VOL.203 MAY 2025
[SPRING SPECIAL ISSUE] VARIOUS VARIETIES OF CHERRY BLOSSOMS IN JAPAN (PART 2): ADMIRING THE CHERRY BLOSSOMS AT CASTLES IN JAPAN
[日本刀の美]牡丹造梅花皮鮫鞘腰刀拵
重要文化財「牡丹造梅花皮鮫鞘腰刀拵」(寸法:総長 55cm)
Photo: ColBase
腰刀は、直接腰にさす短めの刀で、長さが、およそ35センチメートルから55センチメートルほどである。多くは鐔がない。この腰刀は14世紀の制作で、華麗な拵(日本刀の外装)だ。当時は「武器・武具の装飾性がひじょうに高まった時代」1であり、「本品は、そのようなかざりを誇示した貴重な腰刀である」2とされ、現在、京都国立博物館が所蔵している。
刀を握る部分である柄は、枝牡丹3を透彫り4にした金銅5筒金がはめられている。刀身を収める筒の鞘には、梅花皮6を着せて(貼り付けて)、更に上から黒漆を塗ってから研ぎ出して梅花文様を浮かび上がらせている。
- 1, 2. e国宝より引用。
- 3. 枝牡丹…牡丹の花の咲いている枝。工芸品の文様や家紋のデザインに使用された。
- 4. 透彫り…金属などをくりぬいて彫り、模様をあらわすこと。またその様式で彫ったもの。
- 5. 金銅…銅または青銅に金めっきを施したり、金箔を押したりしたもの。
- 6. 梅花皮…エイの一種の梅花皮鮫の皮革。背面に梅花形の硬い突起物があり、この模様が梅の花に似ているとして、この名がつき、装飾用として珍重された。