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文化財くんの独り言

更新日:2013年3月1日 ページID:000754

文化財くんの独り言

旧唐人屋敷門

こんにちは。
初夏の陽気になってきましたね。
今回は、国指定重要文化財の旧唐人屋敷門のご紹介をしたいと思います。
旧唐人屋敷門は、2度にわたって移築されて現在は興福寺の境内にあります。
その素材は中国特産の広葉杉(こうようざん)で作られています。中国様式の住宅門で扉は二重となっており、内門は貴人来臨専用といわれています。天明大火以後に建設されたと考えられます。
こちらの門は、平成20年から平成21年にかけて修理工事が行われました。
たくさんの行程を踏んで現在のように綺麗に修理されたのですが、
その中の一つ、メインの朱塗りの門の部分は漆で塗られています。漆は、紫外線に弱く劣化しやすいので、普通は外装に使用することはありません。劣化を防ぐために、亜麻仁油を塗布する作業を行っております。6月29日に塗布してきましたので、今まさにピカピカの旧唐人屋敷門をご覧になることが出来ます。

旧唐人屋敷門 長崎市の文化財

興福寺(新しいウィンドウで開きます)

清水寺本堂

こんにちは。

今回は、去る12月24日に国指定重要文化財(建造物)に指定された長崎市鍛冶屋町にある清水寺本堂についてお話します。

古くから「きよみずさん」として市民から親しまれ、「子授けや安産祈願」としても有名で、毎年多くの参拝者が訪れている長崎山清水寺(ちょうきさんきよみずでら)は、元和9年(1623)に京都清水寺の僧慶順(けいじゅん)によって創建され、4年後には長崎奉行や島原藩主等の支援を受け、京都清水寺を模した懸造(かけづくり)の舞台を持つ最初の本堂が完成しました。

現在の本堂は、寛文8年(1668)に唐商、何高材(がこうざい)(注釈1)が日本人妻の菩提を弔うために、2人の子供と共に建立に寄進した本堂をベースに、文久2年(1862)頃の姿に復原されたものです。


平成17年度より5年間の解体修理工事により今年3月に完成し、6月15日に改修工事の終了を祝う落慶法要(らっけいほうよう)が行われました。

「中国風の建築様式を取り入れた真言宗寺院本堂」

清水寺の特徴は、もともと真言宗の寺院であるものの、長崎の唐寺に見られる細部様式が取り入れられている点です。外陣(げじん)と呼ばれる本堂の前側の天井には、舟底の形状をした「黄檗天井(おうばくてんじょう)」や虹梁(注釈2)の上に乗る美しい彫刻を施した台座(注釈3)など、随所に当時の中国由来の様式が用いられています。これは寄進者が中国人商人であったからとも考えられますが、いずれにしても、長崎ならではの特徴ある建物といえるでしょう。

(注釈)

  1. 崇福寺の有力な檀家で、国宝の崇福寺大雄宝殿の建立に寄進を行ったことでも知られています。
  2. 建物の水平方向に架けられ、天井や屋根の重みを柱に伝える部材を梁(はり)と呼び、そのうち寺院建築に見られる装飾を施したものを特に虹梁とよびます。
  3. 梁を支える短い部材で、清水寺本堂には20個用いられているが、その装飾には全て異なる絵柄が用いられています。

国指定重要文化財 清水寺本堂

オオウナギ生息地

平成22年10月15日(金曜日)、長崎市野母樺島町にて国の天然記念物に指定されている「オオウナギ生息地」の井戸の清掃作業が行われ、あわせてオオウナギの身体測定が行われました。
毎年秋の訪れとともに行われる身体測定ですが、まだまだ日差しが強く当日も汗ばむ陽気の中、多くの地域住民や地元の幼稚園児、報道陣などが集まりました。
井戸は、大正12年3月にオオウナギの生息地として天然記念物に指定されました。オオウナギは稚魚のころに、港から川を遡り井戸に入り込み棲みついたのですが、周辺環境の変化に伴いオオウナギが井戸に入り込めなくなったため、現在生息しているオオウナギの先代から鹿児島県の川から連れてくるようになりました。
現在うな太郎を筆頭に、うな次郎とうな子の3匹が井戸と水槽に分けられ生息しています。うな太郎は推定30歳、人間でいうと50歳、まさに脂ののった年ごろといえます。せっかくなので井戸から引き上げられたうな太郎を触ってみると、ピトピトと指が吸い付くような潤い溢れる肌触りでした。
うな太郎は、平成21年より5センチ伸びて179センチに成長していましたが、体重は2.1キロ減の12.6キロ、胴回りは2.2センチとスリムになり45センチでした。ただ、網に入れて分銅で体重測定を行い、背中に水糸をあてて体長を測っているので若干の誤差が生じるのだそうです。
長年うな太郎の世話をしている幕亀太郎さんは、年に1度間近に観察できるこの日、井戸から上がってきたうな太郎を愛おしそうに見つめていました。亀太郎さんの話によると、うな太郎はまだまだ井戸の主として元気でいられるようです。
うな太郎は、普段はなかなか上に上がってくることも少ないですが、井戸の横に設置されたうな次郎とうな子のいる水槽は常時眺めることができるので、近くにお立ち寄りの際にはその大きさを実見してみてはいかがでしょうか?

(補足)うな太郎を知るための必読書、幕亀太郎さん著「ウナ太郎飼育奮闘記」、『のもざき 文化のかおり』平4、お奨めです。図書館にもありますので、よかったら読んでみてください。

国指定天然記念物 オオウナギ生息地

伊王島

まだまだ残暑が厳しい中、みなさんいかがお過ごしですか?
こういう時は街の雑踏を離れ、青い空の下で大きく深呼吸をしてのんびりしたい気分になります。
というわけで、今日は長崎の市街地を離れ伊王島へやってきました(もちろん仕事で)。
島を北上すること10分、心地よい風が吹く高台へ到着。
車を降り、整備された歩道を歩いてゆくと丘を少し降りたところに白い小さな伊王島灯台が見えてきます。
伊王島灯台は、慶応2(1866)年に欧米4国(米・英・仏・蘭)と江戸条約を結んだことで全国8か所に設置された、近代式洋風灯台の一つです。初点灯したのは明治3(1870)年のこと。これまで原子爆弾の爆風を受け、打撃を受けながらも、現在に至るまで長崎の海を行く船の道標としてその役割を果たしています。
今年11月1日の灯台の日には普段は入れない内部に入ることができます。
残念ながら平日ですが、お時間がある方はぜひ年に一度しかないこの日に訪れてみてはいかがでしょうか。
そして灯台脇の階段を下っていくと、そこには灯台守の退息所があります。明治10(1877)年に建てられた明治初期の洋風建築で、昭和46(1971)年の灯台の自動化が始まるまで幾人もの人々が灯台を守ってきました。現在は伊王島灯台記念館として伊王島灯台の歴史などを紹介した施設として一般公開されています。ただ、平成22年9月現在、建物の改修工事を行っており、平成23年2月まで閉館しています。
来春には伊王島大橋も開通します。伊王島との距離もグッと縮まるこの機会にぜひ足を運んでみてください。

長崎市指定名勝 伊王島灯台公園
長崎県指定有形文化財 伊王島灯台旧吏員退息所

ハマナツメ群落

こんにちは。ずいぶんと御無沙汰しておりました。
今回は今年5月17日に長崎市の天然記念物に新しく指定されました牧島のハマナツメ群落を紹介します。
ところで、皆さんは「ハマナツメ」という植物を知っていますか?
葉の形がナツメに似て(果実じゃないんです)、樹木では珍しく海浜部近くに生息するところからその名前がつけられました。
環境の変化に敏感で、海が汚れたりすると生育できなくなり、限られた場所でしかその存在は確認されていないため、環境省などの絶滅危惧種とされています。
7月から8月にかけて多くの枝分かれした先端部に小さな淡い黄緑色の花をつけます。
しかし別名トリトマラズというように、可愛らしい小さな花にはおよそ似つかわしくない堅い鋭いとげが生えていて、花に気を取られうっかり手を出すと刺さりますので要注意です。
また、キリストの冠はこのハマナツメで作られたという伝説があり、英名を『Christ’s-thorn=キリストのトゲ』といいます。さて前置きが長くなりましたが、牧島のハマナツメがどこにあるのかといいますと…
牧島へとかかる橋を渡り、島の奥へ奥へと車を走らせること5分(そんな奥じゃないですね)。弓状に曲る岬の先端部に生い茂る木々と住み分けるようにしてハマナツメが根を下ろしています。
残念ながら先日の台風で多くの花が散ってしまいましたが、花の落ちた後になる実も可愛らしく、上から見たら花に、横から見たらカップをひっくり返したような形をしています。
この実はコルク質で水にぷかぷかと浮くため、海に落ちて根を下ろす地を探し波間を漂うのです。牧島のハマナツメも広い海を旅してこの地にたどり着いたと考えると何だかロマンチックですね。

ちなみにこのハマナツメ群落のすぐ隣には「国指定史跡曲崎古墳群」があります。長崎市内唯一の古墳見学スポットで、この場所には5世紀から7世紀の間に作られた、実に101基もの積石塚が存在しています。
ハマナツメの可憐な花を眺めながら古に思いを馳せてみるのもいかがでしょうか(来年にでも)。

牧島ハマナツメ群落周辺地図(新しいウィンドウで開きます)
国指定史跡曲崎古墳群

お問い合わせ先

文化観光部 文化財課

電話番号:095-829-1193

ファックス番号:095-829-1219

住所:〒850-8685 長崎市魚の町4-1(14階)

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