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生物情報科学科,起動!

生物情報科学科長 黒田 真也(生物情報科学科 教授)

図1

図1:今年進学してきた生物情報科学科の一期生

図2

図2:生物情報科学科の概要

生物情報科学科では,2009年4月に第一期生10名がいよいよ進学してきた(図1)。10名の内訳は,理科I類4名,理科II類6名となっており,生物情報科学の名前が示すとおりバランスの取れた進学となっている。生物情報科学は,生命のシステムを実験科学と情報科学の両方を駆使して解き明かす学問で,今後の生命科学の最先端を切り開く新しい学問領域として期待されている(図2)。ここでは,新学科のカリキュラムや一期生の様子についてご紹介しよう。

生物情報科学の特徴は,実験(ウェット)と計算機(ドライ)の両方を密接にフィードバックしながら研究を行う点にある。講義としては,生物学,情報科学の基礎講義に加えて,新しい領域である生物情報科学(バイオインフォマティクス・システム生物学関連)の講義が中心である。実験についても,それぞれの基礎実験だけでなく,コンピュータプログラミングとゲノム実験を融合させた生物情報科学実験を行い,生物情報科学の実践力の養成も重視したカリキュラムになっている。生物学,情報科学の基礎的な実習については,生物化学科および情報科学科と共通に行っている。生命科学系を中心に学んできた学生にとっては,コンピュータ実験が始まった当初は慣れないことも多く負担が大きかったようであるが,今では十分に高いスキルを身につけることができつつある。その効果は,生物情報科学実験を教えている際に顕著に感じることができる。私たちが期待していた以上に,生物情報科学科の学生はウェットとドライのどちらもこなすバイリンガルな能力を順調に身に付けつつあり,彼らの将来が今から楽しみである。

本格的な生物情報科学の学科設立は国内初で,欧米でさえまだほとんどない。とくに,生物情報科学科設置は純粋に学内措置によるものであり,東京大学が世界をリードしていく意気込みの現れのひとつといえる。また,理学部における新学科設立は30数年前の情報科学科以来である。学部における新学科設立はその学問分野が新しく発展する場合のみに限られることが多く,1世紀に1度か2度あるくらいの頻度である。その意味でも生物情報科学の生命科学におけるインパクトが伺えると思う。このような状況を考えると,生物情報科学科を卒業した学生が,近い将来この分野の国際的なリーダーになると十分期待できる。

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