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掲載開始日:2015年12月3日

最終更新日:2024年10月15日

不合理な税制改正に対する特別区の主張

「地方創生の推進」と「税源偏在是正」の名のもと、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税制度等の不合理な税制改正により、特別区の貴重な税源は一方的に奪われています。
こうした不合理な税制改正による特別区全体の影響額は、累計で約1兆9,000億円を超え、令和6年度だけでも約3,200億円であり、これは特別区における人口70万人程度の財政規模に相当する衝撃的な額です。
特にふるさと納税制度による令和6年度の特別区民税の減収額は、約930億円に達するなど、ここ10年間で約100倍に膨らんでいます。

地方税を国税化して再配分する手法は、応益負担や負担分任という地方税の本旨を無視したものです。本来、地方財源の不足や地域間の税収等の格差については、国の責任において地方交付税財源の法定率を引き上げ、調整するべきものです。

特別区は、持続的な都市の発展のために取り組むべき喫緊の課題や将来的な課題が山積しています。また、長引く物価高騰の影響は、特別区の財政にも大きな影響を与えており、先行きが依然として不透明な状況です。
こうした中、経済財政運営と改革の基本方針2024では「東京一極集中が続く中、行政サービスの地域間格差が過度に生じないよう、地方公共団体間の税収の偏在状況や財政力格差の調整状況等を踏まえつつ、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組む」とされ、一部の地方などからも更なる偏在是正を行うべきという意見が出ています。

地方交付税の不交付団体である特別区は、景気変動の影響を受けやすい歳入構造であるため、景気後退による区税等の減収や物価高騰対策等の財政支出に対しては、積み立てた財政調整基金を取り崩さなければなりません。備えとしての基金残高や税収の多寡という側面にのみ焦点を当てて、あたかも財源に余裕があるとする議論は容認できません。

今必要なことは、全国各地域が自らの責任で真に必要な住民サービスを提供するとともに、自治体間の積極的な交流や協働によって共存共栄する良好な姿を作ることであり、税源の奪い合いにより自治体間に不要な対立を生むような制度は認められません。

今こそ、国の責任において各地域を支える地方税財源の充実強化を図り、日本全体の持続可能な発展を目指すべきです。


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