お金の勉強をしませんか?社会人として知っておきたいお金の話
POINT
「家計の管理を勉強したい」、「将来のために今から貯蓄したい」と思ったことはありませんか。一方で、毎月の生活費がギリギリ、リボ払いなどによるクレジットの返済が終わらないといった悩みを抱えている人もいるかもしれません。今回は、10代から20代の若手社会人が「社会人として知っておきたいお金の話」についてご紹介します。経済的に自立する時期にお金について学び、お金に関する知識の向上により、今と未来の暮らしをより良くするためにお役立てください。
1将来について考えよう!収入・支出のバランスに注意!
将来どのような人生を送りたい?
皆さんは、将来どのような人生を送りたいかを考えたことがありますか。今は働くことで精一杯という人もいるかもしれませんが、何歳に結婚したい、家を買いたい、転職したいなど、なんとなく思い描いているライフイベントがあるのではないでしょうか。このように将来どのような人生を送りたいかについて構想を描くことを「生活設計(ライフプランニング)」といいます。
資料:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「職域(若手層)向け社会人として知っておきたいお金の話」から政府広報室作成
将来のことについて、なんとなく思い描いているという人は、それぞれのライフイベントごとにいくらの支出が発生するか、それは何歳のときか考えてみましょう。以下にライフイベントに必要な金額の例を記載しています。また、病気やケガといった想定外の支出があり得ることもイメージしておきましょう。将来のことをあまり考えていないという人も、以下の金額を参考に、将来のイメージを始めましょう。金融庁ウェブサイトにはライフプランシミュレーターも公開されていますので、こちらも活用してみましょう。第2章では、人生の3大支出について紹介しています。
ライフイベントに必要な金額の例
- 結婚(挙式・披露宴、新婚旅行など)…約300万から500万円
- 自動車(国産大衆車)…約150万円から400万円
- 教育費(幼稚園から大学まで)…約500万円から2,000万円
- 自宅購入(郊外での新築戸建て)…約2,000万円から5,000万円
- 老後の生活費…平均約24万円/月(夫婦世帯)
収入と支出を把握しよう!
ライフプランを明確にしたら、次は現在の家計について考えてみましょう。家計は収入と支出のバランスで成り立っています。今月は買い物をし過ぎたなど、支出が収入を上回ってしまった経験がある人もいるかもしれません。ただ、支出は収入の範囲内に収めることが重要です。収入と支出のバランスをとるために必要な4つのポイントを紹介します。
ポイント1 収入と支出を把握する
まず自身の収入がいくらか、給与明細を確認してみましょう。その際には、総支給額ではなく、社会保険料や税金などが差し引かれた手取り収入がいくらかを確認してください。
(例)
総支給額22万円-税金1万1,000円-社会保険料3万1,000円=17万8,000円(手取り収入)
[画像:給与から税金(所得税、住民税)と社会保険料(雇用保険、健康保険、厚生年金保険など)を引くと手取り収入となる]
次に毎月の支出を把握しましょう。支出には固定費と変動費があります。固定費は、家賃やスマホ代といった毎月発生する一定額の費用、変動費は食費や娯楽費といったその時々で変動する費用です。もし支出を把握できていないという人は、家計簿をつけることをおすすめします。最近では銀行口座やクレジットカードと連携した家計簿アプリなど便利なものもあります。また、家計簿は継続することが大切です。
- 固定費…住居費、水道光熱費、通信費、保険料、サブスクなど
- 変動費…食費、交通費、交際費など
ポイント2 支出に優先順位をつける
次に、ポイント1で把握した支出について、必要なもの・こと(Needs:ニーズ)か、欲しいもの・やりたいこと(Wants:ウォンツ)かに区別しましょう。ウォンツはあったらいいけど、なくても困らないものです。そのときにウォンツの中でもさらに優先順位をつけます。また、固定費(住居費・通信費、保険料など)は一度見直すと毎月安定して支出を削減することができます。例えば、格安スマホに切り替える、入っている保険やサブスクを見直すなど、削減できるものがないか検討してみましょう。
[画像:ニーズ(例:食事、電気代、住居)とウォンツ(例:旅行、高級時計、スイーツ)を考える人]
ポイント3 お金を貯める・増やす仕組み化
お金に余裕ができたときは、欲しかったものをつい買ってしまうなどしてしまい、案外お金を貯めるのは難しいものです。そのため、無理のない範囲で「給与天引き」や「口座引落とし」などの方法でお金を貯める仕組みを作ることが大切です。
ポイント4 お金を3つに整理する
お金を、1毎月の生活費などの「日常生活に必要なお金」、2車や住宅購入費などの「近い将来に使う予定のお金」、3老後資金や大きな病気などに備える「当面使う予定のないお金」の3つに分類し、それぞれ別枠で確保しておくことも重要です。また、当面使う予定のないお金は、「増やす」ことも考えましょう。例えば、株式や投資信託などの投資を活用することで、将来的な資産の増加が期待できます。
23大支出「住宅・教育・老後」とは?
人生には3大支出といわれる「住宅購入資金」、「教育資金」、「老後資金」があります。それらについてご紹介します。
[画像:3大支出「住宅購入資金」「教育資金」「老後資金」のイラスト]
1住宅購入資金
マイホームは、人生最大の買い物といわれており、立地によって差はあります。多くの人は住宅ローンを利用してマイホームを購入しますが、住宅ローンの仕組みを知り、自身に無理のない返済計画を立てることが大切です。昨今の住宅ローンには、物件価格と同額(100%)を融資してくれるものもありますが、頭金の準備ができない人が住宅ローンに頼り過ぎるのは危険です。
住宅金融支援機構ウェブサイトでは「住宅ローンシミュレーション」を公開していますので、こちらもご活用ください。
2教育資金
将来結婚し、こどもが生まれると教育費が必要になります。教育費は、こどもの成長とともにお金のかかる時期がはっきりとしているため、早めに貯め始めることがポイントです。日本政策金融公庫ウェブサイトでは必要な教育費の「シミュレーション」を公開しています。
もし、教育費の確保に悩んだときは、家計の教育費の負担を軽減し、こどもたちの進学・在学を応援する「国の教育ローン」もご検討ください。
政府広報オンライン「お子さんの進学・在学資金を支援!国の教育ローンをご利用ください」
3老後資金
誰にでも必要となるのが老後資金です。老後の生活費は夫婦世帯の場合、月に約24万円必要になるといわれています。将来どのくらい年金がもらえるのか、年金以外でいくら必要かを今から確認してイメージしておきましょう。日本年金機構「ねんきんネット」では、これまでの年金制度の加入記録や保険料の納付状況などのご自身の年金記録をいつでもインターネットで確認したり、将来の生活設計に合わせた年金見込額を試算したりできます。また、老後の生活に足りない分は今から貯蓄や私的年金制度(iDeCoなど)も活用しながら準備しておきましょう。
政府広報オンライン「「ねんきんネット」でいつでも最新の年金記録が確認できます!」
政府広報オンライン「iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説」
まとめ
皆さんの中にはお金について考えるのは、まだ先でいいと考えている人もいるかもしれません。ただ、お金の知識があるかないかで人生の選択肢も変わります。まずは、どういう将来を考えているか、そのためにはいくらお金が必要かなど、若手社会人のときから考えてみましょう。
(取材協力:金融庁、J-FLEC 文責:内閣府政府広報室)