基本方針
国民運動展開のためのノウハウ集
本専門調査会は、国民運動を展開するに当たってのノウハウ等について様々な観点から検討を行った。その結果を以下に提示する。各団体や各地域等で運動を展開に当たっては、これを参考とすることが望まれる。
■しかく地域の防災連携組織づくり
防災に寄与する活動を展開する全国的な組織間の連携を受けて、地域ごとに、自治体や防災活動に積極的な団体が要になり、多様な組織・団体が連携する防災体制を構築し、維持していく。
(1)きっかけ作り
○しろまる地域社会で防災活動が始まる最初のきっかけは、行政主催の行事はもちろん、民間主体によるまちづくり活動など、地域を良くする意欲のある方が集まる機会であればその可能性がある。
○しろまる防災に直接かかわらない他の分野の日常的な活動も含め、きっかけとなる活動対象には様々なことがあり得る。
(2)活動の広げ方
○しろまるまず中心となる自治体や公的あるいは民間の団体が、地域の状況をよく踏まえて、まちの安心・安全を得るために鍵となる具体的なテーマを見極め、あるいは戦略的に選ぶことも一つの方法である。
○しろまる中心となる団体が、選んだテーマを話題に他の地域の諸団体に声をかけ、意見交換をし、諸団体の得意分野を生かした連携を進めていくことが有望である。
○しろまるテーマ作りの例
- 子どもの通学路の安全
- ○しろまる○しろまる地震・○しろまる○しろまる水害○しろまる周年
- 地域の空き巣や引ったくり対策の防犯活動
- 災害被災者や防災ボランティアの経験談を聞く
○しろまる地域の諸団体との交流に熱意を持って臨む中心となるコーディネーター役が(できれば複数)必要である。
(3)連携の形作り
○しろまる連携の形を作るときに、主導的な団体が事務局を努めることになろうが、これに協力する団体が自らの組織を生かして連携の実をあげるほか、事務局支援に人材を出す、イベント等のアイディアを出す、資金も出し合う等資源の提供を行うことが望まれる。各団体の持ち味を自覚し、それぞれの得意分野を生かした役割分担をして活動を進めることが必要である。
○しろまる連携の形作りの例
- 婦人会と公民館との連携による防災教育
- 企業と自治会・町内会等との災害時の協力
- ライフライン企業と地域ボランティアとの連携
- 商店街と大学・高校等とNPOとの連携
○しろまる団体間の連携・協力を促進する工夫の例
- 防災活動の報告集等で協賛を行った企業・団体の名称を表示
- 協賛企業・団体が自らの配付物に共通のシンボル等を表示
- 協力団体の主催行事(防災以外を含む)への参加・協力
(4)アイディア作り、人材集め
○しろまる活動の展開のためには、地域住民を引き付けるアイディアが不可欠である。そのためには、他の地域の様々な活動を実践している者との出会いや活動事例がヒントになるので、地域間交流の機会を増やす。
○しろまる域間交流の機会の例
- 全国防災まちづくりフォーラム
- 安全・安心まちづくりワークショップ
- 防災隣組の全国会議
○しろまるアイディアを支える防災活動の材料は、大学等の研究機関、NPO、行政などがかなり蓄積している。人的なネットワークやインターネットなどの手段を活用して適当な事例を探す。
○しろまるまた、活動の推進には地域で担い手を育てるとともに、手腕と熱意を発揮してくれる人材の発掘に努めることが大切である。
(5)連携のモデルイメージの共有
○しろまる各参加団体が、自分の参加している活動における各団体間の連携のモデルイメージを情報共有していると、各自の役割分担がしやすく、活動がスムーズに展開する上で有効である。
○しろまるモデルイメージの例
- 消防団や自主防災組織の活動、企業の防災協力、平時のボランティア活動等の充実・連携
- まちづくりNPO、建築専門家、工務店が取り組む耐震補強
- 生徒の地域防災活動と自治会・町内会等やNPOや企業の連携
(6)活動の継続
○しろまる地域単位でみると大規模な自然災害は頻繁には来ないことから、飽きず・疲れずに活動が継続することがポイントである。
○しろまる活動継続の間には担当者の交代などもあるので、定期的な顔合わせの機会を設定し、顔が見える関係を保ち、参加者のコミュニケーションを維持することが最も重要である。
○しろまる定期的な顔合わせの機会の例
- 地域のお祭りに企業の敷地を開放し、自治会・町内会等と交流
- 平素の自治会・町内会等活動に防災訓練を増やす
- 小学校の運動会の機会に地域の諸団体が集まり通学路の安全を点検する
○しろまる防犯、福祉など防災の隣接分野の活動も合わせて実施していくことで、継続の意味を補強していくことも現実的である。
○しろまる一方、連携の仕掛けを明確にしておく必要もあり、特に資金負担や行動義務を負う連携の場合には、連携条件の文書化、協定化等も積極的に考慮していくべきである。(行政と文書による合意があれば、その団体の地域貢献としてPRすることが可能となる効果もある。)
○しろまる活動の資金的安定性を図るためには、地域で基金が設置できれば有効である。
○しろまる人材の育成は活動の展開だけでなく継続させるためにも必要であり、育成活動自体が活動の継続になる場合も多い。また、地域で行動力を発揮してくれる人材を見出し仲間に加える努力も、活動の継続・発展のために引き続き必要である。
○しろまる地域の活動の自己点検と次の活動へのフィードバックの仕組みが作られることも、活動の継続につなげていく上で有効である。
○しろまる活動継続のための仕掛け作りの例
- 地元商店街の行事と結びついた防災訓練・防災教育
- 高齢者による通学児童の見守りなど年代を超えた地域住民の交流
- 毎年の団体のレクリエーションと防災活動の組合せ
- 行政による継続活動への表彰やマスメディアによる報道
- 自治会・町内会等の回覧板・掲示板等によるハザードマップの周知
(7)留意事項
○しろまる災害時要援護者の避難対策には、消防団や自主防災組織等、従来から地域防災の主体となっている防災団体、平時から要援護者と接している社会福祉協議会や民生委員等の福祉関係者、自治会・町内会等、ボランティア等の多数の主体間の連携が必要であり、地域における防災活動の連携を生み出すきっかけの一つとなっているので、注目すべき。
○しろまる地域の一員としての企業の行動にも期待されるが、その際には、企業規模や業種、当該地域におかれている施設の種類によって、対応できる連携の内容が異なるので、企業に一律に連携を求めるのでなく、個々の事情をよく理解する。
○しろまる一方で、企業側にも社会的責任を重視する動きがあり、社会的な評価が得られる環境が地域で形成できれば、積極的な連携を得られる可能性が高まることも認識すべき。