中食・外食で注目を集める多収性品種の米
温暖化や生産者の高齢化など近年、米づくりが多くの課題に直面するなか、高温に耐性が強い多収性品種の米に注目が集まっています。特に中食・外食業界では大量の米を継続的かつ安定して調達する必要があることから、多収性品種に関心が高まっています。
知っているようで知らないお米トリビア
01 国民一人当たりの月間コメ消費量 (単位=kg)
02 中食・外食での米消費は増加傾向 (単位=%)
03 主要品種と多収性品種の違い
多収性品種「にじのきらめき」の魅力
栽培を始めたきっかけ 開始したのは2024年です。近年猛暑が続き、これまで栽培していた品種の品質低下が気になっていました。縞葉枯病(しまはがれびょう)という稲の病気への耐性が強いことも選んだ理由のひとつです。 1年間の栽培の流れ 4月に種まき、5月に田植えをしてその後除草剤を撒き、7月に追肥、9月に稲刈りをします。今年は猛暑の関係で、例年より数日早くなりました。こうした栽培の流れは、主要品種とほぼ同じです。 気をつけていること 粒が大きいため、種まきのときにこれまでと同じ重量では育つ苗の数が減ります。そのため多めに撒いています。緑の葉が目立つため、収穫時期の見極めも田んぼに入って確認することが大事です。
山善農園 杉山さんが語る 多収性品種のメリット
01 収穫量が多い これまで栽培していた品種は、1,000平方メートルあたり510キログラムだった収穫量が、にじのきらめきは660キログラムで、明らかに多くなりました。 02 食味がよい 香りが豊かで、食味がよいと感じます。粒が大きいので食べ応えもあり、周囲の人たちからも好評です。おいしさを調べる食味計でも高い評価値が出ています。 03 気候変動に強い 2024年、酷暑の中でもにじのきらめきは一等米として評価されました。穂が倒れにくいので、台風やゲリラ豪雨にも強いです。 04 収入が安定する 気候に左右されず安定した収入が見込める上、収穫量が多いので収入が増えます。穂が倒れにくいのでコンバインの消耗が少なくメンテナンスコストも抑えられます。
活用が広がる多収性品種 多収性品種は食味も良く、大量炊飯が求められるお弁当や給食、レストランなどでも活用が広がっています。社員食堂と日本料理店の例を紹介します。
ベトナムチキンカレー にじのきらめきは粒がしっかりしていて粘りが控えめなので、通常はジャスミン米を使うベトナムなどのエスニック料理にも合います。甘味があるのでカレーにもぴったり。 麻婆豆腐丼 白くツヤがあり味のしっかりしたにじのきらめきは、植物由来の大豆ミートを使った麻婆豆腐と相性が良いです。健康に優しく、満足感のある組み合わせです。
伊勢海老の「にじのきらめき」米ソース掛け 山梨県産「にじのきらめき」は粒が大きくて、コシヒカリと同等のおいしさがあります。ソースに使っても上品な甘味とコクがあり、魚介類によく合います。 写真提供:山梨県 「にじのきらめき」の塩むすび ほかの食材の良さを引き出すことができるお米です。粒が大きいのでしっかり握れ、冷めてもおいしいので、おむすびに向いています。食べごたえもあります。 写真提供:山梨県
今週のまとめ
多収性品種は栽培する人たちや、料理を提供する人たちにとって多くのメリットがあります。味もおいしいことから、今後さらに生産が拡大すると消費者にも多くのメリットがありそうです。
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