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  3. 2011年11月号(43巻4号)

化学専攻菅教授が日本学術会議会長賞を受賞

小澤 岳昌(化学専攻 教授)

図1

菅裕明教授

本研究科化学専攻の菅裕明(すが・ひろあき)教授が,第9回産学連携功労者表彰式で日本学術会議会長賞を受賞されました。本表彰は,大学,企業などにおける産学官連携活動において大きな成果を収め,また先導的な取組を行うなど,産学官連携活動の推進に多大な貢献をした個人に贈られる制度です。

天然物として単離されるペプチドには,天然には通常存在しないアミノ酸を含み,かつ環状化された骨格をもつものの存在が知られています。このようなペプチドは「特殊ペプチド」とよばれており,一般的に高い生理活性を有しているため,新たな薬剤として期待されています。これまで,特殊ペプチドの発見は,自然界からの偶然の発見に頼らざるを得ず,システマティックに探索することは不可能でした。菅教授は,独自に開発した非天然型アミノ酸を含むペプチド合成法を開発し,特殊ペプチドを人工的に狙い通りに作ることを可能にしました。さらに菅教授は,さまざまなアミノ酸配列を有する特殊ペプチドライブラリーを構築することにより,生理活性を有する特殊ペプチドをライブラリーから単離することを可能にしました。この技術は,東大発ベンチャー企業のひとつであるペプチドリーム株式会社の連携により,創薬プラットフォーム技術「RaPID(Random Peptide Integrated Discovery)システム」として実用化されています。本システムが世界オンリーワンであることの強みを生かし,国内外の製薬企業などと共同研究開発契約を結ぶ,バイオベンチャーの新たなビジネスモデルを構築した点が,高く評価されたことと思います。

菅教授のご受賞に心よりお祝い申し上げますとともに,今後のますますのご活躍を祈念いたします。

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