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生物科学専攻 黒岩常祥名誉教授が文化功労者に

中野 明彦(生物科学専攻 教授)

図1

黒岩常祥名誉教授

本研究科名誉教授(生物科学専攻)の黒岩常祥先生(立教大学理学研究科特任教授)が,2011年度の文化功労者に選ばれました。

黒岩先生は,本研究科博士課程を1971年に修了され,1987年から2002年まで生物科学専攻の教授として,植物細胞生物学の教育,研究に努められました。定年退職後,立教大学に移られ,今なお第一線の活躍を続けられています。数多い業績の中でもとくに重要なものは,細胞小器官ミトコンドリアと葉緑体の分裂増殖および遺伝の仕組みの解明です。黒岩先生は,約20億年前に宿主細胞に共生したバクテリアの子孫であるこれらの細胞小器官について,分裂装置を発見し,謎に包まれていたその分裂増殖の分子機構を解明しました。また,これらの細胞小器官の遺伝子は,ほとんどの生物で母方からのみ子孫に伝わる母性遺伝をすることが知られていますが,黒岩先生は,これが雄由来のDNAの選択的分解によることを発見しました。これらの研究を発展させるため,理想的なモデル真核生物として原始紅藻シゾンを探し出し,その全ゲノムを100%完全解読しました。

これらの業績によって,2008年に紫綬褒章と米国植物科学会のチャールズ・リード・バーンズ賞,2010年にみどりの学術賞と日本学士院賞を受賞され,また日本学士院会員に選定されました。このたびさらに文化功労者という栄誉が加わったことは,本専攻,本研究科の大きな誇りです。今後ますますのご健勝を念じてやみません。

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