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命にかかわる「火山災害」噴火警戒レベルを理解し、防災情報をチェックしましょう

[画像:大きな噴石、火山ガス、溶岩流、火砕流、火山泥流・土石流、小さな噴石・火山灰、融雪型火山泥流の様々な火山災害のイラスト。]

POINT

日本は世界有数の「火山大国」と言われています。火山の活動は、温泉や地熱発電などのエネルギーの恵みや、雄大な山の景観をもたらす一方で、火山が噴火すると生活に様々な影響が出るだけでなく、命に危険を及ぼすこともあります。気象庁では24時間体制で火山活動を監視しており、命に危険を及ぼす火山現象が予想されるときなどに報道機関・自治体などを通じて、住民の皆さんにお知らせしています。お知らせの範囲や発表された場合の対応など、詳しくご紹介します。

1火山災害とは

日本の火山

日本全国には、過去約1万年以内に噴火した火山や現在活発な噴気活動のある火山である「活火山」が全国に111存在しています。(令和7年(2025年)8月現在)
そのうち、火山防災対策の充実を図るため、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ、活動火山対策のために観測、測量、調査及び研究の充実等が必要な火山として、北海道の大雪山や十勝岳、本州では蔵王山、富士山、箱根山、御嶽山、九州の霧島山(新燃岳含む)、桜島などよく知られている活火山を始め、現在50の火山が常時観測火山となっています。常時観測火山は気象庁が24時間体制で「常時観測・監視」をしています。

図:日本の活火山分布(令和7年(2025年)8月時点)

[画像:日本にある111の活火山と50の常時観測火山の場所を示した地図。]
(資料:気象庁「火山監視・警報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山(常時観測火山)」から政府広報室作成)

火山災害の種類

災害をもたらす火山現象には、直ちに命を奪う危険がある「大きな噴石」、「火砕流」、「融雪型火山泥流」のほかにも「溶岩流」、「火山ガス」、「火山灰」など様々なものがあります。過去の火山災害も交えて紹介します。

主な火山災害

大きな噴石

噴火によって火口から飛び出すおおむね20cmから30cm以上の岩石。避難するまでの時間的余裕がないことが多く、登山者等の命に関わる災害になる。

【平成26年(2014年) 御嶽山の噴火】
平成26年(2014年)9月27日に山頂で噴火。大きな噴石が火口から約1kmの範囲に飛散し、火砕流や噴煙も発生。噴石等で死者・行方不明者合わせて63人の被害が出た。

[画像:御嶽剣ヶ峰山荘の屋根に突き刺さった噴石の写真(直径約70cm)]

御嶽剣ヶ峰山荘の屋根に突き刺さった噴石(直径約70cm)(平成26年(2014年)11月)
(写真提供:及川輝樹)

火砕流

高温の火山灰や岩石と、火山ガスなどが一体となって、山の斜面を流れる現象。速度は時速百km以上、温度は数百°Cに達することもあり、破壊力が大きくて極めて危険。

【平成2年(1990年)から平成7年(1995年) 雲仙岳(普賢岳)の噴火】
平成2年(1990年)11月に噴火し、噴火活動は4年3か月続いた。平成3年(1991年)6月3日に発生した大火砕流では警戒中の消防団員や警察官、取材中の報道関係者ら死者・行方不明者43人の被害が出た。

[画像:雲仙岳の火砕流の写真]

雲仙岳の火砕流(平成6年(1994年)6月24日)
(写真提供:気象庁)

融雪型火山泥流

積雪期の火山噴火で、火砕流などの熱によって斜面の雪や氷河が溶かされて大量の水が発生し、周辺の土砂や岩石を巻き込みながら高速で流れ下る現象。速度は時速数十kmに達することもあり、大正15年の十勝岳の噴火では2つの村(上富良野・美瑛)が埋没。

【大正15年(1926年)から昭和3年(1928年) 十勝岳の噴火】
大正15年(1926年)5月、大爆発により、大規模な融雪型火山泥流が発生。43人(不明を含む)の犠牲者が出た。泥流は25kmの距離を25分で流れたといわれている。

[画像:十勝岳の融雪型火山泥流に飲み込まれた地域の写真]

十勝岳の融雪型火山泥流(大正15年(1926年)5月24日)
(写真提供:北海道上富良野町教育委員会)

溶岩流 マグマが火口から噴出して地表を流れ下る現象。流れる速度は比較的遅いものの高温のため、流れる経路にある建物や道路、農耕地、集落などを広範囲に焼失させる。比較的ゆっくり流れるので歩行による避難が可能な場合もある。

[画像:伊豆大島噴火の溶岩流の写真]

伊豆大島噴火の溶岩流(昭和61年(1986年)11月19日)
(写真提供:気象庁)

小さな噴石・火山灰 噴石のうち直径2mm以上のものを「小さな噴石(火山れき)」、直径2mm未満のものを「火山灰」という。風によって遠方まで拡散するため、建物、農作物の被害や航空機など交通機関に影響を与える。

[画像:三宅島の降灰の写真]

三宅島の降灰(平成12年(2000年)7月16日)
(写真提供:気象庁)

火山ガス 火山活動により地表に噴出するガスのこと。水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などの成分が気体となって放出される。成分や濃度によっては人体に悪影響を及ぼす。

[画像:三宅島の火山ガスを大量に含む噴煙の写真]

三宅島の火山ガスを大量に含む噴煙(平成13年(2001年)1月)
(写真提供:気象庁)

火山泥流・土石流 火山噴出物と水が混合して地表を流れる現象を「火山泥流」と言い、火砕物が沢に入る、火口から熱された水があふれ出す、降雨により火山噴出物が押し流されることなどが原因となって発生します。また、水と土砂が混合して流れ落ちる現象を「土石流」と言う。どちらも流れる速度は時速数十kmに達することがあり、川の下流まで大きな被害をもたらす。

[画像:島原市の土石流被害を受けた家屋の写真]

土石流被害を受けた家屋(平成4年(1992年)8月)
(写真提供:島原市)

2火山に関する防災情報

噴火や降灰などの発生予想と危険な範囲の情報発表

気象庁では、噴火災害軽減のため自治体や報道機関を通じて住民や登山者等に向けて火山に関する防災情報をお知らせしています。
火山防災情報として、「噴火警報・予報」、「噴火速報」、「降灰予報」などを発表しており、近隣の住民のみならず、登山者や旅行者のかたにも広く知っていただく必要があります。

噴火警報は、全国111の活火山を対象として、噴火に伴い、生命に危険を及ぼす火山現象(大きな噴石、火砕流等の避難までの時間的猶予がほとんどない現象)の発生が予想される場合や、その危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合などに、「噴火警報(居住地域)」や「噴火警報(火口周辺)」という名称で、「警戒が必要な範囲」とともに発表されます。噴火警戒レベルを運用している49の火山では、噴火警戒レベルを付して発表されます。特に、「噴火警報(居住地域)」は気象庁が運用する警報の種別において、最大級の警戒を呼び掛けるものとして特別警報に位置づけられています。

[画像:主な火山防災情報の種類を説明した表。「噴火警報」は、噴火に伴って生命に危険を及ぼす火山現象の発生や、危険が及ぶ範囲の拡大が予想される場合に発表。49の火山においては「噴火警戒レベル」を付して発表。「噴火速報」は、登山者や周辺の住民に対し、噴火の発生をいち早く伝達し、身を守る行動を取ってもらうために発表。「火山の状況に関する解説情報(臨時)」は、噴火警戒レベルの引上げ基準には達していないが、火山活動の水位によっては引上げの可能性がある場合に発表。「噴火予報」は、噴火警報を解除する場合、あるいは火山活動の状況が噴火警報には及ばない程度と予想される場合に発表。「降灰予報」は、火山灰(降灰)の量や範囲を予想して「定時」「速報」「詳細」の3種類の情報に分けて発表。]

[画像:噴火と情報発表のイメージのイラスト。地下のマグマ上昇等により、噴火の可能性が高まっているという火山活動状況を一例に、時系列で情報発表を示している。]
(資料:気象庁「リーフレット「火山 -監視と防災情報-」」から政府広報室作成)

噴火警戒レベル

「噴火警戒レベル」は、火山活動の状況に応じてどの範囲まで危険か、何をしたらよいか(とるべき防災対応)を5段階に区分して噴火警報とともに発表しています。常時観測火山である50火山のうち、49火山(令和7年(2025年)8月現在)で噴火警戒レベルが運用されています。

[画像:噴火警戒レベルに応じた段階的な警戒が必要な範囲を示したイラスト]

(資料:気象庁「噴火警戒レベル」から政府広報室作成)

[画像:噴火警戒レベルによって住民がとるべき行動を説明した表。「レベル5」は「避難」。危険な居住地域からの避難等が必要。「レベル4」は「高齢者等避難」警戒が必要な居住地域での高齢者等の要配慮者の避難、住民の避難準備等が必要。「レベル3」は「入山規制」。登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制等。住民は通常の生活。「レベル2」は「火口周辺規制」登山者・入山者は火口周辺への立入規制等。住民は通常の生活。「レベル1」は「活火山であることに留意」登山者・入山者は状況に応じて火口内への立入規制等。住民は通常の生活。](資料:気象庁「噴火警戒レベル」から政府広報室作成)

どうやって監視している?

気象庁では、本庁(東京)に設置された「火山監視・警報センター」のほか、札幌・仙台・福岡の各管区気象台に設置された「地域火山監視・警報センター」で、活火山の火山活動を監視しています。111の活火山のうち、50火山については、噴火の前兆を捉えて噴火警報等を適確に発表するために、地震計、傾斜計、空振計、監視カメラ等の火山観測施設を整備し24時間体制で常時観測・監視しています。日本初の火山観測所は、明治44年(1911年)8月26日に浅間山に設置されました。これにちなみ、「火山防災の日」が作られました。

[画像:24時間体制で火山を監視する気象庁の写真]
(写真提供:気象庁)

3火山災害から命を守るために

火山災害から命を守るためには、まずお住まいの地域に火山があるかについて、「火山防災マップ」(火山ハザードマップ)という各市町村で作られている地図を見ておくことが重要です。火山の近くに住んでいるかたは、ふだんから噴火警戒レベルが発表された場合に備えて危険な場所を確認し、あらかじめ避難場所を調べておきましょう。また、気象庁が発表する噴火警報などに注意しましょう。
登山を予定している場合は、「火山登山者向けの情報提供ページ(全国)」を確認し、火山情報や規制範囲を考慮して登山計画を立てましょう。
噴火警報などは、パソコンやスマートフォンから、気象庁ウェブサイトの「噴火警報・噴火速報」で確認できます。また、噴火警報や噴火速報が発表された場合に自動で通知するサービス(プッシュ型通知)が民間の事業者から提供されているほか、テレビ、ラジオなどでも発表されます。
今の火山の情報を見たいときには、気象庁ウェブサイトの「火山に関する情報の発表状況」があります。

[画像:テレビで「噴火警報レベルが上がりました」という火山情報を確認する家族のイラスト。]

[画像:「火山情報や規制範囲に気をつけた登山計画を」との情報を受け、噴火情報を参考にした登山計画書を持って登山に向かう男性のイラスト。]

コラム: 火山防災教育プログラム

気象庁や各地の気象台は、小中学校など学校現場での火山防災に関する教育に役立つ教材を提供しています。
宇都宮地方気象台では、小学校高学年などを対象にした「火山防災学習プログラム」を提供しています。火山に関する正しい知識を習得し、火山噴火を認知した際の適切な判断、迅速な対応行動を、3ステップで実践することにより、火山災害への対応能力を向上させることを目的にした学習プログラムです。

気象庁「防災教育に使える副教材・副読本ポータル

まとめ

火山は時として大きな災害を引き起こします。噴火した際にどのような現象が起きるのかを知り、気象庁の発表する噴火警報などの情報や噴火警戒レベルに注意しておくことが重要です。何も起きていない平時から火山防災マップを確認したり、噴火警報・噴火速報のプッシュ型通知サービスを登録したりしておくなど、いざという時のために準備しておきましょう。

(取材協力:気象庁 文責:内閣府政府広報室)

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