VOL.202 APRIL 2025
ENJOYING JAPANESE SAKE, NIHONSHU
[日本刀の美]太刀 銘則国
国宝「太刀 銘則国」(寸法:刃長 74.7cm)
Photo: ColBase
この太刀は、粟田口派1の名刀工、則国の作。「「則国」有銘のきわめて数少ない作例で」2、13世紀の制作とされる。現在、京都国立博物館が所蔵している。
「細身で鋒が小さく、(中略)地肌の部分に眼を凝らすと、目のよくつまった小板目模様が白く見え、地鉄を折り返す鍛錬が非常にていねいに行われたことをうかがわせる。(中略)京都刀ならではの趣を濃厚に漂わせている。」3
- 1. 粟田口派…12世紀後半頃から、京都の東山の粟田口付近で作刀した刀工一門の総称。
- 2, 3. e国宝より引用。
≪引用箇所の用語について≫
- 鋒…刀の先端。
- 小板目模様…地鉄に表れる模様の一種。木の年輪が流れたようにみえる板材に例えた模様。板目の細かいものを「小板目肌」、板目の大きなものを「大板目肌」と言う。
- 地鉄…日本刀は、粘りと強度を引き出すために、原料となる鋼を折り返しながら叩くが、これを折り返し鍛錬と言う。折返し鍛錬の結果、日本刀は刀身の表面に模様が現われる。この鉄の肌模様を地肌と称し、その素地を地鉄と言う。
Photo: ColBase