先導する研究
環境適応宇宙ロボティクスの研究
民間ロボット研究者の参入を促す
宇宙機ソフトウェア環境の研究(RACS)
宇宙ロボットにはマニピュレータ制御機能、自己位置推定機能、経路計画機能など、実に多種多様なソフトウェアが必要になります。そのため、開発すべきシステムが巨大になり、多数の人・時間・予算を割かなくてはなりません。
この問題を解決するために、我々は地上ロボットにて既に利用されているソフトウェアを宇宙機用に「再利用」するプラットフォーム作りを目指しています。
地上ロボットコミュニティでは、ロボットアプリケーションが汎用ライブラリとして多数公開されており、ロボット開発者のノウハウを直接活用できる環境が整っています。我々は宇宙機ソフトウェア開発でもこの環境を実現させようと考えています。 これにより、民間のロボット研究者などの新規参入者を積極的に呼び込みます。
詳しくはこちら:「ROS 2 and cFS Bridge (RACS2)」ソフトウェア、ISS船内の自律カメラロボット「Int-Ball2」で軌道上実証に成功
研究の概要
我々は、地上ロボットアプリケーション*のコードを直接取り込んで、宇宙機用アプリケーション**として移植できる環境を開発しました(下図)。これにより、既存のロボットで利用実績のあるアプリケーションの移植や、3次元可視化ツールといった開発ツールを利用した新規アプリケーション開発が可能となります。
ロボットアプリケーションが移植された宇宙機ソフトウェアは、そのままターゲットボードに組み込むことも可能となり、高いソフトウェア開発効率を実現できます。
Robot Operating System(ROS)ノードを、NASAが提供するCore Flight System(cFE)に実装するためのライブラリおよびツール群を公開しています。
ROS/cFE変換ライブラリ
- *
- :地上ロボットソフトウェア基盤ROS(Robot Operating System)において開発されたアプリケーション
- **
- :宇宙機用基盤ソフトウェアcFE(core Flight Executive)上で動作するアプリケーション
研究実績
発表論文
- T.Saito, H.Kato, D.Hirano, K.Iwabuchi, S.Kawaguchi, "cfe Extension for the Use of ROS Applications in the Space Missions", in Proceedings of International Symposium on Artificial Intelligence, Robotics, and Automation in Space (i-SAIRAS), Madrid, 2018.
- 斎藤達彦, 加藤裕基, 平野大地, 岩渕甲誠, 川口仁, "宇宙機上でのROSアプリケーションの利用に向けて", ロボティクス・メカトロニクス講演会, 2018
- Hiroki Kato, Tatsuhiko Saito, Shinobu Kawaguchi, "Software Framework for ROS Implementation into cFS," in Flight Software Workshop, Huntsville, 2019.