記憶と想起の教育学 (紙版)

メモリー・ペダゴジー、教育哲学からのアプローチ

形式・仕様:
紙版 電子版

教育とは「文化的記憶」との接触により生じる学びを意図的に促す試みでもある。教育哲学や文学から記憶/想起について様々に論じる。

著者 山名 淳 編著
ジャンル 教育・心理
出版年月 2022年12月
ISBN 978-4-326-25167-4
Cコード 3037
判型・ページ数 A5・344ページ
定価 4,400円(本体4,000円 + 税)
在庫 在庫あり

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記憶(憶えとどめておく能力とそのための仕組み)と想起(特定の内容を再び呼び起こす動的な過程)は、教育および人間形成とどうかかわるのか。この問いに対し、教育哲学を足場として多様な視角から検討する。人間形成に関する学問と記憶の関係、書くことや記憶継承をめぐる問題について論じつつ、〈記憶の教育学〉モデルを構想する。

にじゅうまるけいそうビブリオフィルで本書の一部内容を公開しています。
あとがきたちよみ『記憶と想起の教育学』
はじめに──「記憶」が導く教育への問い[山名 淳]

第一章 記憶・想起と人間形成[ローター・ヴィガー/山名 淳 訳]
はじめに
一 ヨーロッパの哲学における記憶と想起
二 文化科学における記憶と想起の形式
三 想起と人間形成の対象としてのホロコースト

第二章 教育における「記憶」の意味転換──実験心理学的記憶研究の教育論への導入をめぐって[今井康雄]
一 消え去らない「記憶」
二 一九世紀ドイツにおける記憶と教育
三 実験心理学と記憶研究──ダンジガーの心理学史研究から
四 記憶をめぐる教育論──エルンスト・モイマンの場合
五 現代的な教育論の構図へ

第三章 「当事者」について記憶の観点から考える──当事者研究と現象学的質的研究を手がかりに[大塚 類]
一 問題の所在──「当事者」とは誰か
二 当事者研究における当事者と記憶
三 現象学的質的研究における意味と当事者性
四 現象学的質的研究における記憶と当事者性の拡大
五 「当事者」とは誰か

第四章 ハンブルクの「ゲニウス・ロキ」を想起する──アビ・ヴァールブルク「文化科学図書館」をめぐるビルドゥング・トポグラフィ[眞壁宏幹]
はじめに
一 ハイルヴィヒ通り一一六番地(Heilwigstrasse 116)
二 ドーム広場(Domplatz)
三 エドムント・ジーマース・アレー 一番地(Edmund-Siemers-Allee 1)
四 スイス・クロイツリンゲン(Kreuzlingen)
五 ボルン広場(Bornplatz)
おわりに

第五章 社会的記憶と個人的記憶の汽水域としての自伝──ルソーにおける抗いのエクリチュール[室井麗子]
一 ルソーによる「社会」への反抗と自伝
二 ルソーが反抗した「社会」とは何か
三 「集合的・社会的記憶」への反抗──ルソーの自伝的著作と抗いのエクリチュール
四 抗いのエクリチュール──諦念と希望

第六章 誰が記憶を語りうるのか──文学研究の観点から記憶叙述の「当事者性」を検証する[三村尚央]
一 「記憶のフィクション」がはらむ困難
二 非当事者による「リアルな表現」とは──北条裕子「美しい顔」
三 原爆の経験を再構築する──アラキ・ヤスサダとカズオ・イシグロ
四 ホロコーストの記憶を継承するとは
五 証言することの困難と「ハイブリッドな証言」、そして叙述の技法としての「聞き書き」
六 記憶を叙述する困難を乗り越えるために──「喪とメランコリー」再考

第七章 記憶の継承をめぐる共同性と公共性の関係──H・アレントにおける「語り口」の問題をてがかりに[田中智輝]
はじめに
一 「語り口」をめぐるアレントとショーレムの論争
二 記憶と責任の継承における共同性と公共性の問題
三 アレントにおける「語り口」の問題
四 公共性の源泉としての私性──むすびにかえて

第八章 「身ぶりとしての抵抗」の習慣形成──鶴見俊輔の戦争体験と反射の自己教育[西本健吾]
一 抵抗の習慣──問題の所在と本章の目的
二 鶴見の戦争体験
三 「反射」の自己教育
四 反射の自己教育における記憶の役割
五 「身ぶりとしての抵抗」としての反射──まとめにかえて

第九章 記憶の継承とはどのような行為か──ジークフリート・クラカウアーにおける批判的リアリズムを参照して[李 舜志]
はじめに──「なぜ記憶を継承しなければならないのか」という問い
一 クラカウアーにおける映画の特性
二 映画論としての歴史論
三 批判的リアリズム
四 記憶の継承におけるリアルさの問題
五 記憶の継承におけるさまざまなリアル
六 偶有的な細部に余地を残す
おわりに──進歩史観からの実践の救済、それによる体験者の消失への抗い

第一〇章 〈記憶の教育学〉モデルを構想する──比喩としての記憶と教育に関する試論[山名 淳]
はじめに──文化的記憶という比喩をめぐって
一 記憶としての文化、文化としての記憶
二 個人的記憶から集合的記憶へ
三 集合的記憶論に内包されたビルドゥング論
四 〈記憶の教育学〉モデル──集合的記憶論における教育の論じ方
おわりに──記憶に関する比喩の行方

おわりに[山名 淳]
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