理学の地平を拡大する:博士課程教育リーディングプログラム
副研究科長 相原 博昭(物理学専攻 教授)
文部科学省は平成23年度から「優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため」に,大学での人材養成補助事業として博士課程教育リーディングプログラム(通称,リーディング大学院)を開始した。 グローバルCOE人材育成支援事業が,国際的競争力のある教育研究拠点作りに重点を置いているのに対し,リーディング大学院は,高度な専門性と確固たる基礎学力を有した上で,専門分野の枠を超えあらたな科学・学術を切り拓く意欲を有し,さらには,アカデミアだけでなく産業界や政策立案などにおいても中心的役割を果たすことのできる柔軟な思考力をもつ博士人材の育成に焦点を絞っている。 その実現には専攻や研究科の枠を越えた教員グループの力を結集したプログラムが必須である。 平成23年度の公募には63の国公私立大学から合計101件の申請がなされた。 厳しい審査の結果,採択された申請はわずかに21件(採択大学数13)である。 本学からは,学内審査と調整を経て4件の申請がなされ,3件が採択された。 理学系研究科は,本研究科物理学専攻・化学専攻と工学系研究科物理工学専攻の共同による「フォトンサイエンス・リーディング大学院」と医工薬理の4研究科合同による「ライフイノベーションを先導するリーダー養成プログラム」の2件で重要な役割を担っている。 いずれも,理学の理念と手法を身につけて,自らの能力を発揮する場の拡大に果敢に取り組む若者を育成するよう設計された優れたプログラムである。