特集 DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ーDVは子どもの心も壊すものー

ダブルリボンマーク
「W(ダブル)リボンマーク」は、大阪府吹田市が、DVと児童虐待が密接に関連していることをあらためて認識し、DV防止対策と児童虐待防止対策を一体として進めていかなければならないと考えのもと、女性に対するあらゆる暴力の根絶のシンボルであるパープルリボンと児童虐待防止のシンボルであるオレンジリボンを組み合わせて、独自で考案されました。Wリボンマークを使用するには、吹田市に申請が必要です。詳しくはこちら

DVが起きている家庭では、子どもに対する暴力が同時に行われている場合があります。

子ども自身が直接暴力を受けている場合は当然ですが、子どもの見ている前で夫婦間で暴力を振るうこと(面前DV)は子どもへの心理的虐待にあたります。

また、DV被害を受けている人は、加害者に対する恐怖心などから、子どもに対する暴力を制止することができなくなる場合があります。

DVや児童虐待によって、家族間の信頼関係が崩れていくこともあるのです。

「ドメスティック・バイオレンス」とは英語の「domestic violence」をカタカナで表記したものです。略して「DV」と呼ばれることもあります。

「ドメスティック・バイオレンス」の用語については、明確な定義はありませんが、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです。

身体的暴力 •平手でうつ •げんこつでなぐる •足でける •髪をひっぱる •首をしめる •物をなげつける •腕を強く掴む •強くゆする
精神的暴力 •大声でどなる •何を言っても無視して口をきかない •人の前でバカにしたり、命令するような口調でものを言ったりする •子どもに危害を加えると言っておどす •実家や友人とつきあうのを制限する
性的暴力 •無理矢理アダルトビデオ等を見せる •性行為を強要する •避妊に協力しない
経済的暴力 •生活費を渡さない •勝手に借金を作り、返済を強制する

関連リンク:DVとは(内閣府男女共同参画局)

児童虐待とは、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、殴る、蹴るなどの身体的虐待や、性的虐待だけでなく、心理的虐待ネグレクトも含まれます。

身体的虐待 •殴る •蹴る •叩く •投げ落とす •激しく揺さぶる •やけどを負わせる •溺れさせる など
性的虐待 •子どもへの性的行為 •性的行為を見せる •ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト •家に閉じ込める •食事を与えない •ひどく不潔にする •自動車の中に放置する •病気になっても病院に連れて行かない •子どもに関心を持たず、育児を放棄する など
心理的虐待 •言葉による脅しや無視 •きょうだい間での差別的扱い •子どもの前で家族に対して暴力をふるう(DV)など

関連リンク:児童虐待の定義(こども家庭庁)

DVと児童虐待が同時に行われている事例には次のようなものがあります。
(注記)ここでは、夫/父から妻/母へDVが行われている事例を示していますが、妻/母から夫/父へ、または同性のパートナー間でDVが行われていることもあります。

(1)子がDV加害者から直接暴力を受ける事例

【夫/父】DV→【妻/母】【夫/父】虐待(身体的、性的)→【子】 【妻/母】「「やめて」と言ったら子どもも私ももっとひどくやられてしまう・・・」

DV被害を受けている人は、加害者に対する恐怖心から判断力や感情がまひしてしまい、子どもに対する暴力を制止できなくなる場合があります。

(2)子の前でDVが行われる事例(面前DV)

【夫/父】DV→【妻/母】【妻/母】「私ががまんすれば子どもは大丈夫...」 【子】「ママがパパにいじめられるのは私のせいなのかな」

子どもの前でDVが行われること(面前DV)は、子どもへの心理的虐待にあたります。

(3)子がDV被害者から虐待を受ける事例

【夫/父】DV→【妻/母】【妻/母】虐待→【子】 【夫/父】「俺の言うとおりにしろ」 【妻/母】「夫に従わなければならない」

継続してDV被害を受けていると、感情がなくなり、加害者から言われるままに、子どもを虐待してしまうこともあります。

(4)子が加害者とDV被害者双方から虐待を受ける事例

【夫/父】DV→【妻/母】 【夫/父】「俺の言うとおりにしろ」 【妻/母】「夫に従わなければならない」 虐待→【子】

DV被害を受けていると、加害者に対する恐怖心から逆らうことができなくなり、一緒になって子どもを虐待してしまうこともあります。

(5)加害者がDV被害者と子どもの関係を壊す事例

【夫/父】DV→【妻/母】 【夫/父】「彼女はダメな母親だ」【子】「お母さんはダメなんだから言うことをきかなくていいんだ」

加害者が被害者の悪口を子どもに言い続けることで、子どもが被害者を軽んじるようになり、被害者と子どもとの関係が壊れてしまうこともあります。

(注記)事例は、春原由紀「子ども虐待としてのDV」(星和書店)を参考に作成

DVは、子どもの成長にとって大切な安全・安心を根底から壊してしまいます。
そして、子どものこころやからだに様々な影響を与えるといわれています。

・空想の世界への逃避・激しい怒り ・常に緊張を強いられ、安全感や安心感が育たない・他者を信頼できない ・楽しいときがいつ崩れるか分からない不安で楽しめない ・自分がDVの原因だと思う罪悪感やDVを止められない無力感を感じる・自己評価が低くなる ・強者が弱者を支配するのが自然、「弱いこと」が悪い、と考えるようになる ・暴力で問題解決しようとする

[画像:内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office]〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019

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