主な保険金・給付金の内容
〜事例:受け取れる場合・受け取れない場合〜
主な保険金・給付金の内容と保険金等を受け取れる場合、受け取れない場合の代表的な事例を参考としてあげています。生命保険会社・商品や加入の時期によって取扱いが異なる場合がありますので、詳細につきましては、必ず契約している生命保険会社に問い合わせてください。
保険金・給付金が受け取れない場合
保険金・給付金が受け取れない場合として「支払事由に該当しない場合」、「免責事由に該当した場合」、「告知義務違反による解除の場合」などが約款に定められています。
以下に代表的な事例を参考としてあげています。
生命保険会社によっては異なる場合もあるため、詳しくは契約している生命保険会社の「ご契約のしおり・(定款)・約款」を確認してください。
主な保険金
(1)死亡保険金
<被保険者が死亡した場合に受け取れる保険金>
事例A
- 受け取れる場合
- 契約前に「血圧が高いこと」について告知書で正しく告知して加入し、その1年後に「高血圧」を原因とする「脳卒中」で死亡した場合。
- 受け取れない場合
- 契約前の「慢性C型肝炎」での通院について、告知書で正しく告知せず加入し、その1年後に「慢性C型肝炎」を原因とする「肝がん」で死亡した場合。
「受け取れない場合」は告知義務違反により契約が解除された場合の事例です。
(2)災害死亡保険金
<被保険者が不慮の事故または所定の感染症により死亡した場合に受け取れる保険金>
〜「不慮の事故」とは急激かつ偶発的な外来の事故をいいます〜
事例B
- 受け取れる場合
- 運転中に信号無視の車に衝突され、死亡した場合。
- 受け取れない場合
- 被保険者が、危険であることを認識できる状況で高速道路を逆走して対向車と衝突し、死亡した場合。
「受け取れない場合」は免責事由(重大な過失)に該当する場合の事例です。
(3)高度障害保険金
<被保険者が所定の高度障害状態になった場合に受け取れる保険金>
事例C
- 受け取れる場合
- 契約後の事故による負傷で両眼の損傷が激しく、両眼球摘出手術を行う等回復の見込みがない場合。
- 受け取れない場合
- 契約後に網膜剥離で矯正視力が左右ともに0.02以下になったが、回復の見込みがあって治療を続けている場合。
「受け取れない場合」は所定の高度障害状態に該当しない場合の事例です。
(4)特定疾病保険金(三大疾病保険金)
<被保険者ががん(所定の悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病により所定の状態に該当した場合に受け取れる保険金>
事例D
- 受け取れる場合
- 契約後に「胃がん」の診断にて手術を受け、病理組織診断により、生まれて初めて所定の悪性新生物であると診断確定された場合。
- 受け取れない場合
- 契約後に「子宮頸がん」の診断を受け、病理組織診断により、上皮内がんと診断確定された場合。
「受け取れない場合」の上皮内がんは所定の悪性新生物に該当しないので、受取りの対象外です。
(5)リビング・ニーズ特約保険金
<被保険者が余命6カ月以内と診断されるときに死亡保険金の全部または一部を受け取れる保険金>
事例E
- 受け取れる場合
- リビング・ニーズ特約保険金の請求時に、日本で一般に認められた医療による治療を行っても、余命6カ月以内と判断されている場合。
- 受け取れない場合
- 3年前に脳梗塞で医師から余命6カ月以内と判断されたが、その後回復し、請求する時点では余命6カ月以内と判断されていない場合。
「受け取れない場合」は請求時に被保険者が余命6カ月以内と判断されていないので、受取りの対象外です。
(6)疾病障害保険金
<被保険者が疾病により所定の身体障害の状態になった場合に受け取れる保険金>
事例F
- 受け取れる場合
- 契約後に発症した糖尿病性腎症から「慢性腎不全」が進行し、腎臓の機能を全く永久に失った状態となり、人工透析治療を受けた場合。
- 受け取れない場合
- 「糖尿病」と診断され、血糖値上昇を抑制するためにインスリン治療を受けたが、合併症を原因とする所定の障害状態にない場合。
「受け取れない場合」は所定の身体障害の状態に該当しない場合の事例です。
主な給付金
(1)疾病・災害入院給付金
<被保険者が病気やケガにより入院した場合に受け取れる給付金>
事例G
- 受け取れる場合
- 契約後に発症した「椎間板ヘルニア」で入院した場合。
- 受け取れない場合
- 契約前に発症した「椎間板ヘルニア」で入院した場合。
「受け取れない場合」は契約前の発症による入院であり、所定の入院に該当しない場合の事例ですが、契約内容によっては受け取れる場合があります。
事例H
- 受け取れる場合
- 医師による治療が必要であり、自宅等での治療が困難なため入院した場合。
- 受け取れない場合
- 定期的な健康診断目的で人間ドックを受けるためだけに入院した場合。
「受け取れない場合」は治療を目的としない入院であり、所定の入院に該当しない場合の事例です。
(2)手術給付金
<被保険者が病気やケガにより所定の手術をした場合に受け取れる給付金>
事例I
- 受け取れる場合
- 「急性虫垂炎」のため、虫垂を切除する手術(虫垂切除術)を受けた場合。
- 受け取れない場合
- 骨折の治療の後、骨折した部位を固定するためのボルトを抜く手術(抜釘術)を受けた場合。
「受け取れない場合」は所定の手術に該当しない場合の事例ですが、契約内容によっては受け取れる場合もあります。
(3)通院給付金
<被保険者が病気やケガで入院給付金の支払事由に該当する入院をし、退院後その治療を目的として通院した場合に受け取れる給付金>
〜入院前の通院も対象とする生命保険会社もあります〜
事例J
- 受け取れる場合
- 骨折の治療のため12日間入院の後退院。その後骨折の継続治療で同じ病院に3日間通院した場合。
- 受け取れない場合
- 骨折の治療のため12日間入院の後退院。その直後インフルエンザを発症し、インフルエンザの治療で同じ病院に3日間通院した場合。
「受け取れない場合」は入院した原因の治療を目的とする通院でないため、受取りの対象外です。
(4)特定損傷給付金
<被保険者が不慮の事故により骨折・関節脱臼・腱の断裂などに対する治療を受けた場合に受け取れる給付金>
事例K
- 受け取れる場合
- 自転車で走行中に転倒し、右腕を骨折した場合。
- 受け取れない場合
- 骨粗しょう症で加療中に、立ち上がろうとして片手に体重をかけてしまったところ右腕を骨折した場合。
「受け取れない場合」は疾病を原因とする骨折と考えられる場合の事例です。
(5)障害給付金
<被保険者が不慮の事故により所定の身体障害の状態になった場合に受け取れる給付金>
事例L
- 受け取れる場合
- 交通事故によるケガが原因で事故の日から180日以内に片耳が全く聴こえなくなり、その回復の見込みがない場合。
- 受け取れない場合
- 大腿骨を骨折し、病院で治療を行い、完治した場合。
「受け取れない場合」は所定の身体障害の状態に該当しない場合の事例です。
支払事由に該当しない場合
保険金・給付金が受け取れるのは、約款所定の支払事由に該当した場合です。支払事由に該当しない場合には保険金・給付金は受け取れません。これには、以下のような場合があります。
〔1〕支払事由の原因が責任開始前に生じている場合
高度障害保険金や入院給付金など(死亡保険金は除きます)について、保障の責任開始前に生じた病気や事故を原因とする場合は、保険金・給付金を受け取れないことが一般的です。
〔2〕入院・手術が支払事由に該当しない場合
入院した日数が約款所定の日数に満たない場合、約款所定の支払日数の限度まで既に入院給付金を受取っている場合、入院先が約款所定の医療機関でない場合、治療を目的としない入院の場合などは、入院給付金が受け取れません。
「手術」が約款所定の「支払対象となる手術の種類」に該当しない場合は、手術給付金は受け取れません。
免責事由に該当した場合
約款所定の「免責事由」(お支払いできない事由)に該当した場合、保険金・給付金は受取れません。これには、以下のような場合があります。
死亡保険金の免責事由の例
- 契約した保険の責任開始日から一定期間内(1〜3年)に被保険者が自殺したとき
- 契約者または死亡保険金(給付金)の受取人の故意によって被保険者が死亡したとき
災害保険金・入院給付金の免責事由の例
- 契約者、被保険者または災害保険金受取人の故意または重大な過失により被保険者が死亡、入院したとき
- 被保険者の犯罪行為によるとき
- 被保険者の精神障害の状態を原因とする事故によるとき
- 被保険者の泥酔の状態を原因とする事故によるとき
- 被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転している間に生じた事故によるとき
- 被保険者が法令に定める酒気帯び運転またはこれに相当する運転をしている間に生じた事故によるとき
告知義務違反による解除の場合
現在の健康状態、過去の傷病歴、職業などについて事実を告げなかったり、偽りの告知をしたなどの「告知義務違反」があった場合は、営業職員などから告知を妨げられたり、告知をしないことを勧められたときなどを除き、告知義務違反により契約・特約が解除となり、保険金・給付金が受け取れないことがあります。
生命保険は、多数の人々が保険料を出し合って、相互に保障しあう制度です。はじめから健康状態の良くない人や危険度の高い職業に従事している人などが無条件に契約すると、保険料負担の公平性が保たれなくなります。したがって、新規の契約時や失効した契約の復活時に、契約者または被保険者は、過去の傷病歴(傷病名・治療期間等)、現在の健康状態、職業などについて告知書や生命保険会社の指定した医師の質問に事実をありのままに告げる必要があります。
- 告知義務違反があった場合、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば、生命保険会社は契約を解除することができます。 ただし、責任開始日から2年を経過していても、支払事由が2年以内に発生していた場合には、契約が解除されることがあります。
- 生命保険会社指定の医師以外の職員(営業職員、生命保険面接士など)は告知を受ける権限(告知受領権)を持っていないため、健康状態、傷病歴等について口頭で伝えても告知したことにならないので注意が必要です。告知についての専用フリーダイヤルや告知サポート資料を準備している生命保険会社もありますので確認しましょう。
重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効の場合
「保険金や給付金などをだましとる目的で事故を起こした」などの重大事由で契約が解除となった場合、また、契約の加入や復活に際して詐欺行為や保険金を不法に取得する目的の行為があり契約が取消・無効となった場合には、保険金・給付金は受け取ることができません。