アメリカ横断ボランティア紀行 - ライブラリ|EICネット

アメリカ横断ボランティア紀行

本連載は、2006年1月の導入編から2014年5月の総集編まで、8年9か月にわたって執筆・掲載されました。
内容等は連載当時の状況について記したものですので、その旨、ご了承ください。

2014年05月09日

総集編
前回、ワシントンDCを発って帰国の途についた第37話で、足掛け9年間の連載が終了した。そこで、最後にもう一度ボランティア紀行を振り返りながら、日米の保護区の比較やボランティアの役割などについて考えてみたい。

2014年02月13日

第37話 さよならワシントンDC
いよいよ2年間の研修も残すところ3か月。最後の研修地ワシントンDCを去る日が刻々と近づいてくる。魚類野生生物局での研修を終了し、最終報告書を作成する。その合間にニューヨークやボストンを訪問する。帰国間際に環境省から出張者が来ることになり、思いがけずシェナンドア国立公園などを訪問することになった。

2013年06月10日

第36話 ドンさんインタビュー(2回目)
私たちがいつものように魚類野生生物局の国際課で作業をしていると、国際課幹部のテイコさんが遊びに来てくれた。「今度ドンがクラブケーキをご馳走したいって言っているんだけど、うちに来ない?」クラブケーキ(Crab cake)とは、カニのほぐした肉にパン粉や牛乳、卵などをつなぎにして焼くか揚げるかして作るアメリカの伝統料理のこと。またまた魅力的なお誘いだ。

2013年03月01日

第35話 魚類野生生物局の予算
アメリカの魚類野生生物局の予算は、国立公園局に比べて特別会計に依存する割合が大きい。特別会計には入場料金収入や狩猟許可などに伴う手数料などが含まれる。保護区の管理を充実するためにはそれなりの予算と体制が必要となる。予算や組織を充実するための魚類野生生物局の戦略と課題について、国際課長のハーブ・ラファエルさんに伺った。

2012年09月20日

第34話 国立野生生物保護区訪問
ワシントンDC内を横断する高速道路を避け、市街地の南部から環状に走る高速道路インターステート495号線に入る。東方に向かって走り、チェサピーク湾を渡る。魚類野生生物局での研修の一環で、近郊の国立野生生物保護区を訪問することになった。上司のピーターさんから、チンカティーグとブラックウォーターの2箇所を勧められた。

2012年01月26日

第33話 ドンさんとの出会い
魚類野生生物局本局での勤務は刺激的だ。ワシントンDCという米国政治の中心地に近いからだろうか。それとも魚類野生生物局の持つ雰囲気だろうか。自分たちの組織が抱えている課題やそしてそれを解決するための道筋などを、政策立案の中心的な関係者がインターンの私たちにも率直に語りかけてくれる。組織としての懐の深さを感じさせられる。

2011年12月12日

第32話 魚類野生生物局でのボランティア開始
私たちが、ワシントンDCに近いバージニア州ボールストンという街に落ち着いたのは11月の半ばだった。ボールストンには、最後の研修先となる内務省魚類野生生物局がある。住居はボランティア向けアパートで、事務所のすぐ近くの高層アパートにある。部屋の窓からはポトマック川とその向こうに広がるワシントンDC郊外の森を見渡すことができる。

2011年09月09日

第31話 国立保全研修所訪問
魚類野生生物局(FWS)の所管する国立保全研修所(National Conservation Training Center:NCTC)は、保全に関する連邦政府機関連携型の施設で、アメリカ国内の自然環境の保全に関する研修所として設置された。

2011年07月26日

第30話 ハーパースフェリーセンター訪問
ハーパースフェリーセンターは、アメリカ国立公園局の総合メディアセンターだ。建物のデザインは近代的で、隣接する古めかしいレンガ造りのマザー研修所とは対照的だが、この2つの施設が隣接することには実は大きな意義がある。

2011年04月27日

第29話 国立公園『レンジャー養成所』訪問!(その2)
国立公園局の初任者研修のエクスカーションに参加するため、アンティータム国立戦場を訪問する。アンティータムは南北戦争の歴史の中でも有数の激戦地だ。こうした戦争の歴史を伝える歴史公園の管理についてもお話を伺うことにした。

2011年02月10日

第28話 国立公園『レンジャー養成所』訪問!(その1)
ウェストバージニア州ハーパースフェリーには、国立公園のレンジャーの養成機関として名高い「マザー研修所」と、同局のメディアセンターであるハーパースフェリーセンターがある。私たちはまずマザー研修所を訪問して、国立公園局の職員研修制度について話を伺うことにした。

2010年10月07日

第27話 マンモスケイブ再訪
デンバーを出発し、高速道路インターステート70号線をひたすら東へ向かう。コロラド州からカンザス州、ミズーリ州、イリノイ州などを横断する。今まで経験したことのない、内陸の大平原だ。途中、グレートプレーンズの穀倉地帯を通過する。この豊かさがあったからこそ、西部開拓前には6,000万頭ともいわれるアメリカバイソンが生息していたのだろう。

2010年07月15日

第26話 大陸横断(デンバー)
自然資源プログラムセンターでのインタビューを終え、フォートコリンズからコロラド州の州都デンバーへ移動する。デンバーは、学園都市フォートコリンズとは打って変わって大きな都市だった。デンバーでは、魚類野生生物局の第6地域事務所と、国立公園局のデンバーサービスセンターを訪問する予定だ。

2010年06月03日

第25話 大陸横断(フォートコリンズ)
コロラド州のフォートコリンズには、国立公園局自然資源プログラムセンターがある。このセンターは、私たちがマンモスケイブやレッドウッドで勤務していた、資源・科学部門の「総元締め」のような機関だ。このセンターに勤めるジムさんに面会をお願いしていたところ、快くインタビューに応じてくれた。

2010年01月21日

第24話 大陸横断(レッドウッド〜フォートコリンズ)
10月半ば、レッドウッドからワシントンDCまでの大陸横断の旅が始まった。マンモスケイブからの横断に対して、今回は西から東への大移動だ。前回はメキシコ国境近くを通る南のルートだったが、今回はロッキー山脈の真ん中付近を越えるようなルートをとることになった。

2010年01月21日

第23話 さよならレッドウッド
レッドウッド国立州立公園を去る時が目前に近づいてきていた。アラスカでの2週間があっという間に過ぎ、滞在期間は残すところあと1ヶ月ほどになっていた。次の研修地、ワシントンDCでの研修が11月半ばから始まる。出発までに、荷物の整理、職員へのインタビュー、そして職員向けに、私たちの研修成果に関するプレゼンを行わなければならない。

2009年08月25日

第22話 アラスカへ(その4)
朝、荷物をまとめフェアバンクスに向けて出発する。出発前、少し早起きして、デナリ国立公園のパークロードを自動車で走ってみた。あいにく動物は1頭も姿を現さなかった。
デナリ国立公園からフェアバンクスまでは車で3時間ほどの距離だ。来た時とは打って変わって空はどんより曇っている。

2009年06月11日

第21話 アラスカへ(その3)
デナリ国立公園の少し手前にデナリ州立公園がある。駐車場に車を停めると、すぐ目の前にマッキンリー山とアラスカ山脈が広がる。手前に広がる森林地帯とのコントラストがとてもきれいだ。最初に訪れたキーナイフィヨルド国立公園とは異なる、内陸の本格的な山岳公園らしい景観だ。

2009年03月18日

第20話 アラスカへ(その2)
スワードからアンカレッジに戻った次の日は、晴天に恵まれ暖かい1日となった。アラスカでは9月は晩秋だ。「前任のNさん、Kさんはどうしていますか?」アラスカ地域を管轄する魚類野生生物局のリージョン7事務所でのインタビューは、こんなふうに始まった。

2008年12月11日

第19話 アラスカへ(その1)
オーロラが夜空を彩り、氷河が海に崩れ落ちる「米国最後のフロンティア」は、雄大な自然と魅力がいっぱいだ。アラスカは、米国本土の5分の1程の面積がある。アラスカの国立公園と野生生物保護区には、他の米国本土48州にはない課題と政策があるに違いない。

2008年08月28日

第18話 イエローストーン国立公園
1872年、世界で初めての国立公園、イエローストーン国立公園が設立された。今もハクトウワシが舞い、バッファローが群れをなすイエローストーンは、野生生物にとって、アラスカを除く米国本土48州に残された"最後の楽園"といえる。

2008年06月19日

第17話 オレゴン州、ワシントン州遠征
レッドウッドに到着してから約半年。日々の調査業務にかまけて、報告書作成に必要な情報がなかなか集まらない。『米国の保護地域における自然資源管理』というテーマは、思ったよりも難しかった。残された現地研修期間は3ヶ月。このままではあっという間に終わってしまう。

2008年04月24日

第16話 レッドウッドの見どころ
アルカタ空港に双発のプロペラ機が到着した。機体はターミナルビルの目の前に止まり、簡単なタラップから乗客が次々に降りてくる。石原都知事も姿を現した。さっそく自己紹介する。

2008年03月06日

第15話 国立公園局と州政府の協力
「トウキョウのガバナー・イシハラって知ってる?」ワシントンDCの国立公園局国際課ルディーさんからメールが入った。石原慎太郎都知事のことだ。「まだ内々の話なんだけど、ガバナーが国立公園視察に興味をもっているらしいんだ。

2008年01月10日

第14話 ヨセミテ国立公園へ!
レッドウッド国立州立公園から、針葉樹林の中を走る「レッドウッドハイウェイ」を南下する。セコイア・キングスキャニオン国立公園、そしてヨセミテ国立公園を目指して車を走らせる。同じ道をレッドウッドに向けて北上したときから、ほぼ4ヶ月。いよいよアメリカの国立公園制度の「聖地」ともいうべき、シエラネバダ山脈の山岳地帯を訪れる機会を得た。

2007年11月01日

第13話 レッドウッドのボランティア
出勤すると、上司のジェイソンさんが探しにきた。さっそくスタージアさんの個室にかけつける。スタージアさんは国立公園勤務の植物学者で、植生部門の「ナンバー2」に当たる。「あなたたちにお願いしたいことがあるの」私たちが仕事を任されるのはこれが初めてだった。

2007年08月30日

第12話 レッドウッドの森のボランティア
「ユー・ガイズ! まずは年輪計測の練習に行こう」私たちの上司のジェイソンさんが同僚のスコットさんと、さっそく私たち2人をフィールドに連れ出す。アメリカ国立公園での長期ボランティア研修も、2箇所目の研修地・レッドウッド国立州立公園に移り、新しい生活がはじまろうとしていた。

2007年06月28日

第11話 レッドウッド国立州立公園到着
サンフランシスコで大量の生活物資や食料を買い込み、次の研修地、レッドウッド国立州立公園を目指す。太平洋岸に沿ってカリフォルニア州道1号線をゆっくり北上していくと、これまで走ってきた内陸部とは全く違う風景が広がっていた。レッドウッド国立州立公園のゲートシティーであるアルカタという町までは1泊2日ほどの行程だ。

2007年05月17日

第10話 大陸横断編・その3(アリゾナ州〜ネバダ州〜カリフォルニア州)
グランドキャニオンは、コロラド川に沿って形成された延長277マイル(446キロメートル)、幅15マイル(約24キロメートル)、深さ6,000フィート(1,830メートル)にも及ぶ大峡谷だ。私たちは、グランドキャニオンの南にあるアリゾナ州フラッグスタッフからこの大渓谷を目指し北上していた。

2007年03月15日

第9話 大陸横断編・その2(テキサス州→ニューメキシコ州→アリゾナ州)
約9ヶ月を過ごしたマンモスケイブ国立公園(ケンタッキー州)を離れ、次の研修地であるレッドウッド国立州立公園(カリフォルニア州)を目指す。そこは、マンモスケイブ国立公園から直線距離にして約3,500km、太平洋岸北部にある巨木と霧の公園だった。.

2007年01月18日

第8話 大陸横断編その1(テネシー州−ミシシッピー州−ルイジアナ州−テキサス州)
テネシー州の州都ナッシュビル近郊からミシシッピー州南部のナチェスまでをつなぐ総延長444マイル(約710km)のパークウェイは、かつての交易路に沿って整備されている。交易路はナチェストレイスと呼ばれ、近代アメリカ合衆国建国の歴史が文字通り「刻み込まれて」いる。

2006年11月30日

第7話 さよならマンモスケイブ
「W氏はもうここにはいません。国立公園局を去りました。残念ながら鈴木さんたちのことを引き継いでいる者はおりません」2003年11月。マンモスケイブ国立公園のボランティア生活も半年を越え、そろそろ次の研修先であるゴールデンゲート国立レクリエーション地域での生活について準備を始めなければならない時期に差し掛かっていた。

2006年10月26日

第6話 遠征編 from Mammoth Cave
国立公園北の入り口ゲートを通過してしばらくすると、右手に広々とした盆地をシェナンドア川がゆったりと蛇行して流れる風景が一望できる。ここはバージニア州にあるシェナンドア国立公園。アパラチア山脈の北端に位置する国立公園で、首都ワシントンDCからは2時間程の距離だ。

2001年07月03日

第5話 マンモスケイブ国立公園の夏
マンモスケイブ国立公園でのボランティア生活も1ヶ月を経て業務にも慣れてきたある日のこと。出勤前にメールをチェックしていたところ、久しぶりに環境省の同僚からメールが届いていた。

2006年07月27日

第4話 マンモスケイブ国立公園での生活
ケンタッキー州の片田舎にあるマンモスケイブ国立公園では、最寄りのスーパーマーケットまで車で30分はかかる。それでいて、公共交通機関はまったくない。公園内には、キャンプストアが開店している。ただ、卵やソーセージなどは売っていても、野菜や雑貨がない。値段も高く営業時間が短い上に、近いとはいえ、宿舎から徒歩で片道15分ほどかかる。

2006年06月08日

第3話 ボランティア開始
公園の管理事務所ではボランティア・コーディネーターのメアリーアンさんが待っていてくれた。早速、ボランティアの簡単な契約書にサインする。ところが、どういうわけか契約書が2枚用意されていた。「2人でボランティアやるんでしょ?」と当然のように言うメアリーアンさん。

2006年04月20日

第2話 受入れ先決定〜マンモスケイブ到着
当初の甘い見通しに反し、研修先が決まらなかった苦悩の日々。今思えば、公園側のニーズも応募者側(=私たち自身)の特性も考えず、闇雲に当たっては砕けていた。研修の権利失効期限が迫る一方、なかなか出口の見えない手探り状態が続いていたが、ここにきてようやく、少しずつコツらしきものも見えてくるようになっていた。

2006年03月24日

第1話 アメリカでの研修!?
先日お送りした「導入編」を受け、いよいよ今回から、待望の「本編」をスタートします。

2006年01月31日

導入編
本シリーズでは、アメリカの国立公園で長期滞在のパーク・ボランティアとして公園管理の表裏を実際に体験してきた環境省職員の鈴木さんに、さまざまなエピソードをご紹介していただきます。併せて、アメリカ各地の国立公園の魅力とそれぞれの公園の抱える問題などについても言及いただきます。本編は、その導入としてお送りするものです。

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