保育サービスの需給・待機の状況(平成12年4月1日)
I 全国的状況
(1)保育所利用児童数
平成12年4月1日の保育所利用児童数は、178万8千人
これは、前年同日(173万6千人)から5万2千人(3.0%)増
(2)待機児童数
平成12年4月1日の待機児童数は、3万3千人
これは、前年同日(3万2千人)から7百人(2.2%)増
(3)保育需要 (注)保育所利用児童数と待機児童数との和
平成12年4月1日の保育需要は、182万1千人
これは、前年同日(176万9千人)から5万3千人(3.0%)増
(注意)
前回(平成11年4月1日現在)の調査に関しては、一部の地方公共団体から、待機児童数から追加受入可能児童数(一部の保育所における定員と現員との差)を控除した数を「待機児童数」とする報告があり、これをもとに全体集計した。
今回の調査ではそれを是正している。
この差異がないとしたならば、待機児童数は前年同日から1百人(0.4%)の増となる。
[画像:図1 保育サービスの需給・待機児童数の推移]
(注)各年4月1日現在(以下、各年に係る数値は、特段の表示がない限り、すべて4月1日現在)
1 全国の保育所利用児童数等の状況(平成12年)
[保育所利用児童数]
-
保育所利用児童数は、178万8,302人で、前年から5万1,912人(3.0%)増。
平成6年を底に6年連続の増。
平成6年から累計で19万5,604人(12.3%)の増。
[保育所施設数]
- 保育所の施設数は、2万2,200か所で、前年から70か所(0.3%)の減。
昭和60年以降の微減が継続。
公営・民営別内訳では、対前年、公営が148か所の減の一方、民営は78か所の増。
[保育所定員]
- 保育所の定員は、192万3,397人で、前年から5,861人分(0.3%)増。
前年に18年ぶりの増加に転じた後、2年連続の増加。
[定員充足率]
- 定員充足率(利用児童数÷定員数)は、93.0%で、2.4ポイント増。
平成6年を底に6年連続の増。
平成6年との対比では10.7ポイントの増。
公営・民営では、公営86.5%に対し、民営は101.5%と15.0ポイント高い。
なお、民営の充足率が100%を超えているが、これは面積や保育士配置の基準を満たした上で、いわゆる「定員の弾力化」に基づいて行っているもの。
[画像:図2 保育所利用児童数等の推移]
[表1] 保育所の定員・利用児童数等の状況(カッコ内は対前年比増減)
保育所数:か所
定員:人
利用児童数:人
定員充足率:%
平成11年
22,270(△しろさんかく 62)
1,917,536(+ 3,585)
1,736,390(+45,120)
90.6(+2.2)
平成12年
22,200(△しろさんかく 70)
1,923,397(+ 5,861)
1,788,302(+51,912)
93.0(+2.4)
うち公営
12,727(△しろさんかく148)
1,093,586(△しろさんかく 6,017)
946,279(+20,867)
86.5(+2.3)
うち民営
9,473(+ 78)
829,811(+11,878)
842,023(+31,045)
101.5(+2.4)
[保育所利用児童割合]
- 保育所利用児童割合(保育所利用児童数÷保育所利用の有無を問わない当該年齢の全児童数)は、25.0%。
前年の24.3%に比べ0.7ポイント高くなっている。
25%という水準は、就学前児童数の丁度4人に1人が保育所を利用しているということになる。
[表2] 年齢区分別の保育所利用児童の割合(カッコ内は対前年比増減)
12年保育所利用児童の割合
11年保育所利用児童の割合
低年齢児(0〜2歳)
14.7%(+0.7)
14.0%
うち0歳児
5.6 (+0.4)
5.2
うち1.2歳児
19.2 (+0.8)
18.4
3歳以上児
35.4 (+0.8)
34.6
全年齢児計
25.0 (+0.7)
24.3
2 全国の保育所待機児童数の状況(平成12年)
[保育所待機児童数−全年齢計−]
- 保育所待機児童数は、3万2,933人で、前年から708人(2.2%)の増。
これは、保育所の受入・供給増(=保育所利用児童数の増)が前年の待機児童数3万2,225人を上回る5万1,912人と大幅であったものの、新たな保育需要の増も多かった結果。
(注)P1の(注意)参照
[保育所待機児童数−年齢別−]
- 年齢階層別の保育所待機児童数を見ると、低年齢児(0〜2歳)児が2万1,999人、3歳以上が1万934人と、低年齢児の待機が多い。
対前年増減でも、低年齢児が888人増、3歳以上児が180人の減と、低年齢児の待機が増えている。
[表3]年齢区分別の待機児童数等
11年待機
受入・供給増
需要増
12年待機
待機増減
低年齢児(0〜2歳)
21,111人
+23,537人
+24,425人
21,999人
+ 888人
うち0歳児
4,447
+ 2,919
+ 2,887
4,415
△しろさんかく 32
うち1・2歳児
16,664
+20,618
+21,538
17,584
+ 920
3歳以上児
11,114
+28,375
+28,195
10,934
△しろさんかく 180
全年齢児計
32,225
+51,912
+52,620
32,933
+ 708
[保育所待機率]
- 保育所待機率(保育所待機児童数÷保育所利用児童数)は、1.8%。
分母の保育所利用児童数が増加したことにより、前年の1.9%から低下。
年齢別では、0歳児の待機率が6.7%と最も高い。
[表4]年齢区分別の待機率等(カッコ内は対前年比増減)
12年入所
12年待機
12年待機率
11年待機率
低年齢児(0〜2歳)
526,730人
21,999人
4.2%(±0.0)
4.2%
うち0歳児
65,798
4,415
6.7 (△しろさんかく0.4)
7.1
うち1.2歳児
460,932
17,584
3.8 (±0.0)
3.8
3歳以上児
1,261,572
10,934
0.9 (±0.0)
0.9
全年齢児計
1,788,302
32,933
1.8 (△しろさんかく0.1)
1.9
[画像:図3 保育所待機率の推移]
II 待機児童の地域的状況
待機児童のいる市区町村数は553。対前年比30減少。
待機児童を解消した市町村数は182。新たに待機児童が生じた市町村数は152。
都市部の待機率が比較的が高く、首都圏(埼玉、東京、神奈川)、近畿圏(大阪、兵庫)の5都府県(政令指定都市・中核市含む)で見ると、待機率は4.6%。全待機児童の62.0%に当たる2万419人の待機児童がこれらの地域である。
[表5]5都府県(埼玉、東京、神奈川、大阪、兵庫(政令指定都市・中核市含む))の状況
利用児童数
(全国計に対する割合)
待機児童数
(全国計に対する割合)
待機率
5都府県
442,702人( 24.8%)
20,419人( 62.0%)
4.6%
その他の道府県
1,345,600 ( 75.2%)
12,514人( 38.0%)
0.9%
全国計
1,788,302 (100.0%)
32,933 (100.0%)
1.8%
[待機児童の有無別の市区町村数]
- 待機児童のいる市区町村数は553(17.0%)。これは、前年の583(17.9%)から、数で30、率で0.9ポイントの減少である。
[表6]待機児童のいる市区町村数(待機児童数別)
待機児童数
待機児童なし
計
1 人以上
10人未満
10人以上
50人未満
50人以上
100人未満
100人以上
500人未満
500人以上
計
11年
271
179
60
63
10
583(17.9%)
2,669(82.1%)
3,252
12年
250
171
51
73
8
553(17.0%)
2,699(83.0%)
3,252
[待機児童数増減別の市区町村数]
- 待機児童数が減少した市区町村は361(11.1%)、うち待機を解消した市町村が182(5.6%)。
待機児童数が増加した市区町村は351(10.8%)、うち新たに待機が発生した市町村が152(4.7%)。
[表7]待機児童数増減別の市区町村数
待機児童数の増減
市区町村数(割合)
(1) 100人以上増
13( 0.4%)
(2) 10人以上100未満の増
130( 4.0%)
(3) 10人未満の増
208( 6.4%)
(4) 増減なし(待機がある市町村)
23( 0.7%)
(5) 増減なし(待機がない市町村)
2,517(77.4%)
(6) 10人未満の減
232( 7.1%)
(7) 10人以上100未満の減
120( 3.7%)
(8) 100人以上の減
9( 0.3%)
[地方公共団体の状況(例)]
【栃木市(栃木県)】(待機児童数89位→解消)
定員750人(+50人)、入所児童806人(+83人)、待機児童0人(△しろさんかく84人) ※(注記)カッコ内は対前年比増減
○しろまる余裕教室を活用した分園の整備等により待機児童を完全解消
少子化対策臨時特例交付金(以下、「交付金」という)により、小学校の余裕教室を活用した保育所の分園(定員規模20人)の整備及び民営保育所の増改築(定員30人増)を実施し、また、各保育所の4月の入所希望状況に合わせた、新たな公営保育所への臨時の保育士の配置、定員の弾力化の実施等により、待機児童を解消。
【相模原市(神奈川県)】(待機児童数12位→24位へ改善)
定員5,787人(+368人)、入所児童5,915人(+406人)、待機児童299人(△しろさんかく185人)
○しろまる駅前保育所(分園)の整備等により待機児童185人減
交付金により、駅近くの利便性の良い場所に保育所の分園(2か所、定員規模各29人)を設置し、また、民営保育所の創設(2か所、定員210人)、既存施設の定員増等により、合計406人(前年比)の定員増を行い、待機児童数185人の減。
【那覇市(沖縄県)】(待機児童数21位→42位へ改善)
定員4,233人(+270人)、入所児童4,351人(+450人)、待機児童204人(△しろさんかく139人)
○しろまる夜間保育所の創設、民営保育所の増築等により待機児童139人減
夜間の保育需要に対応するため夜間保育所(定員30人)を創設し、また、交付金による民営保育所の増築(11か所、定員235人増)等により、合計270人(前年比)の定員増を行い、待機児童数139人の減。
【横浜市】(待機児童数1位→2位へ改善)
定員22,312人(+794人)、入所児童21,822人(+975人)、待機児童1,535人(△しろさんかく94人)
○しろまる横浜保育室(市単独事業)の認可保育所化等により、大幅な受入・供給の増
横浜保育室の認可保育所化(2か所、定員160人)、民営保育所の創設(4か所、定員360人)、既存保育所の増築等により、合計794人の定員増、児童数で975人の受入・供給増を図ったが、大幅な需要増により、待機児童数の減は94人に止まる。
今後の需要増に対応し、待機解消を図るため、交付金(12年度基金)により、民営保育所の創設(14か所、定員930人)、既存施設の増築(5か所、定員170人増)を実施予定。
【福岡市】(待機児童数41位→10位)
定員21,285人(+210人)、入所児童21,951人(+1,046人)、待機児童459人(+270人)
○しろまる大幅な受入・供給増を図るが、それを上回る新たな需要増により、待機児童数270人の増
10年4月に定員240人増、11年に定員1,250人増、12年においても交付金による既存施設の増築等により、定員210人増と、毎年定員増を行っており、受入・供給も1,046人(前年比)と大幅な増を図るが、それを更に上回る新たな需要増により、待機児童数は270人の増。
III 年度途中の入所の状況(0歳児)
産休明けや育休明け等に対応した0歳児の年度途中の入所は、全国的には相当な割合となっている(年度当初・年度末の0歳児の入所児童数対比は181.3%)。
しかしながら、地域別で見ると0歳児の年度当初・年度末の入所児童数対比には格差が見られる。
全国の0歳児について、11年4月1日の入所児童数の6万2,879人に対して、12年3月1日の入所児童数は11万4,005人である。12年3月1日の入所児童数を11年4月1日の入所児童数で除した年度当初・年度末の入所児童数対比は181.3%となっている。
ただし、仙台市、堺市、東京都(全市区町村計)、川崎市、横浜市など、相当低水準な(年度途中入所ができにくい)地域も見受けられる。
年度当初・年度末入所児童数対比は、昭和60年度は139.7%であったが、昭和63年度に150.8%、平成6年度に163.8%、平成9年度に174.7%、そして平成11年度は181.3%と上昇し、年度途中入所が促進されつつある。
[表8]0歳児の年度当初・年度末入所児童数対比の低い都道府県・政令指定都市・中核市
順位
都道府県・市
対比
前年
1
仙台市
110.8%
2
2
堺市
112.9%
1
3
東京都(全市区町村計)
116.2%
3
4
川崎市
118.7%
4
5
横浜市
131.1%
6
- (注1) 共通事項
- 年齢区分は、4月1日時点における満年齢(年度途中から入所した場合は、入所月の初日における満年齢)による。
- (注2)I全国的状況[保育所利用児童割合]関係
- 分母となる平成12年4月1日の就学前児童数は、11年10月1日推計人口(人口推計月報)に、11年10月1日推計人口から10年10月1日推計人口を差し引いた人数の1/2を加えた数を用いている
(11年4月1日の就学前児童数は、 11年10月1日推計人口と10年10月1日推計人口を合計した数の1/2を用いている)。
- (注3)II待機児童の地域的状況関係
- 市区町村数に係る率は、全市区町村3,252を分母とした。
なお、保育所設置市区町村数は、3,088(11年は3,085)、設置していない町村の数は、164(11年は167)である。
- (注4)II待機児童の地域的状況[地方公共団体の状況(例)]関係
- 「少子化対策臨時特例交付金」は、地域における少子化対策の一層の普及推進を図るために平成11年度補正予算に計上したもの。市区町村において基金を設置するなどにより11年度から13年度までの所要経費に充てることができる。
- (参考) データ出典
- 保育所利用児童数、保育所施設数、保育所定員:厚生省報告例
- (厚生省統計情報部(11年以前分・年報、12年分・月報(概数)))
待機児童数:保育所待機児童数調査(厚生省保育課調べ)
<参考>保育所待機児童のランキング等
1.待機児童数の多い市区町村
(1)全年齢児の待機児童数の多い市区町村
順位
市区町村
待機児数
前年
順位
市区町村
待機児数
前年
1
大阪市
1,991人
3
6
神戸市
679人
9
2
横浜市
1,535人
1
7
仙台市
588人
10
3
足立区(東京都)
911人
4
8
京都市
533人
8