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熱めの名水でほかほか 亀山湯

2024年3月13日 10時07分 (3月14日 10時50分更新)
熱めに調整された名水のお湯がたっぷりと張られた湯船=いずれも大野市の亀山湯で(山田陽撮影)

熱めに調整された名水のお湯がたっぷりと張られた湯船=いずれも大野市の亀山湯で(山田陽撮影)

  • 熱めに調整された名水のお湯がたっぷりと張られた湯船=いずれも大野市の亀山湯で(山田陽撮影)
  • 夕方の開店に備え、朝から浴室の掃除に追われる寺島さん。浴槽には大野の名水が注がれていた
  • 燃料のおがくずを投入する寺島さん
  • 木材とともにじっくりと燃え、名水を沸かすおがくず
亀山湯
熱めの名水で ほかほか
透き通った湯がたっぷりと張られた湯船。膝を伸ばしてそこにつかる客はほっとしたような表情を浮かべていた。1902(明治35)年創業の大野市城町の銭湯「亀山湯」。「まろやかで体の芯までほかほかに温まる」というのがもっぱらの評判だ。
秘密は、名水百選の「御清水(おしょうず)」や平成の名水百選の「本願清水(ほんがんしょうず)」で知られる地元大野の豊かな地下水を、スギのおがくずを燃やして沸かすという昔ながらのやり方にあるらしい。4代目店主の寺島善彦さん(72)は「お客さんの『いい湯だった』という言葉がやりがい」と語る。
寺島さんの1日は慌ただしい。午後3時の営業開始に合わせて、午前8時ごろから浴室の清掃に加えて、湯船に供給する地下水を温める作業をするからだ。
おがくずはトラックの荷台から運びボイラーに投入する。おがくずが少しずつ火に落ちて木材とともに燃えていくことで地下水が温められる。おがくずが少なくなってきたら補充する。この作業を3、4回繰り返すと45度ほどの熱めの湯が湯船に供給できる。
店の営業が始まると、寺島さんは1人で店番と火の番をする。湯船の温度を絶えず確認しながら、おがくずや木材をボイラーに入れ湯の温度が下がらないよう調整。午後9時ごろ、その日の営業が終わる。
寺島さんは高校卒業後、金融機関勤務を経て、55歳の時に亀山湯の経営を引き継いだ。今は亡き母てる子さんから「先祖からの預かり物だから店を簡単に辞めたくない」と聞いてきたからだ。利用者数は高齢化などで減少傾向にあり、1日に20人程度。「店の経営は厳しいです」と苦笑する。
「温かい湯を楽しみにして店に来てくれる人がいる。体が持つところまで店を続けたい」と力を込めた。(佐久間博康)

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