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エーザイ株式会社

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人権の尊重

方針・基本的な考え方

人権の尊重は、ビジネス活動における最も重要で基本的な要件の一つであり、企業の責務であると認識しています。当社の企業理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)を実現するためのビジネス活動の社内規範として定めた「エーザイネットワーク(ENW)企業行動憲章」には、いかなる国や地域において事業を展開する場合にも人権を尊重することが明示されています。

当社は、ENW企業行動憲章*に則り、人権尊重を基盤とする事業活動を推進するために、「エーザイネットワーク(ENW)人権方針」を定めています。本方針の運用責任はチーフHRオフィサーが担います。

*人権に関する国際規範
・「国際人権章典」(世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済、社会的及び文化的権利に関する国際規約)
・「労働における基本原則及び権利に関する宣言」(国際労働機関)
・「ビジネスと人権に関する指導原則」(国連人権理事会)
・「OECD多国籍企業行動指針」

ENW人権方針

ENW人権方針は、業務執行の最高意思決定機関である執行役会(現Growth & Operating Committee:GOC)の承認と取締役会の了承を得て、2019年3月に初版が発行されました。その後、hhc理念の主役を「患者様と生活者の皆様」と捉え直した2022年6月の定款の一部変更と人権尊重の取り組みの進捗を反映し、「ビジネスと人権」プロジェクト*ステアリングコミッティにおける審議、並びにGOCと取締役会への報告を経て、2025年7月に改訂されました。

本方針においては、国際的に認知された人権を尊重し、国連グローバル・コンパクトに署名する企業として10原則を支持し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した取り組みを実施していくことを表明しています。また、サプライヤーを含むすべてのビジネス・パートナーに対し、人権尊重にお取り組みいただくことへの期待を示しています。
エーザイネットワーク(ENW)人権方針

* 「ビジネスと人権」プロジェクトについては後述の「体制・システム」をご参照ください。

体制・システム

国際社会が求める人権方針に基づく人権尊重の活動実施や、人権デュ―・ デリジェンス実施を目的に、2018年に組織横断型の「ビジネスと人権」プロジェクトを設置しました。本プロジェクトは、チーフHRオフィサーを議長とし、生産・品質・技術担当執行役、チーフコンプライアンスオフィサーを運営委員とする「ビジネスと人権」プロジェクト ステアリングコミッティにより運営されています。本ステアリングコミッティは、原則年2回開催されます。事務局としてGHR戦略推進部、サステナビリティ部、コンプライアンス推進部、総務株式部、EDCSサプライチェーンマネジメントユニットの担当者が活動をリードしています。

当社には、1980年に「人権啓発推進委員会」が設置されており、エーザイ株式会社および国内ネットワーク企業において、人権課題に対する啓発活動に取り組んできました。「ビジネスと人権」プロジェクトと「人権啓発推進委員会」は、連携して人権尊重への取り組みを推進しています。

* 人権デュ―・デリジェンス:企業が、自社およびチェーン上で人権に負の影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、回避・軽減するための施策を行い、実施状況をモニタリングして結果を開示する一連の行為。

人権デュ―・デリジェンス

人権方針に則り、当社の事業に関連する主要なライツホルダーである「患者様と生活者の皆様(臨床試験参加者を含む)」、「従業員」および「お取引先(サプライヤーを含むお取引先)」を対象として人権デュー・デリジェンスを実施しています。

負の影響(人権侵害リスク)の特定・評価

当社では、2018年度と2024年度に主要なライツホルダーに対する定期的な人権影響評価を実施しました。
2018年度には、医薬品業界における人権問題の発生事例をデスクトップ調査し、人権問題の発生可能性と影響度を分析しました。重要な人権課題について関連部署へのヒアリングに基づく評価を行い、当社の事業活動に関係する重要な人権課題として、「医薬品へのアクセス」、「患者様の人権」、「臨床試験参加者の人権」、「製品の安全性と品質」、「倫理的マーケティング」、「従業員の健康と安全」、「職場環境」、「サプライヤーを含むお取引先における人権」、「環境に与える影響*」の9領域を特定しました。9領域のうち「サプライヤーを含むお取引先における人権」を優先して取り組むべき領域として特定しました。
2024年度には、当社の人権尊重活動において優先的に取り組む国や業種を特定するために、販社、工場、研究所、お取引先155社に対して人権デュ―・デリジェンスマネジメントやステークホルダー(労働者、患者様、生活者、臨床試験参加者など)の人権課題への対応状況に関するYes/No形式のアンケートを実施しました。その結果、147社から回答を受領し(回収率約95%)、分析の結果、回答企業の約1割において「苦情処理メカニズム」「労働安全衛生」「医薬品の安定供給」などに対する更なるリスク低減策が期待されることが分かりました。特にアジア地域の一部における流通・卸、工場のサービスを委託するお取先については、対応にあたる従業員等への人権研修やお取引先向けの研修を実施する等、優先的な対応を進めています。
* 温室効果ガスによる地球温暖化は生活者に負の影響を与え、取引先の環境汚染は地域住民の健康被害を及ぼすことから重要な人権課題の一つに特定された。

負の影響の防止・軽減

2019年度よりサプライチェーン上の潜在的人権リスクの防止・軽減を優先的課題として、サプライチェーンにおける責任あるマネジメントシステムの構築、取引先とのエンゲージメントに取り組んでいます。詳細は、後述の「サプライチェーンにおける人権リスクの防止・軽減」をご参照ください。

自社内においては、継続的な人権尊重の方針の周知徹底、啓発活動を実施しています。

また、主要なライツホルダーの重要人権課題には、次のような活動により継続的な人権への負の影響の防止・軽減に努めています。

患者様と生活者の皆様の人権

当社は、開発途上国・新興国における「医薬品アクセス」改善を取り組むべき重要な人権課題と認識し、政府や国際機関、非営利民間団体等とのパートナーシップのもと、積極的に課題に対する取り組みを推進しています。詳しくは「医薬品アクセス向上への取り組み」を参照してください。

臨床試験参加者の人権

新薬の安全性と効果を見極め、優れた新薬を世界にお届するために臨床試験は欠かせないプロセスです。そうした臨床試験にご参加頂く方々の人権を尊重し、安全に最大の配慮を行うことは、製薬企業の責務と考えています。そのため、臨床試験の安全性に関する想定可能なあらゆる潜在的なリスクを特定し、対策を事前に用意するデュー・デリジェンスを行っています。当社は、ICH(医薬品規制調和国際会議)や各国の規制当局のガイドラインに基づいた、コンプライアンスと倫理性の確保を厳守しています。また、すべての臨床試験でICH-GCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験実施基準)や薬事法等の規制の遵守と高い倫理観を持って活動を行うことを行動指針として定めています。特に、最初の臨床試験を実施するに当たっては、事前に、新薬の開発プロジェクトとは独立して、治験実施計画、治験実施体制、治験薬の品質やリスクへの対応などを、倫理的、科学的な観点から評価する体制を構築し、試験実施を判断しています。
さらに、治療選択肢を包括的かつ公平に提供するために、臨 床試験における多様性の取り組みを中核的なコミットメントのひとつに位置づけ、民族・人種・性別・年齢・社会経済状況・性同一性・居住地・身体能力に関わらず、全ての患者様の臨床試験へのアクセス拡大に努めています。

従業員の人権

当社は、従業員が健康でやりがいを感じながら仕事するためには、人権と多様性が尊重された働きやすい環境を整備していくことが重要であると認識しています。そのため、人種、性別、障害、年齢、性的指向や性自認などに関するあらゆる差別の禁止、ハラスメントの防止、女性の活躍推進、ディーセント・ワークのための労働環境や制度の整備に取り組んでいます。詳細は、「従業員とのかかわり」に掲載するDE&Iの推進(ダイバーシティ, エクイティ & インクルージョン)、働きやすい環境、健康経営、労働安全衛生の各項目をご参照下さい。
また、当社は、「結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持すべき」との原則を掲げる国連グローバル・コンパクトに署名しています。さらに、エーザイ株式会社を対象にエーザイ労働組合が組織されており、2025年3月末時点の組合員数は1,743名となっています。エーザイ株式会社とエーザイ労働組合は継続的な労使協議を重ね、労使間の様々な課題解決に連携して取り組んでいます。

お取引先の人権

お取引先に遵守して頂きたいサステナビリティ事項をまとめた「ビジネス・パートナーのための行動指針」を作成し、強制労働の禁止、児童労働の禁止、差別の禁止、公正な処遇、賃金・手当・労働時間、結社の自由及び健康と安全の整備などの人権・労働に関する遵守をお願いしております。詳細は、後述の「サプライチェーンにおける人権リスクの防止・軽減」をご参照ください。

2024年度の主要なライツホルダーの人権課題への取り組み事例

(注記)左右にスクロールできます

ライツホルダー重点課題対応
患者様と生活者の皆様 医薬品アクセス改善*1
  • ・WHO(国際保健機関)が主導する、リンパ系フィラリア症(LF)制圧*2のためのグローバルプログラムへの参画、LF治療薬の無償提供による低所得国・地域の人々の治療・感染予防への医薬品アクセス向上
  • ・LF治療薬DEC錠の供与(2025年6月時点で32 カ国25.3億錠の累計供与、8カ国でLF制圧を達成)

・顧みられない熱帯病(マイセトーマ等)、マラリア等、貧困地域で蔓延する感染症への新規治療薬の研究開発推進

従業員 差別やハラスメントの防止

・様々な差別・ハラスメント防止をテーマにしたコンプライアンス研修、e-learning等の実施

・アンコンシャスバイアスについてのセミナーの実施や、組織長に向けた研修の実施

ディーセント・ワーク推進

・エンゲージメントサーベイツール(Wevox)を活用した組織内対話促進や活動の可視化

・長時間労働の管理と是正

・時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の拡充

健康維持・増進活動の推進*3

より一層の啓発活動を通じたヘルスリテラシー向上と生き生きと自分らしく生きる「からだ」と「こころ」の健康施策推進

労使協議

労使協議の継続的開催(2024年度11回)

統合人事戦略を通じた価値創造

社員の価値観の多様化、多様な働き方、環境変化への対応を踏まえた人事諸施策および組織開発戦略の企画・推進

お取引先 サプライチェーンにおける人権尊重

・EcoVadisプラットフォーム*4を利用した取引先の人権・労働の評価および結果のフィードバックによるお取引先とのエンゲージメントの継続

・「ビジネス・パートナーのための行動指針」をPSCI (Pharmaceutical Supply Chain Initiative)原則の改訂版に準拠して改訂

サプライチェーンにおける人権リスクの防止・軽減

人権リスク(児童労働、強制労働、人身売買)への対応

サプライチェーンにおける児童労働、強制労働、人身売買については、国際的に容認できない人権侵害とされています。

リスクの高い原材料

医薬品原材料の購入を通じて間接的に人権への負の影響を与えている可能性を検証するため、サプライチェーンの最上流において人権リスクが懸念される購入原料に関して原産国の地理的ロケーションと事業の特性の観点からリスク評価を進めています。錠剤の艶出しに使用されるカルナウバワックスは、原産地における強制労働のリスクや労働環境の懸念が指摘されていることから、当社の購入する原料に関するトレーサビリティ調査を行った結果、ブラジルの原産地企業を特定でき、原材料が認証機関(Fair for life)の認証済であることを確認しました。

サプライチェーンの最上流において人権リスクが懸念される医薬品原材料に関しては、引き続きトレーサビリティ調査と人権に関する現地状況の確認を進めていきます。

外国人技能実習制度

日本の外国人技能実習制度は、賃金労働時間、セクシャルハラスメントなどの人権リスクが指摘され、米国国務省からは、強制労働に当たるとの指摘を受けています。日本における重要な人権課題の一つであると捉え、お取引先とのサステナビリティ評価のフィードバックの面談では、外国人技能実習生の雇用の有無の確認と雇用状況について報告を求めています。

お取引先の人権リスクへの対応

お取引に対しては、サステナブル調達のプログラムを実施することで、人権・労働などに関する潜在的な負の影響の防止に努めています。サステナブル調達では、主要なお取引先に対して、サプライヤー行動規範である「ビジネス・パートナーのための行動指針」(以降、「行動指針」)の同意書を提出していただき、当社と同様の人権尊重への取り組みを求めています。行動指針の中の労働・人権に関する要請事項には、強制労働の禁止、児童労働の禁止、若年労働者の雇用における法令遵守、差別の禁止、公正な処遇、ハラスメントなど非人道的な扱いの禁止、最低賃金の厳守、法定労働時間の遵守、結社の自由が含まれます。

また、行動指針の遵守状況のモニタリングとして、EcoVadis社のプラットフォームを用いた人権・労働、環境のリスク評価を実施し、評価結果からリスクの懸念があると判断された取引先には、個別にエンゲージメントを行い、双方合意のもとで、是正措置を求め、潜在的な人権リスクの防止措置に努めています。

国内生産拠点のサプライチェーン

当社の日本国内工場の委託製造先を含む直接材の国内外サプライヤー(一次取引先及び主要な二次取引先)を対象としたサステナブル調達を実施しています。行動指針への同意書を提出して頂くとともに、EcoVadis社によるサステナビリティ評価への参加を要請しています。同評価に基づいたお取引先との個別面談によるエンゲージメントを通じて、サプライチェーン全体のサステナビリティのレベル向上に努めています。2024年度末の時点で、同評価の結果高リスクと見なされる企業はありませんでした。

当社は毎年、当社の人権や環境などの社会課題への取組み方針とお取引先への期待を説明するお取引先説明会を開催しています。2024年度は6月(第6回)と10月(第7回)に開催し、直接材のお取引先合計177社に参加して頂きました。本説明会では、各回講師としてサステナビリティ分野に知見を持つ団体BSR(Business for Social Responsibility)の金谷扇様、TMI総合法律事務所の戸田謙太郎弁護士を講師としてお招きし、それぞれ「サプライチェーンにおける環境サステナビリティに向けて」、「サステナブル調達に取り組む必要性と背景」と題したご講演を頂き、企業における人権尊重および環境管理の責任について啓発を行いました。

海外生産拠点のサプライチェーン

2022年度からインドのバイザッグ工場、中国の蘇州工場、2023年度から、エーザイ米国の調達部門、インドネシアのボゴール工場にてサステナブル調達を開始しました。主要な直接材のお取引先から行動指針への遵守に関して同意書を受領しました。

グリーバンスメカニズム(苦情処理メカニズム)

当社及び国内外ネットワーク企業においては、内部通報窓口としてコンプライアンス・カウンター*1を設置しています。ハラスメント等人権に関するものを含むあらゆる相談・通報を受け付けており、秘密保持や報復の禁止に配慮し、必要に応じて調査を進めたうえで適切に対応しています。お取引先様向けには、当社事業や従業員に関わる不正行為や法令違反等について相談・通報窓口としてコンプライアンス通報窓口*1を設置しています。また、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な苦情処理プラットフォーム「対話救済プラットフォーム*2」を提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に2024年11月に正会員として加盟し、サプライチェーン上の労働者を含む全ての利害関係者を対象とした人権侵害事案に関する通報受付窓口(日本語)を設置しています。

*1 詳細は「コンプライアンス・リスク管理」をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/sustainability/governance/compliance/index.html
*2 JaCERの通報受付窓口「対話救済プラットフォーム」
https://jacer-bhr.org/application/index.html
JaCERを介した苦情申し立てに関する当社のGDPRのプライバシーステートメント(英語)はこちら PDF
  1. 教育・研修

    企業の人権尊重責任を果たしていくためには、人権尊重が企業文化として定着することが重要と考えています。人権尊重を基盤におくビジネス活動を徹底するため、エーザイ及び国内ネットワーク企業の役員、従業員を対象として人権啓発を継続して実施しています。
    2024年度は、「“This Is Me”で考える多様性」をテーマとして、ショート動画視聴を導入に用いたe-learningによる人権啓発研修を実施し、国内グループ会社を含め従業員4,772 人(参加率93%)が受講しました。
    ハラスメント防止に関しては、e-learningおよびコンプライアンス研修で徹底を図っています。また、新入社員や新任組織長を対象とした階層別研修のプログラムにも人権研修を組み入れています。

    英国現代奴隷法への対応

    英国で施行された英国現代奴隷法(UK Modern Slavery Act 2015)に基づき、Eisai Europe Ltd.は、2023年6月にステートメントを開示しました。

    Modern Slavery and Human Trafficking Statement 2022-2023

    エンゲージメント

    当社は、効果的な人権課題の解決を目指し、企業間人権課題の情報共有、NGOやNPOとの連携による国内外の最新の人権課題の情報収集に努めています。当社は、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、BSR(Business for Social Responsibility)、PSCI (Pharmaceutical Supply Chain Initiative)などのサステナビリティに関する枠組みに加盟して、人権に関する国際動向を把握し、人権デュー・デリジェンスの実施例や人権の社内浸透の好事例などを学習するとともに、分科会における活動を通して、企業間で連携して人権に関する課題に取り組んでいます。


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