月刊 経団連2025年11月号
特集 コンテンツ産業の現在と未来
巻頭言
働き方と生き抜くための学び
先日、「生産性向上」について議論した際、従業員のエンゲージメント指数が日本は7%と世界平均の21%に対して低い水準にあるという結果(ギャラップ社「State of the Global Workplace」調べ)を知って驚いた。日本的経営の名残である年功序列、終身雇用等が安心や企業への愛着を生んでいると思い込んでいたので、従業員をつなぎ留める要因とは何かを深く考えさせられた。
特集
コンテンツ産業の現在と未来
世界のコンテンツ市場が急成長する中、優れたIPを創出する日本のコンテンツ産業は、目覚ましい成長を遂げている。2023、2024年の経団連提言を嚆矢として、コンテンツ産業は日本の基幹産業と位置付けられ、コンテンツ政策の司令塔として「コンテンツ産業官民協議会」が設置された。官民を挙げた取り組みが進む一方、海外展開目標の達成には、乗り越えるべき課題がいまだ多く残されている。本特集では、座談会、対談、インタビュー等を通じて、現状の課題を掘り下げるとともに、今後のコンテンツ産業のあり方を展望する。
座談会:コンテンツ産業の現在と未来
- 南場 智子(経団連審議員会副議長、クリエイティブエコノミー委員長/ディー・エヌ・エー会長)
- 村松 俊亮(経団連クリエイティブエコノミー委員長/ソニー・ミュージックエンタテインメント社長)
- 小林 史明(衆議院議員、自由民主党新しい資本主義実行本部事務局長)
- 松岡 宏泰(東宝社長)
- 内山 隆(司会:青山学院大学総合文化政策学部教授)
- ■しかく 日本のコンテンツ産業の現状と課題
- 比類なき競争力を持つ日本のコンテンツIP
- コンテンツを次々に生み出せる好循環をつくるには
- 中長期的・一元的な支援体制を
- 出口を意識したクリエイター育成
- ■しかく 海外展開のさらなる拡大に向けた企業の取り組みと必要な施策
- IPの経済圏を全方位で拡大する
- 海外での成功体験を次につなげる
- コンテンツ産業におけるファンドの受け入れ
- 海外展開を担える人材を育てる
- 大学における専門人材の育成を
- テクノロジーや税制優遇の導入
- 国を挙げた支援体制を
- 実態に即した議論が必要
- ■しかく それぞれが果たすべき役割と連携のあり方
- コンテンツ産業を日本の基幹産業に
- 他分野への波及効果が高いコンテンツ産業
【特別寄稿】
わが国コンテンツ産業の振興に向けて
岸田 文雄(元内閣総理大臣、衆議院議員)
- 成長型経済に不可欠な基幹産業へ
- 2033年までに海外市場規模20兆円を掲げる
- 日本のコンテンツ産業の競争力の源泉は「現場」にある
- 官民連携のさらなる強化が発展の鍵
対談:世界が夢中になるコンテンツIPは、こうして生まれる!
- 栗田 宏俊(講談社取締役)
- 瓶子 吉久(集英社常務取締役)
- ■しかく ジャンプとマガジンの「文化の違い」
- 編集者が仕掛けたマンガが大ヒット!
- ■しかく 生成AIやデジタル化、SNSがもたらす影響
- AIにできること、人間でなければできないこと
- 多彩なエンタメコンテンツの中でマンガを読者にどう届けるか
- ■しかく 日本マンガは世界とどう戦うか
- アニメやキャラクターグッズをマンガにどう結び付けるか
- アプリの海外展開は海賊版が課題
- 日本特有のキャラクター同士の関係性が海外でヒットする
- ■しかく 日本マンガの2033年。出版社の未来像
- 出版社は「才能の総合商社」
【インタビュー】
クリエイターの空想力こそ、日本コンテンツ産業の原動力
桃井 信彦(バンダイナムコホールディングス副社長)
- ■しかく バンダイナムコの「反骨の経営哲学」
- 大阪・関西万博で示した「次なる未来」の姿とは
- ■しかく ファンと直接触れ合い、その熱量を肌で感じることが大事
- 世界市場で勝ち抜くためのIP戦略
- ■しかく われわれの仕事は「人生を豊かにする生活必需品」を生み出すこと
- クリエイティブの源泉たる"個の妄想"を守る
世界の「推し」は日本のコンテンツ!
―ジェトロ、コンテンツ産業の海外支援体制を拡充
石黒 憲彦(日本貿易振興機構(ジェトロ)理事長)
- 世界7カ所にコンテンツ産業支援拠点を設置
- ソフトパワーの代表格、日本のコンテンツ産業
コンテンツ産業のさらなる発展を目指す人材育成の実践と重要ポイント
市井 三衛(映像産業振興機構(VIPO)専務理事・事務局長)
- 人材育成にかかわる三つの観点
- 映像産業を支える多様な人材の育成と支援の必要性
- 学生と映画業界をつなぐ実践型インターンシップ
- 人材育成に関する重要なポイント
日本映画の未来に向けて
―制作現場の適正化【映適(エイテキ)】の取り組み
大浦 俊将(日本映画制作適正化機構事務局長)
- 映適設立の経緯
- 映適の機能
─ 映画制作現場のルール - 映適の成果
一般記事
【提言】
AZEC構想の推進に関する第二次提言
―脱炭素化プロジェクトの着実な推進に向けて
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/058.html
小堀 秀毅(経団連副会長、環境委員長/旭化成会長)
内田 高史(経団連審議員会副議長、資源・エネルギー対策委員長/東京ガス会長)
原 典之(経団連審議員会副議長、アジア・大洋州地域委員長/三井住友海上火災保険会長)
- AZECに対する経済界の期待
- 政策協調の推進
- 脱炭素化個別プロジェクトの推進
GX推進機構の役割
重竹 尚基(脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)専務理事)
- GX投資の加速化に向けた金融支援を実施
- 成長志向型カーボンプライシングの導入と運営
- 政府と金融機関・事業会社をつなぐハブ機能
- 日本のGX戦略推進の要として
×ばつEXPO 2027開幕500日前を迎えて
河村 正人(2027年国際園芸博覧会協会(×ばつEXPO協会)事務総長)
- 企業との共創による新たなグリーン社会を提示
- 企業の多様な支援が博覧会を支える
- 機運醸成に向けて
連載
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スタートアップ連携のベストプラクティスを探る4
"スタートアップファースト"で事業の成長をサポートする
橋本 雄太(三菱地所協創推進営業部兼新事業創造部主事)
武居 隼人(三菱地所新事業創造部副主事) -
あの時、あの言葉
学んだ知識と目の前の事実
長谷川 隆代(経団連ダイバーシティ推進委員長/SWCC会長) -
Essay「時の調べ」
チベット現代史の足跡 ―ギャロ・トゥンドゥプ、朱丹夫妻の歩み
小林 亮介(九州大学大学院比較社会文化研究院准教授)
新会員紹介
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代表執行役パートナー岡田 光
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社長南 啓二
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社長鶴山 修司
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代表取締役CEO大平 裕介