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ガリレオが見た宇宙,見なかった宇宙

- 世界天文年・七夕講演会 -

須藤 靖(物理学専攻 教授)

図1

宇宙地図をつくるための穴あきアルミ板について解説する須藤靖教授

今年はガリレオ・ガリレイが望遠鏡を宇宙に向けてから400年に当たり,「世界天文年」として世界中でさまざまなイベントが企画されている。日本天文学会は全国の大学・研究機関などに働きかけ,「世界天文年全国同時七夕講演会」を行うことを決定した。七夕の頃に,全国各地で講演会を実施し,天文学の成果を広く伝えようというのが目的である。東京大学では本郷,三鷹,柏の3会場で講演会を実施した。本郷キャンパスでは,筆者が理学部広報室,ビッグバン宇宙国際研究センター,日本学術振興会先端拠点形成事業 「暗黒エネルギー研究国際ネットワーク」の共催で,「ガリレオが見た宇宙,見なかった宇宙」という講演を行った。

通常この種の講演会にはあまり若者が来ないこともあり,今回はあえて小中学生をおもな対象としてみた。開演30分前にお茶とお菓子,さらには小中学生には先着順で記念品進呈,という宣伝をしたおかげで,5時過ぎから早々と多くの方が来てくださり,最終的にはご父兄,およびかなり昔の小中学生を含め100人を超える参加者を得ることができた。講演では,宇宙に関する最新の知識を教え込むのではなく,まだまだこんなに多くの不思議な謎が残っていることを伝えるよう努めた。アンケート結果によれば,一緒に来ていただいたお母さん方にはかなり好評だったいっぽう,小学生には難しすぎたようである。小学生を対象とした講演を標榜するにはまだまだ工夫不足であると反省させられた。そのいっぽうで講演終了後,「宇宙はできてから何年経っていますか」,「宇宙のどこかに宇宙人はいると思いますか」から,「一緒に写真をとらせてください」まで,多くの小学生が話しかけてくれた。また,小6の息子さんを連れてきてくれたある知り合いの方からは「『私たちは星の子供』というところに,じーんと来ました。翌朝,ねぼけまなこの子供に『ぼくらは何の子?』といきなり聞いたところ,『星!』と返って来たので,何らかのインパクトはあったようですよ」という温かいメイルもいただいた。

いずれにせよ,今回の経験を良い教訓として,小中学生を対象とした科学の心を伝えるような講演会の大切さを痛感した。最後になったが,理学部広報室およびビッグバンセンター,当日参加していただいた皆さんに厚く感謝申し上げたい。

ビッグバン宇宙国際研究センターでは,30分の講演を4つ用意した。横山順一教授の「宇宙をあやつる暗黒エネルギー」の講演には「宇宙の未来」に関心がある高校生たちが集まった。会場は超満員で,立ち見どころか会場に入れない高校生も続出した。

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