマップ特集として「地中熱ポテンシャルマップ・空調熱源設計ツール普及促進セミナー」と「ポテンシャルマップ操作・活用デモンストレーション」を開催します。来場事前登録など詳細は以下のWebサイトをご参照ください。
NEDO 新エネルギー部 担当:永石、谷口、上本 TEL:044-520-5183
NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤 TEL:044-520-5151 E-mail:nedo_press@ml.nedo.go.jp