化学専攻小林修教授がフンボルト賞を受賞
化学専攻長 佃 達哉(化学専攻 教授)
このたび,化学専攻の小林修教授が,フンボルト賞を受賞されました。
フンボルト賞は,ドイツ政府の国際的学術活動機関であるアレキサンダー・フォン・フンボルト財団が創設した賞で,人文,社会,理工の分野において,後世に残る重要な業績を挙げ,今後も学問の最先端で活躍すると期待される国際的に著名な研究者に対して授与されるものです。ドイツでもっとも栄誉のある賞とされており,毎年100人に授与されます。理学系研究科からは,有馬朗人名誉教授 (1987年)と小柴昌俊特別栄誉教授(1997年)をはじめとして,卒業生と教員の受賞が続いています。
小林教授の業績は広範囲におよんでいます。小林教授は,希土類金属トリフラートが水に安定なルイス酸触媒であることを発見し,ルイス酸は水中で容易に分解されて失活するという世界の常識を打ち破りました。また,光学活性ルイス酸などを用いる触媒的不斉合成の分野でも多大な貢献をしています。さらに,固定化金属触媒開発の分野では,新たに開発した高分子固定化金属触媒である「マイクロカプセル化触媒」および「高分子カルセランド型触媒」を,アルコールやアミンの空気酸化反応などを含む数多くの反応に適用しました。いっぽうで,マイクロチャネルやフローリアクターを用いる還元反応や酸化反応などの開発も行いました。フローリアクターを用いる反応は工業レベルでも使用されています。
このたびのご受賞を心よりお祝い申し上げますとともに,今後のますますのご活躍を祈念致します。