書籍

上部消化管内視鏡 撮像・診断虎の巻

編集 : 菊池大輔/阿部清一郎/加藤元彦/後藤修/土肥統/野中康一
ISBN : 978-4-524-21084-8
発行年月 : 2025年10月
判型 : B5判
ページ数 : 264

定価7,150円(本体6,500円 + 税)

  • 近刊

発売予定日:2025年10月22日 全国の書店で予約受付中

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

消化器内視鏡の基本は何より撮像技術!「カンファで通用する画像」を念頭に,第一線の内視鏡医が実践する上部消化管内視鏡の撮像・診断の要点を凝縮.撮影前の準備や機器セッティング,基本の撮影法だけでなく,きれいな画像を撮るためのTipsを盛り込んだ.またSnap diagnosisに役立つ疾患アトラスを豊富に掲載.現場で即戦力となる技術と知識を網羅した,撮像・診断の精度を一段引き上げる,内視鏡医必携の一冊.

?T.内視鏡検査総論
01 内視鏡の最新情報を押さえるべし
02 観察の設定を覚えるべし
03 検査の目的を把握してから内視鏡を実施すべし
04 内服歴の聴取を忘れるべからず
05 感染対策に十分に注意して内視鏡検査を行うべし
06 検査中は患者の状態をしっかりとモニタリングすべし

?U.この分類用語覚えるべし
01 ロサンゼルス分類(逆流性食道炎)
02 食道静脈瘤の分類
03 食道癌の肉眼形態
04 日本食道学会分類(表在食道癌の拡大分類)
05 プラハ分類
06 胃癌の肉眼形態
07 木村・竹本分類
08 VS classification systemとMESDA-G(胃拡大分類)
09 Forrest分類
10 胃十二指腸潰瘍の分類

?V.咽 頭
01 ハイリスク患者を絞り込むべし((注記)咽頭・食道共通)
02 薬をうまく使いこなして患者の苦痛を最大限緩和すべし
03 いつも決められた場所を撮影すべし
04 バルサルバ法を活用すべし
05 唾液や粘液は可能な限り除去すべし
06 口腔の観察も行うべし
07 白色光観察を怠るべからず
08 経鼻内視鏡も活用すべし

?W.食 道
01 頸部食道から観察すべし
02 場所を確認しながら観察すべし(切歯からの距離を忘れるべからず)
03 食道胃接合部は深吸気させて観察すべし
04 IEEを使いこなすべし((注記)咽頭・食道共通)
05 白色光観察では色調,凹凸,樹枝状血管の透見に着目すべし
06 鎮痙薬をむやみに使うべからず
07 前壁の観察をおろそかにすべからず
08 過送気すべからず?(脱気伸展が重要)
09 白色光観察を怠るべからず
10 アレルギー歴の聴取を行うべし

?X.胃
01 既往歴・併存疾患,内視鏡検査歴を確認して検査に臨むべし
02 よく洗い,よく吸ってから観察すべし
03 胃全体をくまなく観察すべし
04 過送気すべからず
05 むやみにウォータージェットで洗浄すべからず
06 胃の観察にIEEを使いこなすべし
07 胃炎所見からH.pylori感染を想定して観察すべし
08 萎縮のある粘膜では発赤に注意して観察すべし
09 萎縮のない粘膜では褪色に注意して観察すべし
10 異常を見つけたら遠景から観察すべし
11 萎縮のない胃にもできる腫瘍があることを忘れるべからず

?Y.十二指腸
01 Vater乳頭の口側か肛門側かに分けて観察すべし
02 十二指腸の観察では膵臓との位置関係を意識すべし
03 十二指腸では隆起性病変を鑑別すべし
04 IEE拡大では微細模様を中心に観察すべし
05 むやみに生検すべからず
06 Vater乳頭の観察も忘れるべからず
07 十二指腸での反転操作は注意して行うべし

?Z.Snap diagnosisに役立つアトラス
01 表在下咽頭癌
02 舌 癌
03 メラノーシス
04 Behçet病
05 咽頭食道カンジダ症
06 咽頭リンパ濾胞
07 食道顆粒細胞腫
08 食道粘膜下腫瘍
09 食道血管腫
10 食道静脈瘤
11 好酸球性食道炎
12 食道癌肉腫
13 天疱瘡
14 異所性胃粘膜(食道)
15 メラノーマ
16 食道皮脂腺
17 食道乳頭腫
18 Barrett食道
19 自己免疫性胃炎(AIG)
20 急性胃粘膜病変(AGML)
21 転移性胃癌
22 胃MALTリンパ腫
23 胃:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)
24 胃粘膜下腫瘍(GIST)
25 胃静脈瘤
26 胃のKaposi肉腫
27 胃梅毒
28 十二指腸悪性リンパ腫
29 十二指腸神経内分泌腫瘍(NET)
30 Brunner腺過形成
31 異所性胃粘膜(十二指腸)

序 文

近年,特に21 世紀になり,消化器内視鏡は目覚ましい進歩を遂げています.内視鏡の画像解像度の向上や細径化とともに,さまざまな画像強調内視鏡(IEE)や拡大内視鏡の出現により,従来は見えなかった微小な変化をとらえることが可能になりました.今では細胞レベルまでリアルタイムに観察することもできます.治療面では,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)が開発され普及したことにより,どんなに大きく困難な病変でも,診断を誤らなければ内視鏡で一括切除できる時代になりました.ESD で一括切除できるようになった時代だからこそ,正確な診断がより求められるようになっています.

最近ではAI の技術が内視鏡の臨床現場でも使われるようになり,今後ますます改良されていくと予想されます.それではすべての内視鏡診断をAI がなしうるのでしょうか? 答えは"No"です.「美しい画像に正しい診断が宿る」─ しっかりと正しい内視鏡診断をするためには,きれいな内視鏡画像を撮ることが重要です.そのきれいな画像を撮像するには,確かな技術と知識や経験が必要です.しかし,何より大切なものは,どのようなときにもきれいな画像を撮るという気持ちです.私自身,「洗い3 年,吸い1 年,見る撮る1 年,読み一生」と後輩たちには伝えています.どんなときでもしっかりと洗って吸う,きれいな画像を撮る気持ちを忘れないようにしていますが,読影には完璧はなく,一生精進が必要だと思っています.

今回,日ごろ内視鏡診療で切磋琢磨している6 人で,上部消化管内視鏡の撮像・診断の極意を伝える書籍『上部消化管内視鏡 撮像・診断虎の巻』を編集しました.われわれ6 人は全員2002 年に医師人生をスタートした同期で,まさに消化器内視鏡の進歩とともに,医師として成長してきた仲間です.大学病院,がんセンター,臨床病院と所属は異なりますが,最高の内視鏡医になりたいという夢は同じです.同期の仲間だからこそできる侃々諤々の議論の中で,自分たちの経験に基づく,美しい画像を撮るためのコツやノウハウを余すところなく伝えるよう努めました.本書が若き内視鏡医の上部消化管内視鏡診療の一助になりましたら幸いです.

最後になりましたが,本書を作成するにあたりご執筆いただきました先生方には,お忙しいところ多大なご貢献をいただき,心より感謝申し上げます.日本全国の内視鏡医の中から,「この分野なら絶対にこの先生に」と無理なお願いをさせていただきました.また,本書の企画から制作に至るまで,南江堂の皆様には大変多くのサポートをいただきました.この場をお借りして深謝申し上げます.

2025 年8 月
編集者を代表して
菊池 大輔

9784524210848

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