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横山順一教授が井上学術賞を受賞

ビッグバン宇宙国際研究センター長 牧島 一夫(物理学専攻 教授)

図1
横山順一教授

このたびビッグバン宇宙国際研究センターの横山順一教授は,「インフレーション宇宙論の実証的研究」により,2012年度の井上学術賞を受賞されました。おめでとうございます。

宇宙は137億年前,火の玉状態で誕生した(ビッグバン)と考えられ,その誕生の謎を説明する理論が,本研究科の佐藤勝彦名誉教授らが1980年前半に提唱した「インフレーション」の考えです。すなわち,宇宙はその創生期に内包した真空のエネルギーにより急速膨張(インフレーション)して巨視的な大きさに達し,そのエネルギーが熱に転化することで,火の玉宇宙ができたとするものです。この考えは最先端の宇宙観測により強固になりつつありますが,理論の核心部にはまだ多くの異なる学説が並立しています。そんな中で横山教授は,実験や観測により検証できる理論の構築を目ざし,国際的にハイレベルな研究を展開されて来ました。インフレーションと物質生成を一体的に実現するモデルの構築に初めて成功したこと,さらに既知のすべてのインフレーションモデルを包含するもっとも一般的な枠組みを構築し,観測と理論の直接比較を可能にしたこと,宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎの観測から,インフレーション中に生成した量子的な揺らぎを逆算する方法を開発し,WMAP衛星の観測結果を初期宇宙に直接に反映させたこと,初期宇宙のプローブとして重力波の重要性に着目した「重力波的宇宙論」の考えを掲げ,建設が進んでいる重力波望遠鏡KAGRAや次世代のDECIGOへの理論的指導性を発揮しておられることなどが特筆されます。今後ますますのご活躍を祈念いたします。

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