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平成14年11月21日
「非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における
肝炎ウイルス感染に関する調査研究」の結果について(概要)
○しろまるはじめに
厚生労働省においては、「肝炎対策有識者会議」の提言を受け、非加熱血液凝固因子製剤(血液凝固第VIII因子製剤及び第IX因子複合体製剤を指す。以下同じ。)を投与された非血友病患者における肝炎ウイルスの感染実態について調査・分析するために、平成13年度厚生科学特別研究事業として、「非加熱血液凝固因子製剤を使用した血友病以外の患者における肝炎ウイルス感染に関する調査研究」研究班(班長:島田馨 東京専売病院長)を設置した。本調査研究は、当該製剤を血友病以外の患者に使用した可能性のある医療機関名を公表するとともに、対象者に検査受診を呼びかけ、感染の実態を把握すること、さらには、感染者を発見し治療に資することを目的として実施された。
なお、本調査研究は、本年3月7日に速報値として中間結果を公表しており、今回はこれらに加えて輸血歴、フィブリノゲン製剤投与歴及び診療(経過観察、治療)の状況について行った追加調査結果を含め、最終報告書として提出されたものである。
○しろまる調査期間及び調査対象者
1 検査実施期間
平成13年3月29日〜同年7月31日
2 検査対象者
昭和47年(国内使用開始年)から昭和63年(全ての血液凝固因子製剤の加熱処理から1年後)までの期間に非加熱血液凝固因子製剤を投与された可能性のある非血友病患者で、調査の呼びかけに対し回答した9,764人。(そのうち、回答不備等を除いた9,202人が分析の対象。)
3 追加調査期間
平成14年3月〜同年10月
4 追加調査
非加熱血液凝固因子製剤の使用が確認された者(391人)について、過去の輸血歴、フィブリノゲン製剤投与歴について調査するとともに、肝炎ウイルス検査陽性の者(87人)については、医療機関における現在の診療状況について調査した。
○しろまる結果
1 検査対象者の性別
製剤使用が
確認された者
製剤使用の有無が
確認できない者
計
男性
213人
2,466人
2,679人
女性
177人
6,315人
6,492人
不明
1人
30人
31人
計
391人
8,811人
9,202人
2 検査対象者の年齢分布
製剤使用が
確認された者
製剤使用の有無が
確認できない者
計
〜19歳
176人
464人
640人
20〜29歳
85人
875人
960人
30〜39歳
18人
941人
959人
40〜49歳
19人
1,995人
2,014人
50〜59歳
38人
2,541人
2,579人
60〜69歳
34人
1,401人
1,435人
70歳以上
21人
537人
558人
不明
0人
57人
57人
391人
8,811人
9,202人
3 C型肝炎ウイルス(HCV)及びB型肝炎ウイルス(HBV)の感染状況
製剤使用が
確認された者
製剤使用の有無が
確認できない者
計
HCV遺伝子検査
(HCVRNA)
実施者数
352人
8,785人
9,137人
陽性者数
108人
362人
470人
(陽性率)
(30.7%)
(4.1%)
(5.1%)
HCV抗体検査
実施者数
391人
8,806人
9,197人
陽性者数
207人
648人
855人
(陽性率)
(52.9%)
(7.4%)
(9.3%)
B型肝炎検査
(HBs抗原)
実施者数
391人
8,809人
9,200人
陽性者数
18人
119人
137人
(陽性率)
(4.6%)
(1.4%)
(1.5%)
・ 血液検査でHCVRNA陽性であった場合、HCVに感染していることを意味する。
・ 血液検査でHCV抗体陽性となった場合、HCVに感染しているか、過去に感染したこと(治癒した場合を含む)があることを意味する。
・ 血液検査でHBs抗原陽性となった場合、HBVに感染していることを意味する。
4 非加熱血液凝固因子製剤の投与が確認された者(391人)のうち、他の血液製剤との併用が判明した者(186人)の状況(追加調査結果)
非加熱血液凝固因子製
輸血
フィブリノゲン
製剤
対象者数
HCVRNA
HCV抗体
検査者数
陽性者数(率)
検査者数
陽性者数(率)
1群
○しろまる
−
−
51人
50人
17人(34.0%)
51人
29人(56.9%)
2群
○しろまる
○しろまる
−
105人
101人
32人(31.7%)
105人
56人(53.3%)
3群
○しろまる
−
○しろまる
19人
19人
5人(26.3%)
19人
7人(36.8%)
4群
○しろまる
○しろまる
○しろまる
11人
11人
6人(54.5%)
11人
9人(81.8%)
2〜4群計
○しろまる
いずれか投与
135人
131人
43人(32.8%)
135人
72人(53.3%)
※(注記)参考
輸血・フィブリノゲン投与不明
○しろまる
不明
75人
74人
17人(23.0%)
75人
35人(46.7%)
(
○しろまる;投与あり)
5 HCVRNA陽性者の現在の診療状況(追加調査結果)
計
診療中
治癒
診療されていない
診療状況不明
入院
通院
治療中
経過観察
記載なし
調査開始時に治療中であった者
9人
1人
4人
4人
本調査により新規に治療対象となった者
53人
1人
2人
33人
7人
4人
6人
調査開始以前に治療を行っていた者
8人
4人
1人
1人
2人
調査開始時の状況について記載なし
7人
3人
4人
○しろまる考察
- 今回の調査において、非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けた者の群において、高い肝炎ウイルス感染率が認められた。
- 非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けた者のうち、輸血やフィブリノゲン製剤を併用した者の群において、C型肝炎ウイルスの感染率が有意に高いとの傾向は認められなかった。
- 非加熱血液凝固因子製剤の投与を受けた者で、C型肝炎ウイルスに感染していると確認された者の群においては、現在のところ重症化例は少ないものの、今後、医療機関における継続的かつ適切な診療が行われることが望まれる。
本報告書については、下記から閲覧できます。
(照会先)
医薬局血液対策課
田中(内線2905) 芹川(内線2902)
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