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第12回理学系研究科諮問会

副研究科長 武田 洋幸(生物科学専攻 教授)

図1

諮問会の風景

図2

化学専攻研究室見学の様子。大越慎一教授(左)と菅裕明教授(右)による説明。

理学系研究科は2001年度より毎年外部有識者をお招きして諮問会を開催し,研究科の教育・研究活動の現状と未来について忌憚のないご意見を賜っている。2012年度の諮問会は2013年3月15日(金)に開催された。委員は,西田篤弘委員長(元宇宙科学研究所所長),岡田清孝委員(自然科学研究機構基礎生物学研究所所長),拓殖綾夫委員(公益社団法人日本工学会会長),小間篤委員(秋田県立大学理事長・学長),辻篤子(朝日新聞社オピニオン編集部員),鈴木厚人委員(高エネルギー加速器研究機構機構長,今回ご欠席)の各氏である。理学系研究科からの出席者は,相原博昭研究科長,山内薫副研究科長,久保健雄研究科長補佐,土居守研究科長補佐,佐藤薫研究科長補佐,上田正仁研究科長補佐,五神真副学長,西原寛教授,横山広美准教授,林輝幸特任研究員,大西淳彦事務部長,生田目金雄経理課長,二宮徹平総務課長および武田洋幸副研究科長,であった。例年午後1時からの開催であったが,質疑応答や諮問についてのご意見をいただく時間を十分とるために,午前11時からの開催となった。諮問会の途中では,化学東館に於いて化学専攻の二研究室(大越慎一教授,菅裕明教授)を訪問していただき現場で意見交換が行われた。

諮問会では,研究科の活動全般について報告,質疑応答に続いて,(1)理学系研究科・理学部の国際化について,(2)学部および大学院の教育改革について諮問をお願いした。諮問事項および報告事項について,ぎりぎりの時間まで活発な議論が行われた。諮問委員からのおもな指摘および議論の要約を以下に記した。

国際化については,国際化は手段であり目的ではない,したがってグローバルにするといってもどのようにグローバルに活躍する人を育てるか,という点から見ていかなければならないと指摘があった。これに対して,現在議論が続いている学事暦変更の狙いも大学の国際化の手段のひとつであるが,理学系としてはサイエンスの必然としての国際性と多様性を確保し,それらを生かした教育・研究を展開するために,国際化を着実に進めていることを報告した。たとえば,国外の学部学生を対象とする理学系研究科サマーインターンシッププログラム(UTRIP:University of Tokyo Research Internship Program)では20名の募集に対して400名を超す応募があったことなどである。いっぽう,さらなる国際化には,人的,資金的リソースを拡大することが必要で,これを打破するためには理学系が一丸となって取り組んでいく決意を表明した。

教育改革については,大学院教育の社会との接続について多くの指摘をいただいた。アカデミアに残るにしても企業で活躍するにしても,それぞれの場でリーダーとして活躍する人材を育てるという認識をもつ必要があると指摘を受けた。そのために教育の幅を広げ,どちらにも進路をとれるリーダー的人材育成が必要であるという意見をいただいた。たとえば,リベラルアーツに関する講義を,修士1年,博士1年で義務付けをしたらよいのではないか,という指摘もあった。社会との接続を意識したリーディング大学院プログラムに対しても,肯定的なものからやや手厳しいものまで,さまざまなご指摘を受けた。とくに,「細切れであり統一感がない」,「インターンシップなどは本当に真剣勝負をする場になっているのか」,などのご指摘を真摯に受け止め,今後のプログラム運営に生かしていきたい。

最後に,理学部も,震災後の日本に貢献する意欲をもち続けることが大事であると指摘があった。福島の事故はなぜ起こったのか,という反省を基に,本当に自由に生きる市民であるための新リベラルアーツが重要であるという指摘があった。また,理学のみならず,広く社会の課題を解決する視点をもってほしいと指摘があった。これら点については理学系研究科全体としてとして重く受けとめ今後の教育プログラムに反映できるように努力していきたい。

(肩書きは諮問会当時)

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