(別添)
表1 平成13年度 食品中のダイオキシン類の濃度(pgTEQ/g)
食品
産地
ダイオキシン類(pgTEQ/g)
PCDDs+PCDFs
Co-PCB
Total
魚介類
その加工品
(*:加工品)
いか
輸入
<0.001
0.001
0.001
いか
輸入
0.010
<0.001
0.010
いかなご(生)
国産
0.190
0.466
0.656
いかなご(生)
国産
0.011
0.205
0.216
いかなご(釜揚げ)*
国産
0.916
1.692
2.608
うなぎ
国産
0.143
0.162
0.305
うなぎ
国産
0.383
0.359
0.742
うなぎ
国産
0.160
0.616
0.776
かたくちいわし
国産
0.389
0.534
0.923
かたくちいわし
国産
0.431
0.887
1.318
かたくちいわし
国産
0.393
0.413
0.806
かに
国産
1.407
0.994
2.401
かに
国産
0.014
0.047
0.061
すけとうたら
国産
0.007
0.061
0.068
すけとうたら
国産
0.009
0.059
0.068
たこ
輸入
0.041
0.037
0.078
ぶり
国産
0.206
0.510
0.716
ぶり
国産
0.307
1.038
1.344
にじます
国産
0.070
0.507
0.577
にじます
国産
0.462
0.813
1.276
まぐろ
輸入
0.005
0.021
0.026
まぐろ
輸入
0.005
0.129
0.134
まぐろ
輸入
0.170
0.751
0.921
わかさぎ
国産
0.162
0.221
0.383
わかさぎ
国産
0.047
0.092
0.139
金目鯛開き*
国産
<0.001
0.025
0.025
金目鯛開き*
国産
0.094
0.373
0.466
金目鯛開き*
国産
0.330
0.520
0.850
塩さば*
輸入
0.214
0.834
1.048
塩さば*
輸入
0.277
0.882
1.159
塩さけ*
輸入
0.047
0.112
0.159
塩さけ*
輸入
1.861
4.235
6.096
かまぼこ*
国産
<0.001
0.001
0.001
かまぼこ*
国産
<0.001
0.001
0.001
ししゃも*
国産
0.237
0.192
0.429
しらす(釜揚げ)*
国産
0.264
0.332
0.596
しらす(釜揚げ)*
国産
0.072
0.132
0.204
しらす(干し)*
国産
0.092
0.583
0.675
するめ*
国産
0.022
0.012
0.034
するめ*
国産
0.269
0.386
0.655
ほっけ開き*
国産
0.167
0.253
0.420
ほっけ開き*
国産
0.543
0.955
1.498
めざし*
国産
1.052
1.303
2.355
めざし*
国産
1.083
2.435
3.518
赤貝味付缶詰*
国産
0.026
0.022
0.048
赤貝味付缶詰*
国産
0.450
0.160
0.610
いわし味付缶詰*
国産
0.005
0.019
0.024
いわし味付缶詰*
国産
0.308
0.446
0.754
いわし甘露煮*
国産
0.282
0.411
0.694
いわし甘露煮*
国産
0.237
0.383
0.620
畜産食品
牛タン
国産
0.197
0.073
0.269
手羽先
国産
0.006
0.053
0.059
手羽先
国産
0.025
0.081
0.106
手羽先
国産
0.035
0.025
0.060
馬肉
国産
1.230
0.555
1.785
コンビーフ
輸入
0.044
0.026
0.070
サラミ
輸入
0.039
0.018
0.057
サラミ
輸入
<0.001
0.024
0.024
ボンレスハム
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ボンレスハム
国産
0.005
<0.001
0.006
鶏卵
国産
0.072
0.090
0.162
鶏卵
国産
0.024
0.040
0.064
乳製品
マーガリン
国産
0.005
0.001
0.006
マーガリン
国産
0.003
<0.001
0.003
マーガリン
国産
0.003
<0.001
0.003
ヨーグルト
国産
0.020
0.011
0.031
ヨーグルト
国産
0.005
0.001
0.006
ヨーグルト
国産
0.021
0.011
0.032
穀類,豆類
米
国産
<0.001
<0.001
<0.001
米
国産
<0.001
<0.001
<0.001
米
国産
<0.001
<0.001
<0.001
小豆
国産
<0.001
<0.001
<0.001
野菜,果実
キャベツ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
キャベツ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
しめじ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
たけのこ
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
ブロッコリー
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
ブロッコリー
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
ブロッコリー
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
山芋
国産
<0.001
<0.001
<0.001
いちご
国産
<0.001
<0.001
<0.001
キウイフルーツ
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
調味料
(砂糖・味噌を含む)
砂糖
国産
<0.001
<0.001
<0.001
砂糖
国産
<0.001
<0.001
<0.001
しょうゆ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
しょうゆ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
酢
国産
<0.001
<0.001
<0.001
酢
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ドレッシング
国産
0.001
<0.001
0.001
ドレッシング
国産
0.001
<0.001
0.001
味噌
国産
<0.001
<0.001
<0.001
味噌
国産
<0.001
<0.001
<0.001
味噌
国産
<0.001
<0.001
<0.001
嗜好飲料
コーラ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
コーラ
国産
<0.001
<0.001
<0.001
日本酒
国産
<0.001
<0.001
<0.001
日本酒
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ビール
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ビール
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ワイン
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
ワイン
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
その他
アーモンド
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
プルーン(乾燥)
輸入
0.001
<0.001
0.001
海苔(乾燥)
国産
0.188
0.001
0.190
うどん
国産
<0.001
<0.001
<0.001
うどん
国産
<0.001
<0.001
<0.001
ビスケット
国産
0.001
<0.001
0.001
コーヒー豆
輸入
<0.001
<0.001
<0.001
漬物
国産
<0.001
<0.001
<0.001
漬物
国産
0.001
<0.001
0.001
漬物
国産
<0.001
<0.001
<0.001
表2 平成13年度 ベビーフード中のダイオキシン類の濃度(pgTEQ/g)
食品
メーカー
ダイオキシン類(pgTEQ/g)
PCDDs+PCDFs
Co-PCB
Total
飲料
イオン飲料
A
<0.001
<0.001
<0.001
イオン飲料
B
<0.001
<0.001
<0.001
麦茶
B
<0.001
<0.001
<0.001
イオン飲料
B
<0.001
<0.001
<0.001
イオン飲料
C
<0.001
<0.001
<0.001
イオン飲料
D
<0.001
<0.001
<0.001
果実・野菜
加工品
コーンスープ
E
0.037
0.023
0.060
コーンスープ
D
<0.001
0.001
0.001
野菜スープ
D
<0.001
<0.001
<0.001
りんご
E
<0.001
<0.001
<0.001
もも
E
<0.001
<0.001
<0.001
りんご
F
<0.001
<0.001
<0.001
プリン(バナナ)
F
<0.001
<0.001
<0.001
ヨーグルト(フルーツ)
F
<0.001
<0.001
<0.001
ご飯もの
おじや(野菜)
F
<0.001
<0.001
<0.001
ごはん(野菜)
G
<0.001
<0.001
<0.001
おじや(かれい,わかめ)
F
<0.001
<0.001
<0.001
かゆ(しらす)
F
<0.001
0.001
0.001
ドリア(白身魚,チーズ)
F
<0.001
0.001
0.001
おじや(肉,野菜)
F
<0.001
<0.001
<0.001
チキンライス
F
<0.001
0.001
0.001
炊き込みごはん(五目)
F
<0.001
0.001
0.001
炊き込みごはん(鶏肉,ごぼう)
F
0.003
0.001
0.004
チャーハン(しらす)
F
0.006
0.023
0.029
炊き込みごはん(鶏肉,野菜)
D
<0.001
<0.001
<0.001
ドリア(鮭,野菜,チーズ)
D
<0.001
0.001
0.001
かゆ
E
<0.001
<0.001
<0.001
チャーハン(豚肉,野菜)
D
<0.001
0.001
0.001
ごはん(牛肉,野菜)
E
<0.001
<0.001
<0.001
麺類
煮込みうどん(野菜)
G
<0.001
<0.001
<0.001
煮込みうどん
F
<0.001
<0.001
<0.001
煮込みうどん(鶏肉)
F
<0.001
<0.001
<0.001
煮込みうどん(野菜)
D
<0.001
<0.001
<0.001
煮込みうどん
E
<0.001
0.001
0.001
煮込みうどん(牛肉)
F
0.001
<0.001
0.001
カレー・シチュー
野菜入りカレー
F
<0.001
0.001
0.001
野菜入りカレー
G
<0.001
<0.001
<0.001
シチュー(肉,野菜)
E
<0.001
<0.001
<0.001
シチュー(牛肉)
D
<0.001
<0.001
<0.001
シチュー(ひらめ,野菜)
D
0.001
<0.001
0.001
その他
(おかずもの)
煮物(かれい,だいこん)
F
<0.001
0.020
0.020
煮物(つみれ,野菜)
F
<0.001
0.001
0.001
シチュー(エビ,野菜)
E
<0.001
<0.001
<0.001
煮物(さかな,野菜)
H
0.006
0.001
0.007
煮物(白身魚,野菜)
B
<0.001
0.005
0.005
煮物(鶏肉,里芋)
F
<0.001
0.001
0.001
煮物(豆腐,五目)
E
<0.001
<0.001
0.001
煮物(レバー,野菜)
E
0.009
0.013
0.023
おやつ
ボーロ
F
<0.001
0.001
0.001
ビスケット
D
0.002
0.002
0.004
ボーロ
D
0.006
0.012
0.018
厚生科学研究費補助金(生活安全総合研究事業)
総括研究報告書
ダイオキシンの汚染実態把握及び摂取低減化に関する研究
主任研究者 豊田正武 国立医薬品食品衛生研究所 食品部長
研究要旨
ダイオキシン類による食品汚染実態および食事経由摂取量を把握するための調査研究を実施するとともに,ダイオキシン類の摂取低減化を図ることおよびダイオキシン測定の迅速化を目的として,下記の4課題の研究を実施した.
-
(1-1)ダイオキシン類のトータルダイエット調査
(1-2)食品におけるダイオキシン類の迅速測定法開発に関する研究
(2)個別食品のダイオキシン類汚染実態調査
(3)食品中のダイオキシン類のリスク低減に関する研究
(1-1)では,トータルダイエット調査を実施し,食事経由ダイオキシン類1日摂取量の全国平均が1.63 pgTEQ/kgbw/dayであることを明らかにした.
(1-2)では,CALUX(Chemically Activated Luciferase Expression)アッセイが市販魚中ダイオキシン類毒性等量を推測するスクリーニング法として適した性質を有していることを明らかにした.
(2)では,魚介類,野菜等各種の国内産および輸入食品,および市販ベビーフード製品中のダイオキシン類を分析し,汚染実態を明らかにした.
(3)では,ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)によるAhレセプターの活性化に対する食品の抑制効果について,CALUXアッセイおよびAhイムノアッセイを利用して検討し,ハーブのセージ,ホウレン草などの緑葉野菜および柑橘類の抽出物がAhレセプター活性化に対する抑制効果を示すことを明らかにした.
分担研究者
豊田正武 国立医薬品食品衛生研究所
食品部長
佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所
食品部第一室長
飯田隆雄 福岡県保健環境研究所
保健科学部長
A.研究目的
本研究では,ダイオキシン類による食品汚染実態および食事経由摂取量を把握するための調査研究を行うとともに,ダイオキシン類の摂取低減化を図ることおよびダイオキシン類測定の迅速化を目的として,次の4課題の研究を実施した.
-
(1-1)ダイオキシン類のトータルダイエット調査
(1-2)食品におけるダイオキシン類の迅速測定法開発に関する研究
(2)個別食品のダイオキシン類汚染実態調査
(3)食品中のダイオキシン類のリスク低減に関する研究
B.研究方法
分担研究(1-1)
全国7地域の12機関で,それぞれ約120品目の食品を購入し,厚生労働省の平成11年度国民栄養調査の食品別摂取量表に基づいて,それらの食品を計量し,そのまままたは調理した後,13群に大別して,混合し均一化したものを試料とした.さらに第14群として飲料水を試料とした.これらについて,「食品中のダイオキシン類測定方法ガイドライン」 に従ってダイオキシン類を分析し,1日摂取量を算出した.
分担研究(1-2)
CALUX(Chemically Activated Luciferase Expression)アッセイ(ルシフェラーゼ遺伝子を導入した培養細胞を利用したレポータージーンアッセイ)の,市販魚中のダイオキシン類測定への適用性を検証し,最適化した条件で市販魚を測定し,従来法であるHRGC/HRNMSによる測定結果と比較した.
分担研究(2)
東京,大阪および福岡で採取した国内産食品,および輸入食品合計111試料,並びに市販ベビーフード製品51試料について,「食品中のダイオキシン類測定方法ガイドライン」に従ってダイオキシン類を分析した.
分担研究(3)
CALUXアッセイおよびAhイムノアッセイを用いて,ダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)によるAhレセプター活性化に対する各種の植物性食品抽出物の抑制効果を測定した.
C.結果および考察
分担研究(1-1)
日本人の平均的なダイオキシン類1日摂取量は,検出限界以下の異性体濃度をゼロとして計算した場合,1.63±0.71 pgTEQ/kgbw/day(範囲0.67〜3.40 pgTEQ/kgbw/day)であり,検出限界以下の異性体濃度を検出限界値の1/2として計算した場合,2.59 pgTEQ/kgbw/dayであることを明らかにした.これらの値は,12年度の調査結果(それぞれ1.45±0.38 pgTEQ/kgbw/day,および2.39±0.40 pgTEQ/kgbw/day)と大きな差は認められず,また,日本におけるTDI(4 pgTEQ/kgbw/day)より低かった.
分担研究(1-2)
CALUXアッセイを利用し,市販魚中のダイオキシン類測定を試みた結果,本法により市販魚中のダイオキシン類を高感度に測定できることが分かった.CALUXアッセイによる測定結果は従来法であるHRGC/HRMSによる分析結果と良好な相関が得られ,毒性等量を推測するスクリーニング法として適した性質を有していた.CALUXアッセイは従来法に比べ,コストが安く,また迅速に結果が得られ,多数検体にも応用可能なことから,食品中のダイオキシン類のスクリーニング法として期待できる結果であった.
分担研究(2)
生鮮魚類から平均0.600 pgTEQ/gのダイオキシン類が検出されたが,過去2年の調査結果より低い値であったが,調査対象魚種が年度によって異なることから,経年変化ととらえることはできない. 植物性食品,嗜好飲料中のダイオキシン類濃度は0.001 pgTEQ/g未満のものが多かった.検出された場合も動物性食品に比べて低い値であった.
市販ベビーフードでは,ダイオキシン類濃度が0.001 pgTEQ/g未満のものが約半数(27試料)であった.0.010 pgTEQ/g以上検出されたものは5試料であり,最高値は0.060 pgTEQ/gであった.市販ベビーフードについて今回得られた値は一般の野菜中のダイオキシン類濃度に近かった.
分担研究(3)
ハーブのセージ,ホウレン草などの緑葉野菜および柑橘類の抽出物が,2,3,7,8,-TCDDによるAhレセプター活性化に対して抑制効果を示した.セージはコントロールと比較してCALUXアッセイで79%、Ahイムノアッセイで83%の抑制効果を示し,今回供試した試料の中で最も効果が強く,その効果は濃度依存的であった.インビトロでのデータではあるが,いくつかの植物性食品にはAhレセプターの活性化を抑制するファクターの存在が示唆された.
D.結論
4課題について研究し,下記の成果を得た.
(1-1)トータルダイエット調査により,ダイオキシン類1日摂取量の全国平均が1.63 pgTEQ/kgbw/dayであることを明らかにした.今後も推移を調査する必要がある.
(1-2)CALUXアッセイが魚中のダイオキシン類毒性等量を推測するスクリーニング法として有用であることを明らかにした.今後その他のアッセイ法についても有用性の検証を行う.
(2)一般食品およびベビーフード製品中のダイオキシン類を分析し,汚染実態を明らかにした.個人レベルのリスク評価を行うために,今後も個別食品分析データの集積を続ける.
(3)セージ,柑橘類,ホウレン草などの抽出物が,2,3,7,8-TCDDによるAhレセプター活性化に対して抑制効果を示すことを明らかにした.今後その有効成分の本体について検討を進める.
F.研究発表
1.論文発表
1) Fujino J, Tsutsumi T, Amakura Y, Nakamura M, Kitagawa H, Yamamoto T, Sasaki K, Toyoda M. Application of the CALUXTM assay to the analysis of DXNs in fish (The First Report) Organohalogen Compounds, 51(2001)348-351.
2) Amakura, Y., Tsutsumi, T., Nakamura, M., Fujino, J., Kitagawa, H., Sasaki, K., Yoshida, T., Toyoda, M: Preliminary screening of the inhibitory effect of food extracts on activation of the aryl hydrocarbon receptor induced by 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo- p-dioxin, Biol. Pharm. Bull., 25, 272-274 (2002).
2.学会発表
1) 堤 智昭, 天倉吉章,中村昌文, 藤野潤子, 北川宏子, Brown DJ, Clark GC, 佐々木久美子, 豊田正武. CALUXバイオアッセイによる市販魚中ダイオキシン類のスクリーニング法の開発.第4回環境ホルモン学会(2001.12)
2) 天倉吉章,堤 智昭,中村昌文,藤野潤子,北川宏子,佐々木久美子,吉田隆志,豊田正武:ダイオキシンによるアリル炭化水素レセプターの活性化に対する食品の抑制効果,日本薬学会第122年会(2002. 3).