赤道原則への対応
大規模プロジェクトによる環境・社会リスクと影響を特定、評価し、管理するための枠組みである赤道原則(Equator Principles)の採択と遵守を通じ、持続可能な環境・社会の実現に貢献しています。
赤道原則に関する銀行の取り組みや活動内容を纏めた赤道原則プログレスレポートを発行しています。
詳細は赤道原則プログレスレポート 初版(PDF / 4.33MB)をご覧ください(2025年6月9日更新)。
赤道原則に基づく環境・社会配慮確認
大規模なインフラ整備や資源開発などのプロジェクトは、プロジェクトサイトおよびその周辺の自然環境や地域社会に対して、負の影響を及ぼす可能性があります。
こうした自然環境や地域社会が受ける負の影響に対処するため、銀行は2005年に赤道原則を採択し、プロジェクトを推進するお客さまに対して、同原則に基づく環境・社会配慮をお願いしています。
具体的には、プロジェクトへの融資決定に先立ち、お客さまと協力して環境・社会に対するリスクと影響を特定、評価し、それらを回避、最小化、緩和、またはオフセットする対策がとられていることを確認します。また、融資実行後も、環境・社会リスクが顕在化していないか継続的にモニタリングします。
このように、赤道原則に基づくプロジェクトの環境・社会配慮確認を通じ、お客さまの環境・社会リスク管理をサポートするとともに、持続可能な環境・社会の実現に貢献していきます。
赤道原則は、プロジェクトに起因する環境・社会に対するリスクと影響を、資金の貸し手として、または資金調達に関するアドバイザーとして、お客さまと協力して体系的に特定、評価し、管理するため、⺠間金融機関が中心となり策定した枠組みです。2025年3月末現在、世界で129の金融機関が赤道原則を採択しています。
赤道原則は2019年11月に第四版が採択され、銀行は2020年7月1日以降にお客さまよりマンデートを取得したプロジェクトについては第四版を適用しています。適用対象プロダクツはプロジェクトファイナンス、プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス、プロジェクト紐付きコーポレートローン、ブリッジローン(つなぎ融資)、プロジェクト紐付きリファイナンスとプロジェクト紐付き買収ファイナンスです。
赤道原則を採択した金融機関は、社内方針や手続きに赤道原則を組み入れており、赤道原則を遵守しない、または遵守できないプロジェクトに対しては融資を行いません。加えて、重大な環境社会リスクが認められる場合には、赤道原則の範囲外のプロジェクトにも、自主的に赤道原則の適用を行っています。
銀行では、社会的責任を全うするため、環境・社会配慮確認およびカテゴリーに関する情報開示を行っています。
銀行は、プロジェクトの環境・社会配慮確認を「赤道原則運用ガイドライン」に基づいて行なっています。
「経営企画部サステナビリティ企画室環境社会グループ」による環境・社会配慮確認
環境・社会配慮確認のプロセス
- 環境・社会スクリーニング
営業部室店は、赤道原則適用可能性がある案件の採り上げを検討する際に、チェックシートを作成し、環境社会グループに提出します。
環境社会グループは、赤道原則の適用範囲に基づき、赤道原則適用の可否を決定します
- 環境・社会レビュー(赤道原則レビュー)
赤道原則適用対象案件は、環境社会グループが赤道原則に基づく環境・社会レビューを行います。
まず、赤道原則の原則1に従い、プロジェクトの環境・社会に対する潜在的なリスクと影響の程度に応じてプロジェクトにカテゴリーを付与します。
次に、プロジェクトに対し、付与したカテゴリーに応じて要求される環境・社会配慮がお客さまによって実施されているかを環境社会グループが確認します。
環境・社会レビューの結果は、与信所管部に還元され、与信所管部は環境社会レビューの結果を考慮した上で与信判断を行います。
| 原則1 | カテゴリーの定義 |
|---|---|
| カテゴリーA | 環境・社会に対して重大な負の潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響が多様、回復不能、または前例がないプロジェクト。 |
| カテゴリーB | 環境・社会に対して限定的な潜在的リスク、または、影響を及ぼす可能性があり、そのリスクと影響の発生件数が少なく、概してその立地に限定され、多くの場合は回復可能であり、かつ、緩和策によって容易に対処可能なプロジェクト。 |
| カテゴリーC | 環境・社会に対しての負のリスク、または、影響が最小限、または全くないプロジェクト。 |
赤道原則は、IFCパフォーマンススタンダードおよびEHSガイドラインを参照基準としています。
IFCパフォーマンススタンダードおよびEHSガイドラインについては、国際金融公社(IFC)公式ウェブサイト(英語)をご覧ください。
- 環境・社会モニタリング
ファイナンシャル・アドバイザリーサービスのサポート
研修の実施
従業員の環境・社会配慮確認に対する理解を深め、赤道原則の考え方や手続きを浸透させることを目的として研修を実施しています。
この研修は、主に国内外のプロジェクトファイナンスや審査担当者を対象に実施し、それ以外の従業員についても環境・社会配慮確認に対する理解が深まるように、社内広報等を通じて全社的な浸透を図っています。その他、新規着任者について、赤道原則の行内手続き内容の研修および過去の環境・社会配慮のケース・スタディーを行っています。
また、お客さま等への研修も、ご要望に応じて随時実施しています。
環境・社会配慮確認・カテゴリーに関する情報開示
銀行は、赤道原則を適用し、毎年フィナンシャル・クローズしたプロジェクトファイナンス案件およびプロジェクト紐付きコーポレートローン案件、同期間にマンデートを取得したプロジェクトファイナンスアドバイザリーサービスについて、赤道原則および銀行の「赤道原則運用ガイドライン」に基づき、「環境社会配慮確認・カテゴリーに関する情報開示」を更新しています。
なお、銀行は、各プロジェクトの環境・社会に対する潜在的なリスクと影響の程度に応じて、「赤道原則運用ガイドライン」に基づき、国際金融公社(IFC)のパフォーマンススタンダード、世界銀行の環境・衛生・安全(EHS)ガイドラインを参照しながら、カテゴリーを付与しています。特にカテゴリーAを付与する場合は、OECD コモンアプローチや公的機関のガイドライン等も参照し、赤道原則のカテゴリー定義に従い判断しています。
✓マークのある2020年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。
✓マークのある2021年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。
✓マークのある2022年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。
- 2024年より、赤道原則に基づく報告は1月から12月の暦年で行う必要があります。従来、当行は4月から翌年3月までの会計年度で報告/開示を行っておりましたが、新規定に合わせるため、2023年の実績については、移行措置として9ヶ月間(4月から12月まで)で報告/開示いたします。
✓マークのある2024年度実績は、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しています。
用語集
(www.equator-principles.com)日本語訳-別紙I)
- 環境・社会アセスメント(Environmental and Social Assessment)
- 環境・社会影響評価書(Environmental and Social Impact Assessment:ESIA)
- 環境・社会マネジメントプラン(Environmental and Social Management Plan:ESMP)
- 環境・社会マネジメントシステム(Environmental and Social Management System:ESMS)
- 気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言(TCFD Recommendations)
- 気候変動‐物理的リスク(Climate Physical Risk)
- 気候関連‐移行リスク(Climate Transition Risk)
- 国連ビジネスと人権に関する指導原則(United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights:UNGPs)
- 指定国(Designated Countries)
- 赤道原則アクションプラン(Equator Principles Action Plan:EPAP)もしくは環境社会アクションプラン(Environmental and Social Action Plan: ESAP)
- 地球規模生物多様性情報機講(Global Biodiversity Information Facility:GBIF)
- 独立した環境・社会コンサルタント(Independent Environmental and Social Consultant)のレビュー
- 買収ファイナンス(Acquisition Finance)
- ブリッジローン(Bridge Loan)
- プロジェクト(Project)
- プロジェクトファイナンス(Project Finance)
プロジェクトファイナンスは、貸出人が、プロジェクトからの収入を債務返済の原資かつ与信の担保として見なして貸出す方法。この方式の資金調達は概ね大型で、複雑かつ巨額な費用を要する設備向けで、発電所、化学処理工場、鉱山、交通インフラ、環境、通信インフラなどが例として含まれる。プロジェクトファイナンスは新規設備建設、または既存設備のリファイナンスの形をとり、設備の改修を伴う場合も、伴わない場合もある。このような案件では、通常、貸出人に対する返済原資の全てもしくは殆どが、その設備の生産物の売買契約から生み出される収益から生じ、例えば発電所が売る電力がこれに該当する。顧客は、通常特別目的会社で、その設備の開発・所有・操業以外の事業を行うことは禁止されている。つまり、返済原資はプロジェクトのキャッシュフローとプロジェクト資産の担保価値に依拠する。2005年11月、バーゼル銀行監督委員会
「自己資本の測定と基準に関する国際的統一化」(Basel II)の「第2部:第一の柱-最低所要自己資本」(全国銀行協会版)(PDF / 1.45MB) 参照。
- プロジェクトファイナンス・アドバイザリーサービス(Project Finance Advisory Services)
- プロジェクト紐付きコーポレートローン(Project-Related Corporate Loans:PRCL)
- 貸出人は、(プロジェクトファイナンスと同様に)プロジェクトからの収益を主要返済原資と見なすが、貸出はその顧客の信用力もしくは親会社の保証に依拠する、
- 融資関係書類において総借入額の過半が、あるプロジェクト向けであることが明示されていること。ここでいう融資関係書類は、タームシート、インフォメーション・メモランダム、融資契約書、その他資金借入れのために顧客によって提供される関係書類を含む。
PRCLは政府が保有する企業向け、または政府に代わって商業目的を遂行するために政府によって創業された事業会社向けを含む。全てのカテゴリーAと、カテゴリーBのうち必要とされるプロジェクトについては、国、地方政府、政府省庁向け融資を含む。
プロジェクト紐付きコーポレートローンは、バイヤーズクレジット型の輸出金融を含むが、サプライヤークレジット型の輸出金融は含まない(顧客がプロジェクトの実質的な支配権を有さないため)。更に、プロジェクト紐付きコーポレートローンは、プロジェクト向けのファイナンスではない、アセットファイナンス、ヘッジ、リース、信用状取引、一般資金、運転資金、等の金融商品を除く。
- リファイナンス(Refinance)